2011年02月16日

休眠口座の扱い方

 大前研一氏が休眠口座を召し上げて、日本国債の元本返済に充てることを提案しています。
http://www.ohmae.biz/koblog/viewpoint/1624.php
 大前氏は、3年間利用がなかったら、休眠口座と認定して、資金を召し上げようと述べています。
 うーん。3年ですか。これはやや早すぎるでしょう。
 乙の場合、ちょっと忙しくしていると、まったくアクセスすることなく3年くらい経ってしまいそうです。
 それはともかく、休眠口座のかなりの部分は死んだ人の口座でしょう。それをどうしたらいいか考えてみましょう。まず、当然のこととして、死んだ人の財産は相続人が引き継ぐことになっています。つまり、休眠口座のお金には所有者がいるのです。複数の相続人が相談して、遺産を受け取る比率などを相談しているとき、ちょっともめれば3年くらいは経ってしまうでしょう。大前氏の提案は、期間面で言えば短すぎる感じです。
 さて、仮に休眠期間をゆうちょ銀行のように10年としましょうか。
 10年間利用実績がないという場合でも、「利用実績」とは何かが明らかではありません。お金が勝手に振り込まれてくる場合もありますから、入金の動きを基準にするのでは問題があります。出金の記録は確実に利用の証拠になります。
 ネットで残高照会をすれば、それで「利用」となるのでしょうか。これなら、少なくとも年1回くらいはネットにアクセスして口座残高を確認するように思います。以前は、ATM で通帳記帳をすれば「利用」とみなすとかいうことでしたが、それを考えると、ネットでの残高照会もOKではないでしょうか。
 さて、10年経ったら、そのお金はどうするべきでしょうか。大前氏は「驚くべきことに、一旦銀行の利益として計上されています。」としています。そんなに驚くべきことではなく、当たり前のことです。本人が死亡している場合、死後に遺産分割などの手続きがあれば、銀行に問いあわせることもあるでしょうが、そもそもどこに銀行口座があるかさえ教えずに死んでしまう人もけっこういると思います。突然の事故死などではますますそういうケースが多そうです。銀行側は、なぜ口座が利用されていないのかを調べようとすること自体、変な話です。預金者から「プライバシーの侵害だ」と言われかねません。
 仮に、預金者が死んでいたとしても、その遺産相続人を捜すなどということは銀行にとってはきわめて困難です。
 となれば、一時銀行の利益にすることはごく自然なことです。だって、その口座にお金が現実にあるし、それを管理しているのは銀行なのですから。
 銀行が自分の利益としておくことで、後日、正当な所有者(遺産相続者など)が名乗り出たときに、銀行がその分を補填して、新口座を作るような処理が可能になります。
 国が召し上げるとすると、後日正当な所有者が名乗り出てきてからが大変です。国が銀行と同じようなことをしなければなりません。召しあげた口座の一覧を、たとえば30年とか50年にわたって保存しておく必要が出てきます。そして、関係者から請求があればそれと対照するわけです。国は銀行よりもはるかに大きい規模ですし、担当者がくるくる変わる性質をもっています。そんなところで、長期の記録保存ができるでしょうか。社会保険庁が年金記録をきちんと残していなかったことから類推しても、役所がうまくできるとは思えません。
 この件は、今まで通り、銀行に任せておいたほうがよさそうです。

 実は、今回の話、海外の銀行にこそ注意しておきたいものです。ネットでアクセスしていることで「利用」とみなしてくれればいいのですが、そうでないとけっこうめんどくさいです。あ、いや、海外の銀行はそれぞれの国が監督しているから、今回の話には無関係ですね。しかし、何年も利用しないとどうなるかは改めて確認しておきたいものだと思いました。
ラベル:休眠口座
posted by 乙 at 05:31| Comment(7) | TrackBack(0) | 投資関連の話題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする