日銀の短観もひどい数値だったし、
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20081215AT2C1500M15122008.html
今は不況だという見方で国民的合意ができていると思います。
自動車産業が特にひどいようです。世界のどこでもクルマが売れないし、円高が進んで海外への輸出が伸びず、業績不振に陥っています。
乙は、たまたま朝日新聞社の記事「「また使い捨てか」「次は自分」 日産・派遣ゼロに怒り」
http://www.asahi.com/job/news/TKY200812170441.html
を読んだのですが、どうにも違和感が残る記事でした。
たとえば、こんな一節があります。
日産の17日の発表を聞き、「これだけ(派遣切りが)騒がれているにもかかわらず、また使い捨てるのか。いい加減にしろと言いたい」と憤る。
他社の派遣切りが騒がれているという理由で、自社は派遣切りをしないなどという判断があり得るのでしょうか。あり得ると考えるなら、その論理は間違っていると思います。また、「また使い捨てる」という言い方も変です。その派遣社員に対する契約の打ち切りは1回だけだったでしょう。「また」ではありません。
「なぜ僕らが解約されるのか、日産からの説明は今まで一度もなく、今回もなかった。それが残念」。九州工場(福岡県苅田町)で今月末で契約を解除される20代の男性派遣社員はこう話した。「全員解約」はある程度予想されたが、派遣社員は、みな改めて驚いているという。
この部分も、変な内容です。契約の打ち切りは、雇用期限が決まっているからであって、その期限が来れば、打ち切るのが当然です。特に理由があるときは、新たに別の契約を結んで再度雇用する場合もあるでしょうが、それは例外であり、むしろ、契約打ち切りが当然です。理由は要りません。派遣社員に説明する必要があるとも思いません。ただし、契約期間が満了する前に契約を打ち切るならば、それは「契約と違う」わけですから、説明が必要でしょう。
最後の1行は、ある程度予想されていたなら、驚くこともないはずで、矛盾しています。
そもそも、派遣社員のあり方が、そのような雇用の調整弁的な位置づけにあるといえますから、派遣社員の契約を打ち切るよりも、(派遣の契約をさらに延長しながら)正社員のクビを切ることを考えたとしたら、そのほうがよほど変です。
朝日新聞の記事は、「派遣の人はかわいそう」と言っているだけで、そのような心情を吐露してもほとんどムダです。派遣という働き方はそのようなものなのです。
もう少し客観的な立場からものを見れば、記事に書くべきことはだいぶ変わってくると思うのですが。
乙の場合、以前は朝日新聞を定期購読していたのですが、今はしていません。こういう違和感が主たる理由ではありませんが、少しは影響しているように思います。
例えば、悲しいテレビドラマを見て、悲しい気持ちにならなかったとしたら、それは脚本が悪いのか、主演女優がヘタなのか、そういう批判をすべきで、「テレビドラマは明るいテーマでなければおかしい。」と批判してもしょうがないと思います(例え話がヘタで申し訳ありません)。
朝日新聞は、「かわいそうな人がいます。」ということを伝えることを目的とした新聞ですし、もし、客観的な記事を書いたら、発行部数は激減すると思います。
コメント、ありがとうございます。
新聞は、(少なくとも形式上は)不偏不党をうたっています。実際は、いろいろと偏りがあるのは周知の事実ですが、それにしても、朝日新聞の記事は客観性がなく、「新聞記事」とは呼べないシロモノだと思いました。
札幌の不動産屋日記さんのように、朝日新聞はそういうものだと割り切ってしまえば、それはそれでいいのかもしれません。乙は、若干未練(ないしかなわぬ期待)があるのかもしれません。
そのような場合にも、「派遣は期間満了での打ち切りを前提なので問題ない」、という整理は形式的すぎると思います。企業と個人の実力差を考慮すれば、契約内容の判断には実質も加味も必要と考えます。
継続的に派遣契約が更新されているという実体、更新を前提とするような運用(例えば寮の使用形態など)が存在すれば、契約内容の理解はかわると思います。
ご承知のとおり、紙に書かれたことだけが契約内容ではないので。
派遣は派遣なのでは?
予算案に派遣や内定取り消しのための対策費が盛り込まれましたが、なぜ血税を投入されるのかと非常に腹立たしく思っております。
派遣や契約社員は継続雇用されず。そういう法体制を作ってきたはずで、そこに救済費投入は自己矛盾。変えるべき点があるとしたらもっと別の部分でしょう。
派遣で働いている間は節制し、貯金し、次に備えて然るべき。当たり前すぎる話。
>紙に書かれたことだけが契約内容ではない
その紙さえ読んでいない契約社員が大半なのでは?
