2008年10月23日

副島隆彦(2007.9)『守り抜け個人資産』祥伝社

 乙が読んだ本です。「国の金融管理が強まった」という副題が付いています。
 1年以上前に出た本ですが、帯には「世界は金融恐慌に雪崩れ込む! ドル安と株安、「暴落の時代」にいかに資産を防衛するべきか」などと書いてあり、2008 年現在の世界を言いあてているように感じました。
 目次を以下に示しておきましょう。
1章 恐ろしい金融管理――国の「統制経済」が強まっている
2章 個人資産は「ユーロ」「人民元」「金地金(きんじがね)」に移せ
3章 「景気回復」の大嘘――タンス預金が危ない
4章 資金の一部を国外に避難させよ
5章 「ドルと円の心中」が迫っている
6章 税務署は国民からお金を召し上げればいいと信じ込んでいる
7章 かくて日本のデフレ経済は続く

 というわけで、この目次を見ていると、本書にどんな内容が書かれているか、だいたい推定できます。
 以下では、乙が変だと思ったところを中心にいくつかコメントします。
 p.16 法 law のところに「ラー」とルビを振ってあります。p.17, p.39(2箇所), p.100 など、何ヵ所にも「ラー」という表記が出てきますから、これはミスプリではありません。副島氏は法科大学院のロースクールもラースクールと呼ぶ人なのでしょうか。ちなみに、英語では同じ母音(発音記号ではCが逆さまになった文字プラス長母音)を使っている語ですが、war(戦争)は p.46 で「ウォー」としていますし、pp.4-5 では、money laundering のことを「マネー・ローンダリング」と表記しています。
 p.33 「従来は日本の官僚組織は、4種類の官僚機構によって、「国民コード」(国民背番号)をそれぞれバラバラに管理していた。四つの官僚機構とは、まず@財務省=国税庁=税務署による個人と企業(法人)の「納税者番号制度」(納番)による管理である。」ということで始まります。p.34 ではA住民票コードに言及します。ところが、p.38 に進むと「B番目の力は経済産業省(旧通産省)が持っている、企業活動の全般に対する統制権である。」ということで、国民コードの話かと思っていたら、権力の話になります。同じ p.38 には「C番目は、法務省=裁判所=警察庁が持つ権力である。」となります。Bと同じ書き方です。国民コードの話と思っていると、いつの間にか権力の話にすり替わってしまいます。こういう書き方はわかりにくいと思います。
 p.115 「商業地に比べて減価率の低い住宅地の地価にしても、3分の1になっている。3分の1ということは、この15年の間に値段が 200% の下落をしたということだ。」とあります。3分の1になるときは、67% の下落といいます。簡単な算数です。
 p.191 中国の話ですが「女工さんでも月額で1200元(2万円)から1500元(3万円)ぐらいにまで高騰している。」とあります。為替レートをいくらに設定したのかわかりませんが、1200元と1500元では 25%増ですが、2万円と3万円では 50%増ですから、どうやっても話が合いません。
 これらのことを考慮すると、乙は著者の副島氏のいっていることがにわかには信じがたいように思いました。
 ちなみに、p.149 を見ると、
この本の著者である私の言うこと(書くこと)も簡単には信じてはいけないのかと問われれば、「そのとおりである」と私は答える。どんなに立派そうな素晴らしいことを書く人の考えも、すべて疑ってかからなければならない。

と書いてあります。こういうことを本に書いてはいけません。「著者を信じてはいけない」を素直に信じれば、「著者を信じてはいけない」ということばを信じてはいけなくなるわけで、矛盾しています。これは昔から知られている詭弁です。乙は、このような言葉があろうがなかろうが、間違いが多い本に書いてあることは全面的に信じないことにしています。
 ただし、pp.80-81 で、政府が発表する経済成長率の数字はウソだといっているところは、先日の日経新聞の話
2008.10.20 http://otsu.seesaa.net/article/108335372.html
と符合するので、乙は興味深く読みました。
 また、p.5 に出てくる話ですが、銀行では本人確認書類なしでは10万円以上の振込ができなくても、コンビニならばできるとのことです。このことは乙は気が付きませんでした。
 乙は、この本を他人に勧めようとは思いません。




ラベル:副島隆彦
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posted by 乙 at 03:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 投資関連本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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