2011年09月19日

安田修(2011.8)『日本を脱出する本』ダイヤモンド社

 乙が読んだ本です。「短期の海外移住から永住まで」という副題がついています。
 海外移住に関する総合的入門書といえるでしょう。海外移住といっても、さまざまなタイプがあるわけで、特に、若い人で海外で働くことを念頭においている場合と、年配でリタイアしてから海外で暮らそうとしている場合では、相当に違ったものになります。
 本書は、そのようなさまざまな目的に使えるように、網羅的な記述をしています。この記述ができたというだけでも、著者の博識(あるいは情報収集能力)はすごいものだと思います。
 乙の場合は、第5章「リタイアメント」が一番おもしろかったのですが、いろいろな国にリタイアメント制度があり、年金がもらえれば、それぞれの国で十分暮らしていけそうです。海外旅行の延長上に、こんな暮らしもおもしろいと思いました。どこかの国に決めたら、そこの言葉を覚えるようにするといいと思います。1年や2年はあっという間に経ってしまいますし、それでも言葉を覚えるという意味ではまだ初心者でしょう。やることがあるというのは何よりもうれしい話です。
 もしかすると、乙の場合は、投資永住権を取得する手(第4章)もあるかもしれません。しかし、今の仕事で定年を迎えるまでは、ずっとこのまま継続したいと考えていますし、その後も、投資はするとしても、ある1ヵ国(の会社や不動産)に集中投資するのは危険なように思います。ということは、投資永住権とは無縁なものになるというわけです。
 この本でいろいろな国を比較してみると、やっぱりアジアが親近感が持てそうな気がします。
 もしも、さらに具体的に知りたいということになれば、関連の本を読んだり、ウェブで調べたりできるわけです。まずは、何か最初の1冊となれば、本書は大変有意義でしょう。とりあえず必要なことが何でも書いてあるというスタイルです。
 定年を迎えるころになって、海外移住を具体的に考えるようになったら、また本書を紐解きたいものです。
 とはいえ、そのころにはさらにいい本が刊行されている可能性が高いと思いますが。
 著者の安田氏は「海外移住情報」
http://www.interq.or.jp/tokyo/ystation
というサイトも運営しています。こちらは、本書よりもさらに詳しくて、しかも無料で読めます。


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2011年09月15日

堀井憲一郎(2006.4)『若者殺しの時代』(講談社現代新書)講談社

 乙が読んだ本です。あまり投資とは関係しません。
 目次は以下の通りです。
  第1章 1989年の一杯のかけそば
  第2章 1983年のクリスマス
  第3章 1987年のディズニーランド
  第4章 1989年のサブカルチャー
  第5章 1991年のラブストーリー
  第6章 1999年のノストラダムス
  終章 2010年の大いなる黄昏 あるいは2015年の倭国の大乱
 第1章以外は、年代順に記述されています。こうして、それぞれの年に何があったかを年代ごとに思い起こして書いていくスタイルです。著者の堀井氏は1958年生まれ、こうして若者として自らが経験してきたことを、多くの人(その多数は、早稲田大学の落語研究会の異なる世代のメンバー)の証言と付き合わせつつ、現代史を書きつづっていきます。
 乙は、本書を読みながら、奇妙な感覚を覚えました。いやにリアルなのです。実際、ディズニーリゾートのアトラクションの数の変遷とか、データはありますが、必ずしもすべてがデータに基づいて議論しているわけではありません。しかし、そこに展開される論説は、当時を生き抜いてきた人間の生の証言であり、何か、世の中を裏側から見ているようなシニカルな感覚にあふれています。
 このような記述から、本書では、若者が無理にいろいろなものを消費させられてきた存在なのだとしています。そのような各種流行(何が流行だったかは上の目次をご覧ください)は、大人たちが若者たちからカネを巻き上げるためのものだったのです。若者は、そのようなことを知らずに、世の中の流行に遅れまいと従っただけですが、結果的にその上の世代の人に貢いでしまった形になっています。
 こういう視点は、今まで乙が明確に意識してこなかったものなので、本書を読みながら、現代史を改めて実感するようなことになりました。
 描かれているのは、たった30年前のことですし、乙はその時代を生きてきたわけなのですが、改めて、これこれこういう時代だったと言われて、納得してしまったようなしだいです。


