2009年01月18日

清水美和(2008.2)『「中国問題」の内幕』(ちくま新書)筑摩書房

 乙が読んだ本です。
 読み出してすぐのプロローグ(pp.7-11)に、ちょっとありえない(考えられない)ようなトラブルが出てきます。日本人駐在員が中国で巻き込まれたトラブルです。こんな話が続くのか、だったら読んでみようと思って読み始めたのですが、本書は全体にあまりおもしろくありませんでした。
 目次は、以下の通りです。
プロローグ――「不思議の国」と付き合う法
第1章 温家宝首相の来日を追う
第2章 歴史に呪縛された日中関係
第3章 試練に立つ共産党支配
第4章 台頭する共青団の実力
第5章 中国軍の思想と行動
第6章 社会を破壊する格差
第7章 党中央宣伝部とメディアの自由
第8章 未完の「胡錦涛革命」

 この中では、第6章と第7章がおもしろかったように思いました。
 第6章は、中国の中の格差問題を取り上げて解説しています。最近制定された「物権法」も、実は農民などの評判は必ずしも良くないのだそうで、反対声明が出されるなどと聞くと、意外に思いました。p.183 では、物権法が豊かで力のある者の所有権を保護する一方、貧しく力のない者からの「合法的」な収奪をいっそう進行させることがあるとしています。
 第7章は、メディアが自由に何でも書けない現状を解説しています。最近は、以前のような共産党によるガチガチの取り締まり体質と若干違ってきている面もあるようですが、基本的にはメディアの自由がない国です。
 これ以外の章は、乙はあまり興味が持てませんでした。投資と直接関連しないということもあると思いますが、乙の中国に関する知識が不足しているためではないかと思いました。典型的には中国の人名です。国家主席クラスの人は、だいたいどんな人かわかりますが、それ以下の政治局員などに関しては、人名をいわれてもさっぱり実感がわきません。少なくとも顔が浮かんできません。しかし、本書では、そのようなレベルで、誰々がどうこうしたというようなことがたくさん出てきます。こうなると、どうもおもしろく感じないのです。
 それはさておき、中国の現実は、なかなかきびしいもののようです。中国国内にかなりの不満が溜まっているように思えます。それが今後噴き出すのか、あるいはすでに噴き出している(報道されていないだけ)と見るべきか、いつ何が起きるかわからない不安感があります。
 やはり、中国投資は慎重であるべきかもしれません。


ラベル:清水美和 中国
【関連する記事】
posted by 乙 at 05:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 投資関連本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック