そのため、マカオにも興味があって、以下のようなブログ記事を書いてきました。
2009.11.19 マカオのカジノの現状
http://otsu.seesaa.net/article/133318096.html
2009.5.31 UWマカオ・プロジェクト投資事業匿名組合
http://otsu.seesaa.net/article/120527273.html
2008.12.7 マカオは不動産バブルだったのか
http://otsu.seesaa.net/article/110818084.html
2008.5.24 UWマカオ・プロジェクト投資事業匿名組合
http://otsu.seesaa.net/article/97743639.html
2007.10.6 マカオのカジノ
http://otsu.seesaa.net/article/59121830.html
2006.4.15 UWマカオ・プロジェクト投資事業匿名組合
http://otsu.seesaa.net/article/16584471.html
マカオのカジノについては、ユナイテッドワールド証券からの資料などでも割と好印象を持っていました。
たとえば、
http://www.uwg.co.jp/mmaga/1007/mm1007.pdf
によれば、マカオのカジノ収益は2007年1月の60億パタカから、2010年5月には160億パタカにまで伸びています。
では、2010年8月31日に償還されたマカオファンドは、どうだったのか。
http://www.uwg.co.jp/fund_tk/Form/ProjectReport/01001/2010m1letter.pdf
に最終償還のお知らせがあります。37%減という大きな損失で終わりました。
香港ドルで見ると、不動産資産では +21.78%、株式では +0.37% という成績でしたが、何といっても円高が響きました。2005年10月の1香港ドル=15円が、2010年8月には 10.5円になり、30%もの円高では、損失が出てもしかたがないかと思います。
とはいえ、「経費」もそれなりにかかっているわけですが、その点は明示的には示されません。計算すれば産出できますが、面倒なので、そんなことをする人は少数派でしょう。
というわけで、この投資は失敗に終わりました。
結果的に損失になったことをとやかくいうつもりはありませんが、再度、こういう話が持ち込まれたときにどう考えるべきかということでは、大いに参考になりました。
第1に、最長5年間という投資期間が設定されていることの問題点です。
円→香港ドル→円という両替が絡み、円高時には損失が出ます。もっと長期的に(20年から30年くらいで)考える方がよかったと思います。頻繁に両替するのは不利です。いや、長期間の投資にしても損失が出るかもしれません。しかし、そもそも5年くらいで円転するようだと「投資」としては無理があるのではないでしょうか。乙がこの投資をはじめるときには、こういう感覚は持っていませんでした。5年もあれば十分長いと思っていました。しかし、そうではないのです。もっと長期で考えなければなりません。
第2に、香港ドルベースで利益が出ているのに、円ベースでは損失が出ている問題です。円高が悪いといえばそれまでですが、これは海外投資ではけっこう重要なポイントかもしれません。投資をはじめる前に、各種の資料を読んだときには、マカオの不動産投資は有望だと思いました。実際に、香港ドルベースでは相当な利益が出ているわけです。しかし、それを超える円高があったわけです。ここまで考えて今回の投資が有望と思えたかというと、5年前の時点ではわかりませんでした。やはり、マカオは延びしろがあるとしか思えないのです。円高を加味して考えなければならなかったのでした。(まあ、為替のことは何ともわからない面も多いですが。)
第3に、これとからみつつ見逃されやすいですが、手数料(報酬)の問題があります。これが高かったのです。
申込手数料 1.05%
募集委託費(媒介手数料) 2.1%
管理報酬(毎年) 2.1% (業務手数料 1.575% 事務手数料 0.525%)
運用報酬(毎年)(投資助言会社報酬 1% 成功報酬 純益の20%)
管理報酬が 2.1% もあると、5年間で1割を超える報酬になります。乙は、5年前は、報酬はこんなものだろうと思っていましたが、今は「明らかに高い」と思います。
また、運用報酬は成功報酬ですが、これは、今回のような場合に、香港ドルベースで算出されますから、投資家が円高で損失を出しているときに、運用会社は香港ドルベースで大きな利益を上げ、その 20% が報酬として取られてしまいます。
結論として、相当うまくいくように思われる投資話でも、手数料が高ければ損失が出るということです。当たり前ですが。
今回の教訓としては、こういう話には乗らないのがいいということです。
今から過去にさかのぼって、5年前の乙に声をかけることはできませんが、もしもできるならば、「やめておけ」とささやいたことでしょう。
ずいぶん高い授業料になりましたが、乙は、投資の世界の一端をのぞいた気分でした。正しい判断をしないと「個人はむしられる」のです。