210 ページほどの本ですが、内容がとても良くまとまっています。
p.iv で、プリウス所有者同士の「集まり」があるという話です。自分と同じ価値観を持つ人同士がどんな人なのか、会って話をしてみたいということです。乙は、この話を読んで、ブログのオフ会の価値はそこにあると思いました。
p.xi は、まだ本文が始まっていませんが、著者への問い合わせに備えて、連絡先が明示してあります。とても良心的です。著者の意気込みを感じさせます。
p.82 資産として、金融資産の他に、自分資産と関係資産を挙げています。自分資産は、自分自身が資産であるということで、おもしろい見方です。関係資産は(家族を含む)人脈のことです。なるほど、こういうのも「資産」なのですね。
p.100 新興国株の割合を先進国株と同じにする話が出てきます。
この話は、乙のブログに書いたことがある
2007.11.28 http://otsu.seesaa.net/article/69520802.html
のですが、とても興味深い見方です。
p.113 から、安全資産として円建て MMF を挙げているのもおもしろかったです。普通は個人向け国債などを挙げると思いますが、円建て MMF も似たようなものと思います。
pp.116-117 で、カンさんの説くような分散投資をしている場合、「今まで、「リスク資産」の損失部分が、年間ベースで 30% を超えたお客様はおられません。」としています。それはそうかもしれませんが、さて、2008 年はどうだったのでしょうか。こんなにもひどい世界同時株安と円高でしたから、リスク資産の損失が 30% で済めばいいほうなのではないかと思うのですが、……。
ともあれ、ETF 投資に関して、こんなにもわかりやすく書いてある本は見たことがありません。タイトルに偽りなしです。これから投資をはじめる人には、まずこの1冊をオススメしたいと思います。
【関連する記事】
- 香川健介(2017.3)『10万円からできる! お金の守り方教えます』二見書房
- 大江英樹、井戸美枝(2017.2)『定年男子 定年女子』日経BP社
- 天達泰章(2013.6)『日本財政が破綻するとき』日本経済新聞出版社
- 安間伸(2015.11)『ホントは教えたくない資産運用のカラクリ 投資と税金編 ..
- 橘玲(2014.9)『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 2015』幻冬舎
- 橘玲(2014.5)『臆病者のための億万長者入門』(文春新書)文藝春秋
- ピーター・D・シフ、アンドリュー・J・シフ(2011.6)『なぜ政府は信頼できな..
- 小幡績(2013.5)『ハイブリッド・バブル』ダイヤモンド社
- 吉本佳生(2013.4)『日本の景気は賃金が決める』(講談社現代新書)講談社
- 川島博之(2012.11)『データで読み解く中国経済』東洋経済新報社
- 吉本佳生(2011.10)『日本経済の奇妙な常識』(講談社現代新書)講談社
- 野口悠紀雄(2013.1)『金融緩和で日本は破綻する』ダイヤモンド社
- 吉田繁治(2012.10)『マネーの正体』ビジネス社
- 午堂登紀雄(2012.4)『日本脱出』あさ出版
- ウォルター・ブロック(2011.2)『不道徳な経済学』講談社+α文庫
- 内藤忍(2011.4)『こんな時代を生き抜くためのウラ「お金学」講義』大和書房
- 瀬川正仁(2008.8)『老いて男はアジアをめざす』バジリコ
- 増田悦佐(2012.1)『日本と世界を直撃するマネー大動乱』マガジンハウス
- 藤沢数希(2011.10)『日本人がグローバル資本主義を生き抜くための経済学入門..
- きたみりゅうじ(2005.10)『フリーランスを代表して申告と節税について教わっ..
誠にありがとうございます。
P116-117の、
>「今まで、「リスク資産」の損失部分が、年間ベースで 30% を超えたお客様はおられません。」
の部分ですが、(残念ながら)08年11月時点で
リ・バランスを迎えられたお客様で、
リスク資産部分の損失30%超が発生してしまっています。
(今後も大きく負けないポートフォリオについて、
創意工夫を重ねていきたいと思っています)
このたびは書評をいただき、
本当にありがとうございました。
ご本人からコメントをいただけるとは光栄です。
なるほど、2008 年は例外的に運用成績が思わしくなかったわけですね。
この本に書いてある内容がまちがっているわけではなく、2008 年後半の株価の下落がきわめて異常事態だったのだということですね。