http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819481E2E1E2E2E58DE2E1E3E0E0E2E3E29F9FE2E2E2E2
1ドル=100円を突破するような円高になると支払い金利が跳ね上がる仕組み債を2006〜07年ごろに発行し、今になって利払いが膨らむ地方自治体が増えている。岩手県や新潟県、堺市などが一定以上の円高になると金利が急騰する条件を設定し、足元の利払いが年6%を超えたりする例が出ている。自治体のリスク管理が問題になる可能性もある。
記事では、調達金利(高すぎて借金がかさむ)の例として、岩手県 6.15%、新潟県と堺市の 3.87% などという数値が紹介されていました。こんな高金利では自治体としては大損でしょう。
一方、運用の方では、兵庫県尼崎市の 0.001%、兵庫県三田市の 0.10% などが紹介されていました。こちらは、「運用」ですが、円高になると低金利になるという契約です。こんな低金利ではまったく無意味で、これなら定期預金の方がよかったということになりそうです。
仕組み債は、債券とはいいつつも、金利が固定ではなく、一定の条件で金利が変わるものです。一定の条件にはさまざまなものがありますが、その一例として円高条件があります。借金(調達金利)の場合、1ドル○円の円高にならなければ、1.37% の金利で借りられますが、それを越える円高になると、6.15% の金利になるというような債券です。自治体としては、そういう債券を発行するにあたって、1ドル○円までの円高はとても考えられないから、これでいこうと判断したのでしょう。結果的に見込みが外れたわけです。
仕組み債のしくみはむずかしいのですが、円高条件にしても、一定の期間中に1ドル○円の円高になる確率はこれくらいと計算できますから、それに基づいて、条件に当てはまる場合と当てはまらない場合の金利を決めれば、問題はありません。自治体は、いわば、賭けに出て、負けたのです。
個人が仕組み債に手を出すことはないと思います。よほど余裕がある人でも、個人が手を出してはいけません。儲からないようにできている金融商品だからです。
複雑な計算をして、間に入った証券会社なりがたっぷり利益をかすめ取って(利益がいくらになるのかさえわかりにくいのですが)、その上で発行される債券ですから、損をする確率が高いのです。証券会社としては、自治体と反対の立場に立つ投資家を見つけて、そこに条件が逆になる債券を売れば、絶対損をせずに儲けることができ、大変ありがたい商品になるわけです。
自治体などであっても、個人と同じか、それにちょっと毛が生えた程度の判断しかできないということがわかってしまいました。
参考記事:仕組み債には手を出さない
2010.4.26 http://otsu.seesaa.net/article/147785323.html
ラベル:仕組み債