2008.8.8 http://otsu.seesaa.net/article/104383634.html
の姉妹編です。海外投資でよく利用される銀行・証券会社に関する情報を効率的に集めたもので、「究極の資産運用編」が金融商品の紹介ですから、この2冊があれば「どこで何を買うか」という二つの側面が満たされるわけです。
本書の記述は、
Part 1 タックスヘイブンからプライベートバンクまで! 海外投資の基礎知識
Part 2 口座開設から格安海外送金術まで! 海外銀行口座活用マニュアル
Part 3 世界中の市場にアクセスする! 海外証券会社の使い方バイブル
の三つの部分に分かれます。それぞれの先頭にある Q&A が充実していて、ここを読めば必要なことが一通りわかるようになっています。この分量で、こんなにも豊かな記述ができるというのは驚きです。橘氏、および海外投資を楽しむ会のたくさんの蓄積のたまものでしょう。
それぞれの銀行や証券会社の利用法を説明している部分は、あまりオリジナリティがありません(まあ当然ですが)。しかし、それでいいのではないでしょうか。
乙は、この中のいくつかを利用していますが、自分の利用している銀行・証券会社の記述を見ると、一通りのことがコンパクトに書かれていて、妥当なように思えます。(WWW の画面を貼り付けて説明している部分はやや冗長のように感じますが。)一方、自分が利用していない銀行・証券会社の記述を見ると、それぞれの特徴が手に取るようにわかり、利用するべきか否かの判断ができるように思います。
そんなことから、本書は、海外の銀行・証券会社の紹介としては、現在、もっとも優れたもののように思います。
本書を読んでいて、自分でも知らなかったことがありました。p.112 ですが、HSBC 香港で、送金先を登録しておいた場合、長期間使わないでいると、セキュリティの観点からその設定がリセットされるというのです。登録は、紙に書いて郵送して行ったので、それなりに手間がかかっているのですが、それが消えてしまうとなると、かなり残念です。乙が死んだ後に、家族がこの口座にアクセスして日本宛に送金するようなことを考えていたので、その段階で乙の日本の銀行の口座登録が消えていると、(乙が死んでいるので)書類にサインができず、したがって再度口座登録ができないことになりますので、問題になります。また、中には、口座の指定が難しかった場合もあったりします。何回か試して正しく登録できた場合もあります。銀行のウェブページに送金先の記録があれば、次回の送金にはそれを使うだけでいいと思いこんでいましたから、そういう設定が消えるとなるとこれまた問題です。「長期間」がどれくらいの時間を指すのか、書いてあるとありがたいと思いました。
また、本書を単純に読んでいると、矛盾するように思えるところもありました。インタラクティブブローカーズに関する記述ですが、p.239 下から2行目には「IB には両替機能はなく、」と書いてあります。一方、p.241 下から4行目では、「(乙注:日本円を)IB 内で米ドルに両替し、【中略】送金することで、格安のドル送金が可能になる。」とあります。実際のところは、FXで両替して、それが出金できるのですから、それは「両替機能がある」と見てもいいのではないでしょうか。
「究極の資産運用編」では、ミスプリが多かったですが、
2008.8.8 http://otsu.seesaa.net/article/104383634.html
本書は少なかったです。乙が気づいたものは p.120 右上のところの「Rela-tionship」(ハイフンが余分)だけでした。
本書も、ぜひ手元に置いておきたい良書だと思います。
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