2011年03月31日

電気料金の値上げの一種としてのピークロード・プライシング

 この夏は暑い夏になりそうです。
 東京電力管内では計画停電などが予定されているからです。
 これに関しては、電気料金値上げや電力消費税を導入するべきだという議論があり、
2011.3.17 http://otsu.seesaa.net/article/191049323.html
また、電気料金の値上げは基本料金で行うほうがよいというアイディアもありました。
2011.3.23 http://otsu.seesaa.net/article/192040976.html
 鈴木亘(2011.3.28)「市場メカニズムを活用すべき電力不足対策」
http://synodos.livedoor.biz/archives/1720131.html
は、電気料金に関してピークロード・プライシングを提案しています。使用量のピーク時の電気料金を上げようという提案です。 まずは「企業に対して、季節別・時間別・業種別のピークロード・プライシングをはじめることが現実的である。」として「これにより、ピーク時とオフピーク時の料金差は10倍以上となる」と述べていますから、企業の電気料金に対して相当な大差を付けようという話です。
 このくらい差が大きくなると、企業としては何とか対策を考えるでしょう。真夏の午後を休みにして、深夜早朝の勤務を増やすなどというのでもいいかもしれません。どうするかは各企業が考えるべきことです。
 電車の運賃なども、混雑時の割増料金でピークの混雑率を下げようという話がありますが、今回のようなことでは、夏の暑い時期の日中の割増料金などが登場するのでしょう。冷房の効いた車内で快適に移動するためにはそれなりの料金を払わなければならないわけです。
 個人も、夜間電力と昼間電力で数倍違ってくれば、自宅の電気料金を下げるべく努力をするのではないでしょうか。
 鈴木氏の議論は、こういうことを通して、効率の悪いゾンビ企業に退場してもらおうというところまで考えてある点で興味深いものです。こういうアイディアも至急検討されるべきでしょう。
 鈴木氏は「さらに、夏場の対策として、政府が安易な計画停電や総量規制の導入を口にした背景にも、東京電力や経済産業省の官僚たちの隠れた意図や暗躍があるように思われる。」と述べていますが、もしもこういうことがあるなら、ピークロード・プライシングが検討されることはありません。
 それにしても、計画停電は、われわれがいかに電気に頼っているかを見事に知らしめました。これも「東京電力や経済産業省の官僚たちの隠れた意図」かもしれませんね。

 福島の原発事故の対応として、当面はこの夏の電力不足をどうするかが大問題ですが、実は、その先、数年先とかそれ以上を見越して、首都圏の(東北地方も同様でしょうが)電力供給はどうあるべきかというより根本的な問題があると思われます。原子力に頼るのか否かというのもそのような大問題の一つでしょう。
 乙は、電気使用量が増えることは、そこに住む人たちそれぞれの判断の結果であり、我々がそういう生活を(数十年にわたって)選んできたという意味で、十分な電力が生活に必要なことであり、今後もその傾向は変わらないのではないかと思います。ですから、数年先まで見越しても、原発に頼らざるを得ないでしょう。原発のこれからの新規設置は困難を極めるでしょうが、そちらを向くしかないように思っています。
 原発反対を主張するのは簡単ですが、では、原発を作らないことによる電力不足をどうするのでしょうか。他の手段による発電量を増やすか、電力の消費を押さえるかしかありません。前者でいえば、太陽光発電などかなりのコストがかかりますから、電気料金を値上げすることになりそうです。後者も、電気料金を値上げすることで実現するしかなさそうです。
 このようなことを考えると、電力供給をどう考えようと、長期的に見て電気料金は上げざるを得ないと思います。
 ピークロード・プライシングはその一つの手段ということになりそうです。

 なお、ゆうきさんのブログ「ホンネの資産運用セミナー」
http://genuinvest.net/?eid=1516
では、以下のような批判があるとのことです。
非効率で不公平な計画停電をやめて電気料金の値上げで対応すべきという話が出る一方、電気料金の値上げは被災者への負担になる、そもそも事故を起こした東電にこれ以上払いたくない、という批判も出ている。

 被災者の負担は別に手当てするべきで、被災者を料金値上げの対象外にするのは複雑な手続きが必要です。別途しかるべき支援策を考えることにして、電気料金は例外にする必要はないと思います。また、事故を起こした東電に、これ以上払いたくないという気持ちは理解できますが、実際にそうすることは無理です。東電から電気を買わない限り生活ができません。現代では電気ゼロでは十分な生活ができないし、自家発電などしても、結局コストが高く付きます。東電以外から電気を買うこともできません。料金値上げの話は、事故を起こしたこととは別に、これからの電力の供給をどうするかという問題です。
 重要なことは、電気料金の値上げ分が東電のふところに入るのでなく、被災地の復興支援なり何なりに回せるようなしくみを作ることです。それこそ国会議員たちの仕事ではないでしょうか。

参考記事:
http://www.shinoby.net/2011/03/post-2366.html
posted by 乙 at 04:50| Comment(14) | TrackBack(0) | 社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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