日本国債が危ないのかどうかは議論が分かれるところです。
著者は、ムーディーズジャパン格付けアナリストという経歴を持っています。そのためもあるのでしょうが、さまざまな角度から日本国債が危ないかどうかを考えていくとともに、最終的には、今の格付け会社が日本国債に比較的高い格付けを与えていることを反映して、日本国債は当面大丈夫と見ているようです。
しかし、第2章「国債暴落のシナリオ」を見ると、やっぱり危ないという気がしますし、第3章「国債暴落後の日本経済」を読むと、どうなるかはほぼわかっているといえそうです。こんなことまで考えていて、かつ、今は大丈夫といわれても、一般人としてやはり心配になってしまいます。
格付けなども、下げるときには下げるでしょうから、「今」は大丈夫だとしても、いつ危なくなるのか、わかりません。
本書中の具体的な議論や、国債のあり方などをめぐる考察などは、妥当なもので、危機感を煽ろうとする「扇動本」とは一線を画しているといえそうです。
副題は、はやり、編集者が付けたもので、著者の真意とは少し違うようです。
それにしても、国債の信任が崩れるとすれば、一気にそうなるでしょうから、日本に生きる人間としては、いつでも注意しつつ事態を見守るしかないかもしれません。
乙は、格付け会社の分析がそんなにも正しい(妥当だ)とは思いません。今の政治家たちの議論を聞いていると、こんな人たちに政府の運営(つまりは日本国の経営)を任せておいて大丈夫だろうかと大いに不安になってきます。