タグ:堀井憲一郎
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2011年09月04日

小屋洋一(2011.7)『35歳貯金ゼロなら、親のスネをかじりなさい!』すばる舎リンケージ

 乙が読んだ本です。「一生お金に困らない2世代マネープランニング」という副題が付いています。
 実は、乙は著者からこの本を寄贈していただきました。(だからといって、単純に本書を持ち上げる話を書くつもりはありませんが。)
 基本は、「2世代マネープランニング」にあります。単純にいうと、30代の人に対して、親のマネープランニングと自分のそれと、両方を考えるようにしようということです。
 p.33 には「2世代マネープランニングとは、あなたにできる最高の親孝行なのです!」とありますから、著者が信念を持って、こう主張していることがわかります。
 乙は、2世代マネープランニングという考え方自体はよいものと思いました。しかし、親世代がきちんと考えていれば、それで大丈夫なはずです。むしろ、30代の子供世代は、働くことに忙しく、マネープランなどは考えている時間的余裕がないかもしれません。乙の場合も、30代の息子がいますが、もしも、息子から2世代マネープランニングが提案されたら、「そんなの必要ない!」というでしょう。自分なりにもう考えているからです。いや、2世代分を考えているわけではないけれど、自分たちの老後までを考えてプランしておけば、それで十分で、息子世代は息子世代で自分で考えればいいと思います。遺産が入った時点で考えてもいいでしょう。それまでに、さまざまな形で乙が息子たちに対する「投資教育」をしなければなりませんが、それは日常的な会話の中でも十分可能だと思います。
 乙のような、親の立場の人間からすると、本書に書かれていることはわかりきったことで、内容的に不満が残ります。30代の人で、かつ、親が投資などに無関心な人には有用な面もあるかもしれません。
 p.38 では、将来の(定年までの)給料の予測が出てきますが、こんなことわかるものでしょうか。
 乙は、若いころは公務員だったので、俸給表に従って給料をもらっていたはずで、したがって調べれば将来の給料がわかったはずですが、一度も調べもしませんでした。庶務課の給与担当者が計算を間違えなければ(そして、計算はコンピュータ化されているので、ほとんどそういうことはあり得ませんが)、しかるべき給料をしかるべくもらうだけでした。
 しかし、現在の民間の企業の給料は、なかなか将来予測が難しいと思います。雇用や給料のあり方が、単なる終身雇用・年功序列ではなくなりつつあります。
 しかるべき年齢になって、後から若いころの給料を振り替えれば、そうだったと(なつかしく)思いますが、若いころ(30代)に、40歳で○○万、50歳で○○万くらい給料がもらえるだろうなどとは予測できないのではないでしょうか。
 もしも、そういう予測ができたとしても、給料が増えると同時に教育費や住居費などがかかるようになってくるわけで、そんなのを踏まえてマネープランを作っても、実際とはかなり違ったものになるのではないかと思います。
 本書を読んで、一番違和感があったのはタイトルです。子世代が親世代のスネをかじる話はほとんど出てきません。あくまで2世代マネープランニングが話の中心です。この点で、タイトルはミスリーディングです。まあ、2世代マネープランニングをすれば、結果的に子世代が親世代のスネをかじることになっているのかもしれませんが、……。
 本書は、全体に着実平易な記述がされています。しかし、どこまで有効か、若干疑問に思う面もありました。6章の相続の話などはわかりやすく、現実的でした。しかし、5章の投資の話はやや不満でした。7つの金融商品を使い分ける主義のようですが、7分散でいいのでしょうか。国内と海外の株式と債券は標準的ですが、それに加えて、国内 REIT と海外 REIT とコモディティを加えています。このあたりは、正解がないし、考え方によっていろいろ変わってくるものなので、単純に7分散を説いているところには疑問を感じました。
 本書は全体にわたって、1段落が1〜2行で構成されています。ちょっと段落が短く、乙は読みにくい印象を持ちました。今の若い人は、こういう改行が多い文章を好むのでしょうが、……。



参考記事:
http://kaeru.orio.jp/blog/2011/08/book_34.html
posted by 乙 at 05:46| Comment(2) | TrackBack(0) | 投資関連本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月03日

住宅ローンは返すな??

 林敬一氏の記事がダイヤモンド・オンラインに掲載されていました。
http://diamond.jp/articles/-/13827
 住宅ローンを借りている状態で、300万円の余裕資金ができた場合、普通は住宅ローンの繰上返済に充てるものです。ところが、林氏は、そんなことせずに、 「長期の米国債(ゼロ・クーポン債)」への投資を勧めています。なぜなら、米国債の金利が 4.2% ほどあるからだそうです。
 住宅ローンの固定金利を変動金利に変更しようという話は、一つの立場として、ありうると思います。これからも日本の長期金利は低迷を続けるでしょう。しばらく(20年くらい?)は、日本の低金利が続くのではないかと思います。(乙の勝手な予想ですが。)
 しかし、だからといって、1.6〜1.8% の(変動金利の)住宅ローンをそのままにして、4.2% の米国債を買えばいいなどという簡単な話ではありません。二つの金利差だけを見れば、一見もっともらしく見えますが、それは為替リスクを無視した議論です。日本が低金利で、米国が高金利ならば、しばらく先には円高が予想されます。つまり、4.2% の米国債(ドル建て)は、1.6〜1.8% の円建てのローンよりも金利が大きいとはいえないのです。
 林氏の議論は、このことを無視している議論なので、乙は、この話は成り立たないと思いました。
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2011年09月02日

若林亜紀(2009.6)『国破れて霞が関あり』文芸春秋

 乙が読んだ本です。「ニッポン崩壊・悪夢のシナリオ」という副題が付いています。
 第2章から第7章までは、国土交通省、環境省、農林水産省、文部科学省、防衛省、厚生労働省のそれぞれの問題点を具体的に記述しています。官僚がいかに無駄遣いをしているか、それを赤裸々に描き出した本です。ただし、防衛省については、体験入隊の話が中心になっており、記述のトーンが異なります。
 大変おもしろくて乙は一気に読んでしまいました。
 こんなふうに各省に無駄遣いがはびこっているのでは、財政再建なんて夢のまた夢です。天下りの弊害もひどいものです。
 「役人=官僚」のあり方を通して、日本のあり方を考えることができます。
 この問題の解決はむずかしいものがあります。数十年も積み重ねられてきた「実績」ですから、それを破壊するには相当のエネルギーが必要です。今の民主党政権を見ていると、とてもではないけれど、改革なんてできるはずもありません。
 いっそのこと、国債の未達とか、赤字国債の発行が国会で拒否されるとか、とんでもない事件が起こった方が、旧来の悪習を打ち破るいい機会になるのではないでしょうか。



 余計な話ですが、若林亜紀氏の本は、以前に『公務員の異常な世界』を読んだことがあります。
 ブログを検索すると、何と、このブログで2回取り上げて書いています。2回目に書いたとき、1回目があることはまったく意識していませんでした。
 何ということでしょう。
2010.7.8 http://otsu.seesaa.net/article/155697493.html
2008.10.21 http://otsu.seesaa.net/article/108385508.html
タグ:若林亜紀
posted by 乙 at 02:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 投資関連本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする