2009年02月02日

エンジェルファンドの運用状況報告書

 乙は、エンジェルファンドには投資しないという判断を固めましたが、
2008.8.14 http://otsu.seesaa.net/article/104714407.html
その後、ネットで運用状況報告書を読むことができるようになっており、以前とはだいぶ違ってきました。
 さっそく、1月発行の12月の運用状況を見てみましょう。
http://www.angelcom.co.jp/reportmonth/report2009january.pdf
 p.2 では、エンジェルファンドの総運用金額が約15億円であることが示されています。こういう大切な情報が、以前は非開示だったのですが、開示されたのは大変望ましいことです。
 さて、p.2 に運用成績が載っています。12月の一ヶ月間で全体の運用益が +8.5803% だとのことです。1,363,269,724 JPY が1ヵ月で 1,480,241,638 JPY になったというわけですから、本当だとすれば、すごい話です。
 ところで、この運用状況報告書ですが、肝心な投資家への配当(分配金)が記載されていません。出資金に対して毎月 2.5% の配当があるはずですから、決算では、その分を減額してファンドの時価総額を出さなければならないはずです。それがまったく記載されていません。
 それから、このファンドでは、毎月の運用益の内 2.5% を越える部分は運用会社が全部受け取ることになっているはずです。その記載もありません。
 このようにしてファンドの運用益を投資家あるいは運用会社が全部受け取る形になっていると、端数のない出資金(1口5万円単位)は、ずっと端数が付かないままになります。しかし、運用状況報告書には端数の付いている総運用額が記載されています。これは何を意味しているのでしょうか。
 また、新たに参加した投資家(出資者)もいるはずですが、その人の出資分の記載もありません。
 p.2 の真ん中あたりに、ポートフォリオが載っていますが、次のように記載されています。

FX運用              0.0040%
日経225運用(先物)     -0.0032%
国内株式割安株運用     0.0155%
運用会社への運用委託A社 4.1227%
運用会社への運用委託B社 2.7207%
運用会社への運用委託C社 1.5005%
運用会社への運用委託D社 0.0734%
運用会社への運用委託E社 0.1467%
【中略】
合計               8.5803%

 それぞれの区分の運用成績を足していくと、8.5803% になりますが、こういう書き方はポートフォリオになっていません。
 書くべきは、全体を 100% としたとき、それぞれの運用に何%を配分したのかということと、それぞれの運用ごとに何%の運用益があったか(この場合の運用益は、それぞれの運用ごとの資金を 100 として計算します)ということです。それがわかれば、全体の運用益も計算されます。
 p.3 では、国内割安株運用は、3%のプラスになったと書いてあります。p.2 では、0.0155% となっていますから、総資金の 0.5% 程度を振り向けたことになります。0.5% の部分で 3% の利益を上げると、全体では 0.0155% の利益を上げたことになるわけです。ここでいう 0.5% というのがポートフォリオというべきものです。
 しかし、p.4 では、p.2 の数値と同じ運用益が書いてあり、国内割安株運用のところの記載と方針が一致しません。
 p.5 には、毎月の運用益がグラフと表で示されます。毎月すごい成績を上げています。でも、平成20年7月のところが、表では 13.05% と書いてあるのに、グラフでは 7.62% となっていて、こんな大事な数字に間違いがあることで、報告書の信用を落としています。
 エンジェルファンドは、30号とか31号のように、子ファンド単位で募集しています。しかし、この運用状況報告書は子ファンド単位のものではなく、親ファンド全体のもののようです。こういうことでいいのでしょうか。

 ついでに、11月分の運用報告書を見てみました。
http://www.angelcom.co.jp/reportmonth/report2008december.pdf
その p.2 には、平成20年11月30日時点の数字として、エンジェルファンドからの総投資額 1,124,600,000 JPY と総投資額に複利金を加えた実質運用総額 1,131,155,000 JPY という数字が載っています。この 1,131,155,000 という数字と、12月分の当初の総運用額 1,363,269,724 の関係がわかりません。常識的には一致するはずです。

 乙の感覚では、これでは「運用状況報告書」といえません。通常の投資信託の報告書と比べて、まったく不透明です。やはり、エンジェルファンドには投資しないという乙の判断は揺らぎません。
2009.5.16 追記
 この話の続きを
http://otsu.seesaa.net/article/119595762.html
に書きました。
 よろしければご参照ください。

posted by 乙 at 06:40| Comment(0) | TrackBack(0) | その他の投資 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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