目次は
http://www.tradersshop.com/bin/showprod?c=9784775940112
にあるので、ご参照ください。
Part1「オフショアの基礎知識」は、簡単なイントロダクションです。
Part2「Internaxx (インタナクス) 証券」からが本題です。
Internaxx 証券を利用して世界の株に投資しようということで、口座開設の手順やその後のファンドの売買手順などを詳しく説明しています。本書の価値は、まさにここにあるといえましょう。
では、Internaxx 証券経由の投資はどういうところに利点があるでしょうか。実はここが一番わからなかったところです。p.20 からこの証券会社のサービス内容を述べています。p.21 には、株式の売買手数料が書いてありますが、5000 ユーロ以下で、手数料 28 ユーロだそうです。約 5000 円です。けっこう高いと思います。かなりの資金を投資する場合は、それなりの意味がありますが、1000 万円程度の資金を運用するのでは、あまりメリットはないように感じました。
乙がヨーロッパの株を買うとしたら、Interactive Brokers を利用すると思いますが、こちらのほうが手数料が安いです。
p.37 からは、口座開設時の最初の資金の送金方法が説明されています。不思議な送金方法があったものです。マニュアルがなかったら、けっこうまごつくところでしょう。
その他、各種取引手順について丁寧で具体的な説明がなされており、まさに「マニュアル」と言っていいでしょう。ここまで丁寧に説明する必要があるのだろうかと思うくらいに徹底しています。
p.76 では、Man のファンドに投資する代わりに Man 社の株を買う方法が説明されます。乙は、この考え方を橘玲氏の本
2008.5.29 http://otsu.seesaa.net/article/98372824.html
で初めて知りましたが、ここが初出だったんですね。
Part3 は「Funds-SP.com」(スタンダード&プアーズ)の使い方を説明しています。Part4 は「FT.com 」(フィナンシャル・タイムズ)の使い方を説明しています。いずれも、サイトの説明ですが、実際にアクセスすればわかりそうな内容です。これで約 90 ページを費やしていますが、全体が 233 ページということを考えると、ちょっと(かなり)もったいないように思いました。
Part5「オフショアファンドの購入方法」もあまりパッとしません。ネット画面を貼り付けて日本語で説明しているといった感じです。香港の銀行あるいは証券会社経由で購入する方法と、直接購入する方法とが説明されますが、さほど目新しい情報はありませんでした。
Part6「Internaxx 証券 [デリバティブ編]」は、文字通りデリバティブを活用しようとする人のための記述で、乙には絵に描いた餅でした。
本のサイズがA4と大きいのですが、それは、パソコンの画面(WWW にアクセスした画面)をそのまま多数収録するためだったようです。このサイズは、ちと扱いに困ります。
大きくて厚みのある本ですが、内容には、かなりがっかりしてしまいました。乙は、あまりまじめに通読する気にもなれませんでした。
定価は 8400 円です。乙は、図書館で借りましたから無料でしたが、もしも自腹を切って買っていたらさぞや悔しい思いをしたことでしょう。
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