タイが中心でカンボジアも1割くらい記述されています。
日本人男子高齢者がタイやカンボジアに移住(ないしロングステイ)していますが、そういう人たちが経験したさまざまなことを描いています。
著者は映像ジャーナリストということで、多数の日本人にインタビューし、それをまとめて1冊にしています。
出てくる話は、若い女性との恋愛・結婚、あるいは破局や詐欺が多く、次に、ビジネスをしていく上で騙された話もたくさんあります。
個々のケースについて具体的に書いてあります。
しかし、エピソードがあまりに多いので、読み進めるうちに、いくつかの話がこんがらがってしまうような感覚になりました。
日本で結婚しなかった(できなかった)高齢男性が、タイで若い女性を得て幸せに暮らしている例もあるわけですが、彼女らが巧みに日本語を話すのは、そうすることで彼女らの(さらにはその親や親戚などの)生活が成り立っているからです。つまり、日本人高齢者は、どうみてもネギをしょったカモなのです。「財布がもてている」のが現実なのです。日本では普通の金額にあたるようなものでも、現地では相当な額になるので、それをねらう人々が活躍するわけです。厚生年金をもらっているような人もねらい目です。結婚して、先に男性が死ねば、その後、女性は遺族年金で暮らしていけばいいわけで、一生安泰です。そういう知識は現地の女性たちに行き渡っています。
結婚・恋愛も、金とつながっています。儲け話に騙されるのも同根の話です。
そんなわけで、やはり、アジアで暮らしていくのもなかなかむずかしいものだということになります。
自分はどんな人生を送っていきたいのか、考えさせられる本でした。
乙は、まだ年金をもらうような歳ではありませんが、本書に出てくる人たちの考え方がわかるような気がします。
本書は、「定年後は海外でロングステイを」と考えている人には必読書になるでしょう。