2011年12月17日

野口悠紀雄(2011.5)『大震災後の日本経済』ダイヤモンド社

 乙が読んだ本です。「100年に1度のターニングポイント」という副題がついています。
 野口氏の議論は、いつもおもしろいと感じていますので、この本も読む前から楽しみでした。
 一番おもしろかったのは第2章「電力消費抑制に価格メカニズムの活用を」でした。震災後の電力不足を乗り切るためには、計画停電よりも、電気料金を上げるほうがいいという議論です。本書では、どれくらい上げるかを具体的に明記しています。工場などで使う電力の場合、超過電力に対して、1.5 倍にするということです。まあ、そんなものかもしれません。
 一方、家庭の電気料金では、40A 以上の基本料金を5倍程度に値上げするということです。30A までは今まで通りということで、基本料金は 819 円ですが、60A だと、今の 1638 円が 8190 円になるという話です。これは大きな違いです。乙の自宅では、10kVA の契約ですので、今の基本料金 2,730 円が 13,650 円になるということです。どうでしょうか。契約アンペアを減らすでしょうか。少しは減らすかもしれません。このあたり、具体的な値上げ幅が書かれていないと、机上の空論になってしまいますが、金額がわかれば、自分の家ではどうするか、考えることができます。
 その他にも、興味深い議論がたくさんありました。
 p.131 では、復興財源を得るために、法人税を上げるのはよくないとしています。日本の企業は7割以上が赤字ですから、法人税(率)を上げても、まったく税収は増えないというわけです。むしろ、各種の租税特別措置をなくすことが重要だと説きます。目からウロコでした。
 p.133 では、法人税はコストでないと説きます。乙は法人税は企業にとってはコストだと思っていたので、これまた目からウロコでした。法人税は利益にかかるものなので、コストではないわけです。
 p.224 では、新興国は販売先ではなく、投資先ととらえるべきだとしています。つまり、国内の製造業などは海外移転するべきで、それがすなわち「投資」ということになります。言い替えれば、国内は空洞化でよいというわけです。
 ところで、本書中で乙がよくわからなかったところもあります。pp.29-30 ですが、大震災からの復興のために復興国債を発行する場合、負担を将来に先送りできないのだそうです。国債を発行するとき、その時点でお金を集める形になるので、その時点の人々が負担していることになり、償還時は、国債を保有している人が償還金を受け取る、つまり、納税者から国債保有者に所得が移転するだけで、国全体としては使える資源が減少するわけではないということです。
 復興国債も、普通の国債も、特に違いはないわけですから、日本の膨大な国債も、今の人が負担していることになり、将来の人が負担するわけではないということになりそうです。乙は、何となく、子供や赤ちゃんやこれから生まれてくる人々が膨大な借金を返す形になるように思っていました。
 国債が、(未来の人からの借金ではなく)今の人からの借金だと考えれば、今の日本が持っているお金の全体以上に国債を発行することはできないことになります。でも、実際は、国債の発行はできてしまいそうに思えます。インフレで国債の価値が低くなるので、ある程度以上の国債の発行は無意味ということになるのでしょうか。
 国債を買った人は、その時点で自分の金を国家に提供したことになります。それはわかります。しかし、国債の買い手は、その国債を償還までずっと保有し続けます。そして、国債の償還時に現金を入手することになります。国債の買い手が国債をずっと保有するということは、つまりは負担(国の借金)を将来に引きずっているのではないでしょうか。
 このあたり、どうにも理解できませんでした。


タグ:野口悠紀雄
posted by 乙 at 05:20| Comment(3) | TrackBack(0) | 投資関連本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月14日

W-8BEN フォームの記入

 アメリカの E*TRADE 証券から手紙が来て、W-8BEN フォームの有効期限が切れるので、更新するようにとのことでした。W-8BEN というのは、口座の所有者が外国人であることの申告書類です。更新しないと、税率が30%にもなると聞くと、更新せざるを得ません。
 さて、パスポートのコピーなども用意はしたのですが、手紙をよく読むと、

Next Steps:
Log on to your account at etrade.com and follow the steps to complete the new Form W-8BEN process.

