2013年08月06日

孫への教育資金の贈与(2)

 先日の記事
2013.8.4 http://otsu.seesaa.net/article/371026364.html
の続きです。
 教育資金一括贈与非課税制度について、さらに情報収集をしてみました。
 かなり詳しくて、内容が十分理解できるものとしては
http://www.dir.co.jp/research/report/law-research/tax/20130319_006953.pdf
があります。
 信託銀行だけでなく、証券会社や銀行でもいいという話です。証券会社や銀行がそういう制度を取り入れていればという条件付きですが。
 乙の近くでは、みずほ銀行の支店があるので、ここで話を聞いてきました。みずほ銀行では、みずほ信託銀行の教育資金贈与信託に手続きを仲介するという位置づけのようです。
 みずほ信託銀行での説明は
http://www.mizuho-tb.co.jp/souzoku/kyouiku_shikinnzouyo.html
にあります。「学びの贈りもの」という名前です。
 さっそく、みずほ銀行に出かけて、18ページほどの商品説明書をもらってきました。これはなかなか詳しくて、一通りわかるように書いてありました。
 この教育資金贈与信託では、みずほ信託銀行に学校の授業料などの領収書を提出すると、みずほ銀行の(孫の)普通預金口座にその分の資金が振り込まれるという仕組みです。
 この払出請求手続きは、みずほ銀行(の窓口)ではできないということでした。すぐそこに支店があるのにできないというのはちょっと残念です。
http://kotominori.blog88.fc2.com/blog-entry-639.html
のコメントによれば、可能だということですが、乙が聞いた限りでは不可能といわれました。
 しかし、返信用封筒を10枚ほどくれるそうなので、それでみずほ信託銀行に郵送すればいいということでした。もしかして、息子の家族がどこかに引っ越すことがあるかもしれません。その場合でも大丈夫ということになります。海外に引っ越すことになると、ややこしくなりますが、まあ、それは考えないでおきましょう。

 余計な話ですが、孫に贈与信託の形で渡した資金ですが、万が一、孫が使う前に死んでしまったら、どうなるのでしょうか。
 商品説明書の4ページには次のような記載があります。「お孫さま等(受益者)が亡くなり、信託が終了した場合には、信託財産は受益者の相続人に相続され、相続税の課税対象となりますので、贈与税は課税されません。」
 「受益者の相続人」は、たいていの場合、親になるはずです。資金が無駄になることはなさそうです。
 乙は、上記の説明の「ので」以降が理解できませんでした。教育に使われなかった資金なのですから、孫の死亡時に「贈与」が発生し、その時点で贈与税がかかり、しかも、死亡によって相続がなされるので、その時点でさらに相続税がかかる(実際には財産が控除額以下なので無税)と思っていましたが、そうではないというのです。不思議です。なぜ、前後が「ので」で結ばれるのかもわかりませんでした。
posted by 乙 at 05:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 老後の生活 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年08月04日

孫への教育資金の贈与

 乙が先日別件で三菱UFJ信託銀行に出かけたとき、窓口に教育資金贈与信託「まごよろこぶ」のパンフレットが置いてありました。孫への教育資金が1500万円まで非課税で贈与できるという仕組みです。
 ネットにも広告が出ています。
http://www.lifeplan.tr.mufg.jp/zei/mago/index.html
 パンフレットには大きな文字でこう書いてあります。「手数料無料! 管理手数料のほか、払い出しにかかる手数料も無料でご利用いただけます。」
 手数料無料と聞くと、ちょっと心が動きます。
 しかし、パンフレットの下の方に小さな文字でこう書いてあります。(ネットの広告には書いてありません。)「次の信託報酬がかかります。【運用報酬:3月・9月の各25日および信託期間満了日に、金銭信託5年ものの運用収益から予定配当額(予定配当率と信託金の元本により計算される額)等を差し引いた金額。】
 確かに「手数料」は無料なんでしょうが、信託報酬が、何ともわかりにくい表現で書いてあります。
 念のため、乙は、信託銀行に電話して聞いてみました。その説明によると、これは、金銭信託で運用するので、たとえば、運用先から 0.08% の利息をもらって、預金者に 0.05% の利息を付けるとすれば、0.03% を信託銀行がもらうということだそうです。つまり、利用者には表だった負担はないということになります。

