ネットでも一部読めます。
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20090116AT1D150D215012009.html
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20090116AT1D150D215012009.html
マーチという国内専用車を生産するのが全部タイになるというのですから驚きです。
とうとう有力自動車メーカーの一つが日本から逃げ出したかっこうになっています。(今のところは、全車種を海外生産するわけではありませんから、こんなことをいうと言い過ぎのように響きますが。)これこそ本当の意味の「リストラ」です。
日産は、国内の何に嫌気がさしたのか、詳細はわかりませんが、人件費の高さでしょうね。
こうして国内の産業の空洞化が進行するのですね。
乙は、今の日本経済を象徴するニュースのように思いました。
日本では、派遣切り(派遣契約満了時点で次の派遣契約をしないこと、さらには契約期間が満了にならないうちに契約を破棄すること)が問題になっていますが、そんなのは今回のニュースに比べればどうということもない小さな事件です。今回の日産の決定のほうがはるかに大きな意味を持ちます。派遣がどうのこうの、雇用期間がどうのこうの、など、すべて問題になりません。外国で生産するのですから、日本では生産部門の社員は一切不要です。
自動車産業といえば、たくさんの部品を調達し、それらを組み立てて生産するわけで、そのためたくさんの関連会社が存在するのですが、日産がタイで生産するようになれば、それらの関連会社もタイに移転することを考えるでしょう。(全部移転するわけではないとしても。)
日本の経済状況が今のままなら、日産としては、マーチだけでなく、他車種も外国で生産するようになるのは当然ですし、これがコスト削減に有効だとわかれば(すでにわかっているので今回の判断にいたったのでしょうが)他の自動車会社も追随するでしょうし、自動車産業でそうなら、他業種でもそうなるでしょう。
個々の会社の経営上の判断ですから、他からやめさせる圧力をかけるわけにもいかないでしょう。
しかし、個々の会社の判断の総体が日本の今後のあり方を決めていきます。そうです。日本から会社が脱出していくのです。国内にとどまっている会社は競争力を失うかもしれません。
アメリカの会社などでも、すでに、生産部分は外国で行う例が多数出ています。国内で行うのは、企画や開発などに限定されます。
経済のグローバル化とは、こういうことであり、この波に乗れなければ、会社が沈んでいくだけです。
しかし、こうした会社の判断の積み重ねで、日本が全体としてだんだんと沈んでいくのではないでしょうか。こういう問題は、政治的であれ何であれ、解決することはむずかしいと思います。(今までのクルマではない、新しいクルマ作りをするしかないように思います。電気自動車ですかね。)
今回のニュースは、まさか、製造業の派遣禁止などの規制強化で国内に居づらくなったからということでタイに逃げ出すのではないはずですが、しかし、昨今の世論を見ていると、そんなことも影響しているような気がしてきます。