とありました。
 W-8BEN フォームは、紙に記入して送付しなくても、オンラインで手続きできるようです。2回目からの特典でしょうか。さすがに、現代のネット証券会社です。
 というわけで、さっそくネットでログインして更新しました。
 途中、あれやこれや質問があり、それに答えていくのですが、アメリカらしく、言い回しが厳密です。簡単に手続きできると思っていた乙はちょっと甘かったです。「YES」をクリックすると次の質問が表示されるようになっており、けっこう英語を読まされました。
 時間の余裕のあるときでないと、こういうことをやってはいけません。
タグ:W-8BEN
posted by 乙 at 05:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 金融機関 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月13日

Interactive Brokers の Webinar

 乙のところに Interactive Brokers からメールが来て、Webinar を行うので参加しないかというお誘いがありました。Webinar は、ウェブを用いて行うセミナーです。
 それまで、英語版の Webinar の案内がよく来ていましたが、さすがに大変そうなので、遠慮していました。しかし、今回は日本語で行うのだそうです。TWS の使い方という初級者向けの内容だそうです。
 さっそく申し込んでみました。
 メールでパスワードなどが送られてきて、準備完了です。
 開始時刻の10分ほど前に指定された URL にアクセスして、ログインします。開始時刻になると、音声が聞こえてくるとともに、乙のパソコンの画面上に、講師のパソコンの画面が表示されます。そして、どこをクリックするとどうなるか、全部見えるようになります。講師が音声で解説しながら、その画面が全部見えるので、大変わかりやすいと思います。
 操作の途中でわからないことがあれば、チャットで講師(あるいは補助者)に質問することができます。
 1時間ほどでしたが、TWS の使い方がよくわかりました。
 今まで手探りで TWS を使ってきましたが、Webinar があれば、それを参照するのがよさそうです。
 ずいぶんと便利な世の中になったものです。
 こういう内容ならば、英語版に参加してもよかったかもと思いました。

 しかし、一つ問題がありました。
 Webinar に参加するために、ログインしますが、その後、画面上で参加者から講師にメッセージを送ったり、相互にチャットができるようになります。そのためでしょうか、参加者の氏名がお互いに筒抜けになってしまうのです。
 もちろん、これが本名かどうかわかりませんが、ログインするときの名前なので、たぶん本名でしょう。
 45人ほどの参加者がありました。
 中には、乙の知っている人かもしれないと思われる名前もあったりして、驚きました。
 お互いには名前を見せないようにしておくのも必要かもしれません。

 また、途中で音声が出なくなるというトラブルもありました。乙だけの経験だったようです。何もしないうちに、数分後には音声が復活しましたが、……。
 後日、アクセスすれば、音声付きで再度視聴できるとのことなので、あまり問題はありませんが、気になりました。

 過去の Webinar の記録を見ると、オランダ語とか中国語とか、いろいろな言語版がアップロードされていました。
posted by 乙 at 05:16| Comment(0) | TrackBack(0) | Interactive Brokers | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月08日

松田千恵子(2011.9)『国債・非常事態宣言』(朝日新書)朝日新聞出版

 乙が読んだ本です。「「3年以内の暴落」へのカウントダウン」という副題がついています。
 日本国債が危ないのかどうかは議論が分かれるところです。
 著者は、ムーディーズジャパン格付けアナリストという経歴を持っています。そのためもあるのでしょうが、さまざまな角度から日本国債が危ないかどうかを考えていくとともに、最終的には、今の格付け会社が日本国債に比較的高い格付けを与えていることを反映して、日本国債は当面大丈夫と見ているようです。
 しかし、第2章「国債暴落のシナリオ」を見ると、やっぱり危ないという気がしますし、第3章「国債暴落後の日本経済」を読むと、どうなるかはほぼわかっているといえそうです。こんなことまで考えていて、かつ、今は大丈夫といわれても、一般人としてやはり心配になってしまいます。
 格付けなども、下げるときには下げるでしょうから、「今」は大丈夫だとしても、いつ危なくなるのか、わかりません。
 本書中の具体的な議論や、国債のあり方などをめぐる考察などは、妥当なもので、危機感を煽ろうとする「扇動本」とは一線を画しているといえそうです。
 副題は、はやり、編集者が付けたもので、著者の真意とは少し違うようです。
 それにしても、国債の信任が崩れるとすれば、一気にそうなるでしょうから、日本に生きる人間としては、いつでも注意しつつ事態を見守るしかないかもしれません。
 乙は、格付け会社の分析がそんなにも正しい(妥当だ)とは思いません。今の政治家たちの議論を聞いていると、こんな人たちに政府の運営(つまりは日本国の経営)を任せておいて大丈夫だろうかと大いに不安になってきます。

posted by 乙 at 08:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 投資関連本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする