乙は、お金持ちに関する本を、何冊か、読みました。
ハーブ・エッカー(2005.10)『ミリオネア・マインド 大金持ちになれる人』
2009.1.14 http://otsu.seesaa.net/article/112582648.html
本田健(2008.4)『普通の人がこうして億万長者になった 』
2008.12.14 http://otsu.seesaa.net/article/111187925.html
ピーター・W・バーンスタイン,アナリン・スワン(2008.8)『ビリオネア生活白書』
2008.12.6 http://otsu.seesaa.net/article/110767867.html
橘木俊詔,森剛志(2005.3)『日本のお金持ち研究』
2008.11.24 http://otsu.seesaa.net/article/110062347.html
トマス・J・スタンリー, ウィリアム・D・ダンコ(1997.9)『となりの億万長者』
2008.11.9 http://otsu.seesaa.net/article/109300763.html
しかし、お金持ちの妻に関する本は初めてです。
序章では「容姿端麗は絶対条件ではない」と題して、玉の輿に乗る結婚はあまりないことを示しています。p.11 あたりでは、「玉の輿仮説」は成り立たず、現代ではキャリアウーマン型の妻が多いということが書いてあります。
乙も含めて、一般人の多くが知りたいと思うような話題(?)を最初に持ってきて、本書を読ませるようにし向けています。乙もこの手法に引っかかって本書を読む気になってしまいました。
本書は、お金持ちの妻に対するアンケート調査の結果を中心にまとめています。
では、どんなアンケートだったか。p.9 に概要が書いてあります。2年にわたって年間納税額 3000 万円以上(年収約1億円以上)の 6000 人と、年間納税額 1000 万円以上(年収は 3000 万円以上)の 1000 人にアンケートを送付したとのことです。で、肝心の回収数ですが、118 通です。うち有効回収数は 108 通だそうです。7000 通も発送して、たった 108 人。1.5% の回収率ということになります。これでは、お金持ち妻の平均的な像は描けないでしょう。ごくわずかの「積極派」(意識的にアンケートに回答するタイプ)を描いているに過ぎません。では、どんな人が積極的だったか。前述のように、キャリアウーマン型の人です。自分の人生に対する明確な意識などなく、のほほんとしていて、気が付いたらお金持ちの妻になっていたような人(失礼な言い方をして恐縮です)は、こういうアンケートには回答しない傾向があるのではないでしょうか。
乙は、この調査結果にはかなり疑問を抱かざるを得ないと思いました。
本書は、第2章で「お金持ち妻の就業」、第3章で「お金持ち妻の節税」を述べています。このあたりは、キャリアウーマン型の回答者が多かったためにこのような記述になったと思いますが、お金持ち妻のある側面を描き出しているだけのように思います。
また、第5章「上流階級と家事使用人の歴史」は、戦前の華族の話ですし、第6章「スーパーキャリアウーマンという生き方」は、今回のアンケート調査の結果ではなく、別の統計資料を使った記述で、アメリカ女性の場合などを論じています。
p.148 でお金持ち妻のお金の使い方が述べられていますが、「周りの人に合わせて使う」ということで、しかも「周りの人」はあまり裕福でない人が多いので、結果的に、お金持ちでもあまり派手な出費はしないとのことです。ここは、妙に納得しました。
というわけで、乙は期待を持って読み始めたのですが、本書全体を通読すると、かなり残念な内容になってしまったという印象を受けました。
まあ、投資ではお金持ちになることはほとんどない(お金持ちが投資をすることは大いにあるわけですが)ので、別世界をちょっとのぞき見たような感じでした。
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