2008年11月20日

NHKスペシャル「ワーキングプア」取材班(編)(2007.6)『ワーキングプア―日本を蝕む病』ポプラ社

 乙が読んだ本です。NHKが放送した二つの番組
2006.7.23「ワーキングプア〜働いても働いても豊かになれない〜」
2006.12.10「ワーキングプアU〜努力すれば抜け出せますか〜」
の内容をまとめて、本の形で読めるようにしたものです。
 ワーキングプアの実例を取り上げ、どんな生活をしているのか、具体的に記述します。テレビ局ですから、「絵」が必要なわけで、「こんなふうに撮影したのだろうな」と思わせるような記述がしばしば見られます。
 本書の結論(そもそもテレビ番組ですから、結論はないのかもしれませんが)は p.9 に書いてあります。
 『ワーキングプア』で取材させていただいた人々から教えられたのは、「仕事」「労働」は人間の尊厳、誇りであり、その「誇り」はきちんと守られなければならない、ということであった。

 本書は、テレビ番組がもとになっていますので、徹底的に「取材」で構成されています。登場人物はすべて「仮名」ですが、その人たちの置かれた状況を余すところなく伝えているといっていいでしょう。
 具体例を見ていくと、一体どうしたらいいのか、誰も答えが出せないような、そんなケースにたくさんぶつかります。もちろん、こんな本1冊でワーキングプアの解決策などが書かれるはずはありません。それにしても、大変な日常生活を送っている人がたくさんいるという現実に、打ちのめされたような気分になります。リアルであるだけにインパクトが大きいといえるでしょう。
 統計資料などを使った本などと比べると、描かれている人たちが現に生きて生活している人であるという、ドキュメンタリー番組特有の臨場感があります。
 乙が一番驚いたのはX「グローバル化の波にさらわれる中小企業」でした。国内の話ですが、中国人の研修生・実習生を安い給料で使って行かざるを得ない中小企業の姿が描かれます。しかし、一方では、そのようにして生産された製品の価格は当然低くなるわけで、他の製造者には、納入価格の下落という形で影響を与えます。こうして、食っていくことがむずかしいワーキングプアが生まれてしまうわけです。岐阜市の具体的な例が生々しく描かれますので、興味のある方は一読することをおすすめします。
 1冊読み終えて、日本の政治がどこかで間違っているように思えてきました。弱者を置いてきぼりにしているのではないでしょうか。本書に出てくる人々は、低収入でありながら、それなりに満足して生きているようです。でも、できたらもう少し給料を上げてやりたいような気になります。さもないと、あまりに生活が大変です。
 企業の経営者の立場からすれば、給料を上げるなんてもってのほか(他社との競争に負けてしまう)ということになるのでしょうけれど、……。




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posted by 乙 at 05:03| Comment(1) | TrackBack(0) | 投資関連本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
日本の企業が、株主のために働く、経費をつめる、でもその労働者も株式を買い株主であったり、他方の株主は投資(外資の投資銀行がCDO)で失敗したりと言う状況で、

負のループを作っていると書かれていたのを思い出しました。

これも政治による仕組みづくりに間違ったのかなと思います。
Posted by silencejoker at 2008年11月20日 07:54
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