 さて、乙の場合に当てはめながら、これを申し込むかどうか、ちょっと考えてみました。
 教育資金は、孫一人あたり1500万円くらいはかかりそうです。
http://www.lifeplan.tr.mufg.jp/zei/mago/qa.html
によると、幼稚園から高校までの教育関連費用は、公立で500万円、私立で1700万円という話です。
 乙の場合、息子の一人が大学に進学したときは、授業料だけで年間200万円かかりました。6年も通ったので、それだけで1200万円かかったことになります。
 したがって、1500万円の贈与というのは現実的です。全部が教育のために使われる(そのような制約が付いている)というのは、祖父母の側にしてみれば、何ともありがたいものです。
 息子にそれぞれ孫が生まれるとして、孫の数を4人と考えましょうか。平成27年末までに4人生まれるかというのは不透明ですが、まあ、そう仮定しましょう。
 孫によって金額に差を付けるのはよろしくありませんから、平等に贈与するとします。1500万円ずつとすると、4人で合計6000万円です。贈与税を減らすにはまずまずの額でしょう。
 もっとも、今の時点で6000万円を贈与すると、ちょっと大変です。今、自宅を売るわけにも行きません。したがって、あちこちに投資している資金を環流させないと6000万円の現金はすぐには用意できません。つまり、6000万円は金額的にちょっと多いようです。
 一人500万円とすると、4人分合計で2000万円で、これだったら、さほど負担感もなく現金が用意できそうです。現実的にはこんなものでしょうか。
 しかし、一人500万円ならば、こんな制度を使うまでもなく、ときに触れ、年間100万円ずつ贈与すれば、5年ほどで500万円が贈与できてしまいます。ただし、普通の贈与では使用目的が「教育」に限定されません、当たり前ですが。
 とすると、教育資金贈与信託は、どんな人が使うといいのでしょうか。
 まず、祖父母が高齢で、何年もかけて贈与するのが間に合わないような(はっきり言えば死期が近づいている)人でしょう。孫が小学生以下でこれから教育費がかかる家庭である必要があります。贈与する金額が孫一人あたり数百万円というよりは1千万円以上あるといいでしょうから、運用資産数億円レベルの人ではないでしょうか。
http://nissya.com/archives/27670774.html
によると、「三井住友信託銀は27日までに2150件の契約を獲得し、213億円の入金があった。三菱UFJ信託銀も約3500件、入金額242億円の契約を得ている。」ということで、1件あたり平均1000万円といった感じです。

http://www.paci-gakushi.com/money/3469/
によると、「「電通」は孫への教育資金の贈与について、首都圏に住む小学生までの孫がいる50歳以上の祖父母2000人を対象にインターネットで調査しました。それによりますと、全体の45%の祖父母が「贈与したい」、「検討してみたい」と贈与の意向を示しているほか、祖父母と孫が同居している場合、この意向は半数以上の52%に上っています。また、贈与したいと考えている金額は平均で482万円だということです。」とあります。
 乙の場合、孫が3人だとすると、1千万円ずつ贈与すれば、3千万円になります。このくらいがせいぜいですかね。

http://kotominori.blog88.fc2.com/blog-entry-639.html
によると、申し込むなら(乙の場合、2013年9月を過ぎてしまいそうなので)、三菱UFJ信託銀行がよさそうです。
 なお、教育資金贈与信託は、孫一人あたり1500万円までということなので、嫁側の親がもしも教育資金贈与信託をしたいと言い出せば、合計で1500万円という制約があることになります。まあ言い出さないとは思いますが。
 さて、どうするか。悩ましいものです。
 孫が生まれる前に悩むのはおかしいですね。
posted by 乙 at 05:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 老後の生活 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年08月03日

川島博之(2012.11)『データで読み解く中国経済』東洋経済新報社

 乙が読んだ本です。「やがて中国の失速がはじまる」という副題が付いています。
 本書は中国経済をどう見るかを論じたものです。グラフや表がふんだんに使われ、それらに基づいた考察がなされるという論述スタイルで、信頼感があります。
 序章では「奇跡の成長とバブル」ということで、中国の現状を短く表現しています。奇跡の成長を遂げたけれども、今はバブルだというわけです。
 第1章「急速に少子高齢化する中国」では、一人っ子政策による中国の年齢別人口構成を見ていきます。中国は日本の25年遅れの状態だということです。バブルも25年遅れといえるのでしょうか。
 第2章「中国はごく普通の開発途上国」では、投資額が異常に多い中国の変な仕組みを論じます。いずれにせよ中国を「開発途上国」とみれば、不思議ではないのかもしれません。
 第3章「成長から取り残される農民」では、農民の貧しさを描きます。いろいろな統計資料を駆使して、中国政府が公表したくないところまで何とか探ろうとしています。これだけでも、中国がいかにいびつかが納得できます。
 第4章「都市住民は豊かになったのか」では、都市の生活に焦点を当てます。すると、統計資料からでは、クルマを買ったり住宅を買ったりすることは困難のように思えるけれど、現実には売れているわけで、どうも、公の統計資料に現れない裏金(役人の賄賂など)がけっこうな量に達しているようだということになります。
 第5章「中国解剖図」では、なぜ中国が奇跡の成長を遂げられたのか、その裏技を描きます。わかってしまうと、なあんだという感じになりますが、ここで描かれているような汚職が全国的に蔓延しているとしたら、中国人は幸せになれないような気がします。
 第6章「中国共産党と国家」では、具体的な人数の推定を入れながら、共産党がどのように中国の支配者となっているかを描きます。
 第7章「中国の「失われた20年」が始まった」では、無人マンションとかのバブルの影響を描きます。中国は、内需だけでは成長できないのですね。いよいよこれから問題が噴出するようです。
 第8章「日本への影響」では、中国と貿易の比率が高い日本が中国のバブル崩壊によってどんな影響があるかを描きます。

 一読して、中国の全体を把握できたように思います。投資家としては、こういう中国に関わり合いたくない気分にもなりますが、まあ、資金の一部は中国に突っ込んでおいたほうがいいのでしょうね。バブルが崩壊しない可能性もゼロではないわけですから。


ラベル:川島博之 中国
posted by 乙 at 08:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 投資関連本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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