2008年06月11日

ヘッジファンドも一つの宗教か

 ヘッジファンド(海外ファンド)に投資することは是か非か。
 乙は、実はこの問題に関して回答を持っていません。実際は、ヘッジファンドに投資しているので、どちらかといえば「是」という考え方です。
2007.5.7 http://otsu.seesaa.net/article/41009406.html
 最近読んだ本では、橘玲氏の否定論がありました。
2008.5.29 http://otsu.seesaa.net/article/98372824.html
 また、山崎元氏などもヘッジファンド否定論者です。
2006.2.23 http://otsu.seesaa.net/article/13635228.html
 ちょっと前に見かけた DIAMOND ONLINE の記事
http://diamond.jp/series/yamazaki_econo/10022/
でも、山崎元氏は、ヘッジファンドは、運用成績が下がれば、すぐ償還してしまうということを挙げ、顧客は単なるカモだとしています。
 また、水瀬ケンイチ氏が引用している日経ヴェリタスの記事
http://randomwalker.blog19.fc2.com/blog-entry-713.html
によれば、ヘッジファンドはFPのアンケートでもっとも避けたい金融商品となっています。
 つまり、ヘッジファンド否定論者が大半だということになります。
 これに対して、ヘッジファンド擁護論は、あまり見あたりません。
http://archive.mag2.com/0000121186/20080418210000000.html
などは、そんな簡単に否定するべきでもないとしている例で、まれな擁護論の一つと言えるでしょう。
 以前、「株式投資は宗教か?」ということを考えました。
2008.3.26 http://otsu.seesaa.net/article/90971338.html
藤沢数希氏による「短期売買デイ・トレーディング教」、「長期投資ファンダメンタル教」、「インデックス・ファンド教」という宗派があるという考え方に対するコメントです。
 ヘッジファンドにも、もしかしたらヘッジファンド教という宗教があるのかもしれません。「ヘッジファンドは投資先として意味があるから、そこに投資しよう」という考え方のことを、ここでは宗教になぞらえて「ヘッジファンド教」と呼ぶことにします。ヘッジファンド教は投資家の信念ですから、他人からはなかなか変えられません。

 さて、乙の見方では、ヘッジファンド教にも、強弱の2種類があるようです。
 強いヘッジファンド教は、ヘッジファンドこそが最大のリターンを挙げるから、ここに(集中して)投資するのがベストだという考え方です。浅井隆氏をはじめとする国家破綻論者がすすめる海外投資は、多くの場合、ヘッジファンドです。
 しかし、乙は、このような強いヘッジファンド教は間違いだろうと思います。ヘッジファンドは万能ではなく、特に魔法の手法を持っているわけではないということです。ヘッジファンドだって、苦戦するのです。
2008.5.5 http://otsu.seesaa.net/article/95685999.html
 弱いヘッジファンド教は、ヘッジファンドのリターンを長期的に見れば株式のインデックスに負けるけれども、株式インデックスとの相関係数は低い(しばしばマイナス=逆相関だ)と見る見方です。もし、これが成り立つならば、債券投資と同じ理由でヘッジファンドへの投資が成立します。債券投資は、株式投資よりもリターンが低いけれども、株式との相関が低い(しばしばマイナスになる)ことによって、分散投資の一手段として(つまり株と同時に保有するようにして)資金の一部を投資する意味があるということです。ヘッジファンドも、この点で、株式のインデックス投資をする一方で、一部の資金をヘッジファンドに割り当てるという考え方があります。これが弱いヘッジファンド教です。
 最近は、アメリカの大学(の資産運用部門)やカルパースなどの年金基金が運用資金の一部をヘッジファンドに割り当てているなどという話を耳にします。これは、このような効果を考えてのことでしょう。
 このような弱いヘッジファンド教に関しては、明らかに間違いだともいえないように思っています。乙は、この意味でのヘッジファンド投資はありうると考えています。
 ただし、それぞれのヘッジファンドの投資方針による違いはきわめて大きいので、一般論としてヘッジファンド投資がすすめられるものではありません。
posted by 乙 at 04:19| Comment(3) | TrackBack(1) | 投資方針 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「インデックス・ファンド教」などに比べヘッジファンド教は一般的ではないですね。

これは、以前に比べると最低投資額のバーが下がってきたとはいえ、敷居が高いため個人投資家にとっては馴染みがない商品だからだと思います。

でも、海外の年金や大学、洗練された機関投資家の間ではもはや無くてはならない商品の地位を確立していますね。

私も現在研究中でして、もう少ししたら「入信」する予定です。

タイプは「強い」と「弱い」の間位を想定しています。
Posted by レバレッジ君 at 2008年06月12日 23:49
良いヘッジファンドなら、10年のリターン:ボラでみてNDEXよりずっと有利なものがありますよね。その点、いかがお考えでしょうか?
Posted by たぬき at 2008年06月15日 15:51
たぬき様
 インデックスファンド教の信者に言わせれば、以下のようになるでしょう。
 過去10年のリスクとリターンで見て、インデックスを上回るヘッジファンドがあるのは当然です。アクティブファンドの場合だって、インデックスを上回る成績を上げるファンドがあるのです。しかし、そういう(ヘッジ)ファンドがこれからもそのような好成績を上げ続ける保証はないのです。したがって、事前にそういう(ヘッジ)ファンドを見抜くことはできません。
 乙は、かなりの程度インデックスファンド教ですから、上の説明でかなり納得しています。しかし、完全にインデックスファンド教に入信しているわけではないので、一部には「ホントかな」と思う面もあります。単なる偶然でこういうことが起こっているというよりは、やはり、何かもっともな理由があってそのような好成績が出てきたのではないかと感じているからです。
Posted by at 2008年06月15日 16:12
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Tracked: 2008-06-12 00:13