2011年03月29日

新しい土地での生活

 ちょっと前に、津波の被害を受けた人たちが町を捨てて他の地方に移住する可能性もあることを述べました。
2011.3.26 http://otsu.seesaa.net/article/192536783.html
しかし、これは被災者たちにはなかなか受け入れがたい話です。
 それに関連して、いろいろ思うところがあります。
 被災者の方々は、引越の経験が少ないのではないかということです。だから、よその土地に行って住むことを嫌うのです。いや、そういうのが嫌いだから、ずっと前から、自分の生まれ育った土地に住んでいるのかもしれません。
 乙は、大学に入るときに故郷を離れて東京に住みました。両親から離れてひとり暮らしでした。親から仕送りはもらっていましたが、一応独立生計でした。ある意味で大きな不安がありましたが、やってみればそれはそれでおもしろいものでした。就職も、妻との出会いも、乙が東京に住んでいなければ、ありえない話でした。東京は、そのようなよそからの出身者が集まってくる都市なのです。若い人を集める力があるということです。逆に、東京には東京出身者が少ないものです。三代以上続く「江戸っ子」なんて、ほとんどいません。
 乙は、あるとき、中学校の同窓会に出たことがありました。数十年ぶりに会った元のクラスメイトと話をしてみて感じたのですが、地元に住んでいる人がかなりの割合でいたのでした。まあ、それも一つの選択肢ですし、他人がその判断をどうこういうことがおかしいのはわかっていますが、話をしながらことばの端々にずいぶんと内向き思考だなあと感じたことを思い出します。そういう内向き思考だから故郷を離れてよその土地で暮らすことは選択肢に入らないのでしょう。(言い過ぎでしょうか。)
 自分の知らない土地に出向いて、そこで働き、生計を立てる。それはそれで意味のあることだと思います。
 若い人には、ぜひチャレンジしてほしいと思います。(こんなことをいわなくても、事実上そうなりつつあり、だから若い人が外に出て行って地方の小さい村が限界集落になったりするわけですが。)
 地方の、しかも非都市部にいくと、住民の高齢化率が非常に高いことに気づきます。住んでいる人の半数以上が65歳以上などという集落もざらにあります。今回の被災者がどうだったのか、詳しくは知りませんが、東北地方の海岸部であれば、おそらく高齢者がかなり多いだろうと思われます。
 歳をとれば、どうしても融通が利かなくなります。それまでの生活習慣を変えることは大変です。引越も、できればしないで済ませたいでしょう。実際、引越をするとそれが高齢者のストレスになる例もあります。ということは、元の場所で元の暮らしを取り戻したいと考える人が多数になります。
 人間は、さまざまな違った考えを持ちますが、性別・年齢・住所(出身地)によって大きく異なります。裏返すと、性別・年齢・住所(出身地)が同じ人は似たような考え方をするものです。
 今回の被災者に、東北地方沿岸部の高齢者が多いとしたら(そしてたぶんそうですが)、被災者の声を集めれば、元の町に住みたいという声が圧倒的でしょう。でも、本当にそれでいいか、個人的な感情とは別に、大所高所から考えてみる必要がありそうです。

 ところで、もしも、東京が直下型地震で壊滅的被害を受けたら、乙はどうするか。死んでしまえば話は簡単ですが、生き残った場合はその後を考えなければなりません。東京に残って復興に力を尽くすのも一つの生き方ですが、さっさと東京に見切りを付けて、早期リタイヤを前提に(勤務先の被害も相当でしょう)、他の地方に逃げ出すかもしれません。いっそのこと外国に行くかもしれません。
 何と非国民的な発想なのでしょう。
 でも、個人としては一つの判断として十分あり得る話だと思っています。
ラベル:引越
posted by 乙 at 04:53| Comment(6) | TrackBack(0) | 社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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