2008年11月22日

三橋貴明(2008.5)『本当にヤバイ! 中国経済』彩図社

 乙が読んだ本です。「バブル崩壊の先に潜む双頭の蛇」という副題が付いています。
 前著『本当はヤバイ! 韓国経済』
2008.11.14 http://otsu.seesaa.net/article/109644338.html
に続く第2弾ということで、期待して読みました。しかし、今回は、韓国のときとちがって空回りしている感じがしました。
 著者の三橋氏は、中小企業診断士であり、各種の数表を読み解きながら、企業を診断します。その手法を国に適用したのが前著『本当はヤバイ! 韓国経済』というわけです。
 では、今回、中国について同様の考え方が述べられているでしょうか。否です。第1章「中国の最悪の輸出品」で述べられますが、中国の発表する統計数値はまったく信用できないとのことです。三橋氏は、いろいろな数値が捏造されていると述べています。ということになると、中国の経済がどうなっているか、数字に頼った分析ができなくなるわけで、中国の発表するものが何から何まで信用できないとすると、経済の診断のしようがありません。
 むしろ、中国の状況について、数字を出しながら書けば書くほど、「その数字はどこから得たのか、信頼できるのか」と疑問が膨らんでくることになります。数字を出さないとなると、マクロな記述はどうしてもうまくできません。
 そんなわけで、本書は、中国そのものについて記述している部分ももちろんありますが、題名の割には、アメリカやヨーロッパなどの話がかなりたくさん出てきます。中国の貿易の相手として欧米が重要であることはその通りですが、このような態度では、中国経済の分析として、いかがなものでしょうか。
 中国の統計があてにならないということで、外部の統計から中国の経済を描こうとする趣旨は理解しますが、……。
 結果的に、本書は、前著『本当はヤバイ! 韓国経済』と比べて、迫力不足のように感じました。
 本書のいうように、中国経済が危ないとしたら、どんなところが危ないか。これについては、pp.135-136 の2ページだけを読めば結論がわかります。6点の個条書きでまとめてあります。
 乙は、中国経済がヤバイのではなく、「ヤバイかどうかわからない、世の中の人が思っているよりはヤバイかもしれない」くらいに考えていればいいのではないかと思いました。
 なお、p.112 に出てくる国際収支の6段階という考え方はおもしろかったです。三橋氏のオリジナルではなく、他の人が言っているもののようですが、……。
 第1段階第2段階第3段階第4段階第5段階第6段階

未成熟な
債務国

成熟した
債務国
債務
返済国
未成熟の
債権国
成熟した
債権国
債権取り
崩し国
経常収支
赤字
赤字
黒字
巨額黒字
黒字
赤字
貿易収支
赤字
黒字
巨額黒字
黒字
赤字
赤字
所得収支
赤字
赤字
赤字
黒字
巨額黒字
黒字
資本収支
黒字
黒字
赤字
巨額赤字
赤字
黒字

 このうち、日本は第4段階だそうですが、中国は「どこにも当てはまらない」とのことです。これだけでも「変な国」ということになりそうです。




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posted by 乙 at 04:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 投資関連本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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