その方が問題でしょう?
小生は派遣ではありませんが雇用形態にもなんの補償もなく、明日にでも会社が無くなるか解雇宣告されるかも知れません。寮生活で身寄りもありません。
そんな中で節約し、貯金し、いつ来るかわからない退寮に備えて路上で生活できるよう、運転免許を取り、軽自動車を購入しました。
(路上生活は違法でしょうが)
「派遣を切るな」「派遣はかわいそう」なんて恥ずかしくて寝言でも言えません。
>派遣は派遣なのでは?
異なる実質の派遣を同一扱いすべき理由がないので、書込み時の感情表現以上に意味を感じません。
例えば、黙示的に派遣契約の長期継続が合意された下で、企業がその合意を利用して当初契約にない残業や休日出勤をさせているケースもみられます。企業はこれにより恩恵を受けてきたが、景気が悪化したので上記黙示合意にはほうっかぶり、というのが現状です。これに対して単に「派遣は派遣」とされたら、普通「何故?」と感じませんか?
>派遣で働いている間は節制し、次に備えて然るべき。当たり前すぎる(略)
全働き手の30%以上が派遣、即ち自ら望んでではない場合も多い、という事実を認識された上での発言でしょうか?
>その紙さえ読んでいない契約社員が大半なのでは?その方が問題でしょう?
「その方が問題」なのではなく、「それは別の問題」です。そして、両問題は、併行して対処可能な性質なので、一方の存在が他方への対処不要という結論にはなりませんよね? 失礼ですが、私の意見への否定になってません。
>路上で生活できるよう、運転免許を取り、軽自動車を購入しました。
フランカー様は、派遣に対して「血税
投入は非常に腹立たしい」とお考えですが、上記対処とそれほど違いがあるとは思えません。つまり、@血税でつくった道路は路上生活用じゃないし、そのために交通が阻害されるのはゴメン、A軽自動車に対する税の軽減の趣旨を踏まえれば、生活目的での保有なのに、低い税負担で済ませるのは腹立たしい、となります。
ただ、「じゃ、生活保護等で対処なの?」といわれると、社会の構成員(社)が負担を分担して我慢するかぁとするのが穏当かと。
コメントは、すべて承認制ですので、乙の判断で元の記事内容と関係がないと思えばコメントを削除しますが、関連があれば、コメントを表示いたします。
ただし、ハンドル名か何かを付けていただくほうが、どの発言とどの発言が同一人物の発言かがわかりやすくなるので、お互いに便利ではないかと思います。
発端になった朝日新聞の記事ですが、朝日だけでなく派遣問題については極めて一面的な報道しかなく、会社(事務系です)で社員と派遣を上手く使わねばならない管理職の立場にある身としては、日頃より怒りに近い違和感を持っている者です。
先ず派遣法では、派遣は短期雇用であり、長期の安定雇用は派遣でするべきではないと想定しています。短期(長くても2〜3年の様です)の契約期間で打切りになるのは当たり前の雇用形態です。もし雇用者側がこの人を使い続けたいなら、社員化のオファーをしなくてはなりません。
私の知る限り派遣の人にも2種類います。一つは社員にまつわる色々な制約を嫌って積極的に派遣を選んでいる人。他方は社員として安定した職を得たい希望はあるが。現時点で求人は無く、妥協解として派遣登録している人です。
前者は派遣法を上手に利用している人であり、同情の必要もないです。問題は後者で、そもそも希望形態ではないので、色々な解釈の不一致が起こります。さらに雇用者側も景気の良いときは確保が難しいので、寮を提供する等と派遣法の精神から外れた法的にグレーゾーンのことまでしています。
雇われる側に社員・派遣のメリット・デメリットの認識が不十分で、安易に派遣が拡大した結果、景気調整時に、当たり前のこととして、大量の派遣打切りが発生したのが現在です。
報道が問題視すべきは、派遣という雇用形態
を雇用者側も被雇用者側も安易に考えてないか?ということです。
問題にすべき企業もあるでしょうし、労働者側にも努力が足りないと責められるべき部分があります。このあたりの切り込みが足らない報道ばかりで、いい加減うんざりしてます。
尚、労働者に自助努力のスキルアップを求めても、現実には難しい部分はあると思うので、そこは国が支援する手もありますが、この辺りは、もう少し広く賛同を得られるために議論が必要かもしれません。