http://diamond.jp/articles/-/11287
何だか、勘違いしている人がたくさんいるような気がします。
まず、2000 億円が還付されたことをどう考えるかですが、これは還付が当然で、そうしなければ、日本は法律が機能せず、お役所が勝手に何でも課税できる国だということが世界中にばれてしまいます。日本の将来を非常に暗くするものになったでしょう。今回、最高裁は法律に則って常識的な判断をしたと思います。
というわけで、2000 億円は武井俊樹氏に還付されて当然の話です。このお金は個人の所有物です。したがって、この資金に関して個人に請求するというのは、会社に対して請求するべきものを個人に求めているということで、勘違いとしかいいようがありません。個人に対して請求できると考える人は、仮に今回の訴訟で武井俊樹氏が敗訴して、1330 億円の追徴課税がそのままになった場合でも、武井俊樹氏に請求するべきです。だって両者はまったく別の事件ではないですか。2000 億円があるから請求する、ないなら請求しないというのはスジが通りません。今回の訴訟の決着がどう付こうと、それとは別に訴訟を起こすべきです(でした)。
そもそも、武富士の過払い金問題だって、相当におかしい話です。当時のグレーゾーン金利で借りた人が、返済を終えたあとで、利息はもっと安かったはずだとして訴訟しているわけで、こんなことを認めたら(実は裁判所がすでに認めてしまっているわけですが)「契約」が根本的に成り立たなくなってしまうではないですか。本人同士が納得して「契約」したものをあとから取り消すことができるという判断は、非常に慎重にやらなければなりません。世の中の秩序をひっくり返してしまいます。
結果的に、サラ金業界が取りつぶしになり、借金したい人が正規に借りることができなくなりつつあります。これは良い悪いの問題ではなく、ルールが変わればそれに応じてみんなの判断基準・行動基準が変わるということです。
こんなあたりからも、日本の閉塞感がいよいよ大きくなっていきそうです。