その後、数ヶ月が経過しました。乙はその間不安でした。本当に資金が乙にバックされ、銀行口座に入金されるのだろうかということです。
考えてみると、海外ファンドは、自分の資金を運用会社の銀行口座に送金することで投資が始まります。投資開始はいわば簡単です。問題は、その資金が無事に戻ってくるかという点です。
運用会社が、まじめに資金をバックしてくれればいいのですが、書類が不備だとか、送金にはこれこれの情報が必要だとか、いろいろ言ってきて、送金してくれなかったらどうなるのでしょうか。そんなやりとりをしている途中に、連絡が切れてしまったら、どうなるのでしょうか。現代社会では電子メールによる連絡が一般的ですが、乙からのメールは先方に確実に届いているのでしょうか。またそのメールに対して先方が返信しなかったらどうなるのでしょうか。
普通の証券会社に口座を開いて、そこから投資している場合は、いざというときでも投資家の資金自体は確保されていると思いますが、海外ファンドでは、そこが確実ではありません。資金が無事に手元に戻ってくるまでは、信用リスクが伴います。
運用会社も変わることがあります。仲介業者(代理店)も変わることがあります。それでも最低限のコミュニケーションができるでしょうか。
たかだか数年程度で投資を止めるなら、まだ担当者などは変わらないでしょうが、乙のように10年以上も経過すると、担当者が変わることがあります。投資開始当時の担当者は退社してしまって、メールアドレスもなくなっているのは不思議でも何でもありません。そんな場合でも、十分な連絡はできるのでしょうか。
しかも、それらの連絡はすべて英語で行わなければならない場合があります。
13年前、乙はそういうことを特に負担ではないと思っていました。しかし、13年が過ぎて、乙の勤務先が変わり、働き方も変わってくると、必ずしもそうではなくなってきました。
海外ファンドに投資するべきでない第6の理由は、運用会社・仲介業者との連絡は大丈夫かという問題点があることです。
今回の話とは違いますが、数年前に、乙がメイヤー社の担当者にメールで問い合わせをしたことがありました。なかなか返事がないので、会社宛てにメールしたところ、その担当者はすでに退社していたということがありました。担当者が退社しても、特に連絡をくれるわけでもないようです。投資家の側が気をつけていなければならないようです。