現実のヘッジファンド業界を見ていると、どうもこれに近いように思えます。
この場合、投資家の立場から、自分が保有するファンドの成績を追いかけているだけでは、本質がつかめないことになります。あるところまで好成績を収めているようなケースでも、その後突然破綻してしまうようなことがあり得るからです。
試しに保有してみるという戦略は、ハイリスク投資において、結果的にうまく行くこともあるという事実からすると、(仮にうまく行ったとしても)本当にファンドの運用がうまく行われたということにはならないと考えられます。さらに、この傾向が将来も継続するということも、安易に期待してはいけないでしょう。
こんなふうに考えてくると、ヘッジファンド否定論(橘玲氏や山崎元氏)になってきます。
乙は、疑問がある場合でも、飛び込んで、そのファンドを保有してみて、うまく行けばそれでよし、ダメだったらそこで手を引けばいいと考えてきましたが、それでいいかどうか、検討するべきかと思います。
うまく行ったときに「うまく行ったのはそれなりに理由があったからだ」と考えるのか、「単なる偶然だったが、たまたまうまく行ったのだ」と考えるのか、これも難しい問題です。どうも前者のように考える人が多いし、人はそう信じたがるもののように思いますが、後者の考え方も否定できません。
しかし、「単なるたまたま」が連続するのは変ですから、一貫していい成績を上げ続けているようなファンドを見ると、「何かがあるに違いない」と考えたくなるのは当然です。