2008年10月22日

Thames River High Income Fund の運用報告書

 乙は、Thames River High Income Fund を保有しています。
2006.7.22 http://otsu.seesaa.net/article/21181688.html
 しばらく前に、Annual Report & Audited Financial Statements が送られてきていました。2008.3.31 現在の運用報告書です。
 A4版で、11種類のファンドが相乗りで掲載されていますので、全体で 140 ページほどあり、まるで1冊の本です。届いてからも、読む気が起こらず、放っておきました。
 最近、気が向いて、ちょっと眺めてみました。
 まず、2007.4.1 から 2008.3.31 までの成績ですが、投資家の通貨別に次のように示されています。
Fund Return Index
EUR share +3.62% +3.82%
GBP share +5.38% +5.08%
USD share +4.74% +4.45%
NOK share +4.74% +4.42%
 乙の場合は USD share ですので、一応、ベンチマーク(JP Morgan Emerging Market Bond Index)を越えたということになります。
 p.24 から示されるように、このファンドはさまざまな通貨で世界中の債券に投資しています。したがって、期末にそれぞれの債券価格を確定したら、投資家の通貨別に換算し直すのでしょう。結果的にユーロだけがインデックスに負ける結果になりました。
 さて、インデックスに勝っている理由は何か。p.24 からの投資先の金融商品一覧を見るとわかります。Bonds(債券)だけでなく、p.26 には、Credit Default Swaps(いわゆる CDS ですね。今回のサブプライムローン問題で知られるようになりました)に投資していることが示されます。投資比率は 0.28% しかありませんが。
 また、p.26 には、同じく Equities (株式)にも投資していることが示されます。ただし、1.48% だけですから、これも問題になるわけではありません。Interest Rate Swap にも 0.31% の資金が振り向けられています。pp.27-28 は、options です。さまざまな国の CALL option と PUT option に資金を振り向けていることがわかります。ただし、比率は 2.48% だけです。このように、債券が中心の運用であっても、それ以外にも幅広く分散投資していることがわかります。運用益がインデックスを上回った理由はこれでしょう。
 p.56 によれば、資金の総額は、2007.3.31 現在で 1,668,642(千ドル)です。p.58 では、Total investment income 277,425 とありますから、単純にいえば、16.6% の利回りになったということでしょう。
 さて、ファンドのコストですが、これは p.58 に明記されています。千米ドル単位で示されています。Total investment income 277,425 に対して、さまざまな手数料を合わせたコストが 37,015 です。このうち、Management fee 25,817 とありますが、これは、運用資金の 1.5% のはずです。1,668,642×0.015=25,030 ですから、まあこんなものでしょう。運用資金は増減がありますから、必ずしもピッタリと一致するわけではありません。さまざまな手数料の合計 37,015 は、運用資金 1,668,642 の 2.2% となります。コストが高いといえば高いわけですが、しかし、粗利益として 16.6% あったとすれば、高コストでもいいのかもしれません。
 p.58 では、Increase in assets for the year attributable to holders of redeemable participating shares from operations のところに 157,118 と書いてあります。これだと、運用資金に対する比率は、157,118÷1,668,642 で 9.4% になるはずです。上記の Fund Return 4.74% と一致しません。この差は乙には理解できません。
 p.24 から、このファンドが保有している債券の一覧が示されていますが、p.25 の United States のところには Bear Stearns FRN 23.02.2010 などと書いてあります。Net Asset Value の 0.84% にあたるとのことです。なるほど。こういうこともあるのですね。最初にパラパラ見ていたときは、リーマン・ブラザーズの債券が入っていたように思いましたが、今は、探しても見つからないので、別のファンドのところだったのかもしれません。
 何はともあれ、やはり、英語の運用報告書を読むのはなかなか大変なことだと思いました。
posted by 乙 at 04:12| Comment(2) | TrackBack(0) | 海外ファンド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして良と申します。このファンドもリーマンショックの影響を思いっきり受けたようですね。
10月は中盤ですでに-25%のマイナスです。incomeは比較的安定的ということですがこの考えも今後見直さないといけないのでしょうかね?
Posted by 良 at 2008年10月30日 13:29
良様
 確かに、10月の急落には驚きました。
 それまでは、比較的安定的と考えていたのですがね。
 乙は、このファンドは、長く放っておくつもりです。
Posted by at 2008年10月30日 15:54
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