23歳になったときからドルコスト平均法で毎月1回日経平均を買い続けたと仮定した場合、現在65歳未満の人は全員含み損を抱えてしまっているという話で、65歳以上の人だけが含み益があるという話です。
前田氏は、記事の中で「物価上昇による目減り分も考慮すれば、戦後生まれにとって株式市場は資産を減らす場所だった。政府が「貯蓄から投資へ」と背中を押しても、賢い個人が動かないのは当然であろう。」と述べています。41年間もドルコスト平均法を続けてきて、それでもマイナスとは一体どういうことだといいたくなる気持ちもわかります。
木田知廣氏のマネカレ指数
2009.3.2 http://otsu.seesaa.net/article/115015523.html
のように 2006 年からの(たった3年の)ドルコスト平均法でもマイナスになってしまうという話とはスケールが違います。41年間ですよ、41年間。
しかし、前田氏のコラムをあまり単純に信じて、「だからドルコスト平均法は儲からないんだ」と結論づけてはいけません。
なぜならば、前田氏の計算は、株価の水準として3月9日の終値(日経平均株価がバブル崩壊後の安値を更新したとき)を基準にしているからです。たまたま安値を更新した日の株価で計算したからこういう結論になったのです。ちょっと株価が上がれば、前田氏の計算は大きく変わってしまい、結論も違ってきます。(株価が下げても結論は変わりますが。)つまり、ドルコスト平均法による運用結果は、どの時点で評価するかで結論が大きく動くのです。
安値を記録した日を基準に考えて「だからダメなんだ」と主張するのは、一方的です。
いろいろな日を基準に考えて、ドルコスト平均法が有利か不利かを見るべきです。半年前だったら、結論が大きく異なるのはわかってもらえるでしょうね。それだけ、今の株価が異常なのです。
メルマガ「一緒に歩もう!小富豪への道」
http://archive.mag2.com/0000141697/20090310150001000.html
では、前田氏の記事に同調して、ドルコスト平均法に関して悲観的な見解を述べています。
定番のドルコスト法すら、日本株に当てはめるとほとんど無力で、長期投資によって日本人は資産を失ってゆくばかり、上記の計算結果はそのことを示しています。
言い換えれば、長期投資の有効性をひたすら信じ、もっとも有効と考えられたドルコスト平均法で投資を行っても、65歳以下の人は全て投資に失敗したということです。
しかし、そんなに気にすることはないというのが乙の考えです。
おっしゃるとおりです。
ドルコスト平均法の考え方では、買うときのことしか話題になりませんね。
売るときもまったく同じです。
少しずつ売るのがいいと思います。
実際のところ、乙は、退職後は運用している資産を少しずつ取り崩すつもりです。
少しずつ売ったり買ったりしながらアセットアロケーションを調整していくのが望ましい投資方法なんだろうと思います。
ドルコスト平均法ですが、目指せ億万/オフショア投資を考える さんのブログ
http://blog.livedoor.jp/m_hidaka/archives/51066194.html
の fund-B では1年から7年ぐらいまでの間は損になり、その後10年まではリターンが出ていますので、乙川さんがおっしゃるように基準日をいつにするかによって変わってくると思います。
では、fund-Bのカーブをこの後数回繰り返したらどうなるかですが、積み立て合計額は増えるものの損得の分岐点は1つのサイクルの始まりから7年目になるのは変わらないと思います。
1つのアセットクラスのみに投資した場合は、確かに上のようになると思いますが、例えば日本株と日本債券を50%づつ持ち、定期的にリバランスを行いますと、徐々に分岐点は7年よりも前にやって来るのではないかと思います。(検証をしたわけではありませんが。。)
乙も、このブログを読み、とても興味を持ちました。
2008.11.28 http://otsu.seesaa.net/article/110326119.html
に感想を書きましたので、よろしければご参照ください。
算定する基準日により有利・不利が存在するということは、ドルコスト法が価格の変動リスクに対してリスクヘッジとならないことを端的に示すものではないでしょうか。
売りも分散するとよいとのことですが、そもそもドルコスト法は、価格変動は予測できないことを前提にした売買法だと思いますので、退職後ゆっくり売ろうと思っても今回のような状況に見舞われれば、やはり変動リスクを避けることはできないと思いますが、どのようにお考えですか。
いつもブログ見させていただいています。
ドルコスト平均法については、
山崎元氏が、どちらかというと(かなり?)
否定的ですよね。
私自身は、以前会社の持ち株会でやっていた
のを除くと、この方法はやっていないですね。
(ちなみに、持ち株会は一極集中になるので、全株式解約しました。)
一番いいのは、現在のような強烈な下げ相場
のような状況ですよね。
上げ相場なら早い段階で入れて、あとは
放っておくのが一番だとは思います。
当然、そう上手くいかないんですけど。
私はつい最近、ブログを始めたばかりなのですが、まだ上手く書けないですね。
http://note-m.seesaa.net/
それでは、これからも興味深い記事楽しみにしてます!
売るときも、価格変動リスクは避けられません。
しかし、買うときと同様に少しずつ(同じ金額分を)売ることで価格変動を少しはマシなほうにシフトさせることができると思います。
一気に現金化するよりはいいという程度の意味しかありませんが。
ドルコスト平均法ですが、どちらかというと毎月の給料のうちから少しずつためていこう〜。
っというだけだと思います。もちろん市場が常にプラスなら元からお金を持っている人のほうがプラスですが、そのために、それほど収入がない人が、大きな財産を投入することは無いだろうという話だと思っています。
場合によっては毎月証券会社にある程度のお金が入ってくる割のいい話のようにも取れますが、、そればかりではないというのが自分の思いです。
もちろん、定期預金にドルコスト平均法もありだと思います。
ドルコスト法が長期的な価格変動に対してなんのヘッジ機能もないとしたら、運頼みの方法のように思いますがちがうのでしょうか。
もし宝くじ的な発想の投資ということなら、リスクヘッジをしない理由は納得できます。
しかしながら、己川さんの目標期待値は年平均7%とあり、そのことと矛盾します。
価格変動のリスク管理をせずに、債券とのリバランスだけで年平均7%を達成できるでしょうか。己川さんは米国債券を買っておられたように記憶していますが、今回の米国政府の対応によりその債券価格は株価が下がる中においても下落圧力がかかっています。そのことをどう捉えておられますか。
>ドルコスト法が長期的な価格変動に対してなんのヘッジ機能もないとしたら、運頼みの方法のように思いますがちがうのでしょうか。
理論的には、ドルコスト平均法が(その他の方法に比べて)特に有利だというわけではありません。ドルコスト平均法が運頼みの方法だといわれれば、他の全ての方法も運頼みの方法だと思います。
>もし宝くじ的な発想の投資ということなら、リスクヘッジをしない理由は納得できます。
>しかしながら、己川さんの目標期待値は年平均7%とあり、そのことと矛盾します。
痛いところを突かれました。
7% の目標は、ちょっと言い過ぎたかと思っています。
>価格変動のリスク管理をせずに、債券とのリバランスだけで年平均7%を達成できるでしょうか。
いいえ、できません。
>己川さんは米国債券を買っておられたように記憶していますが、今回の米国政府の対応によりその債券価格は株価が下がる中においても下落圧力がかかっています。そのことをどう捉えておられますか。
債券投資と 7% のリターンは矛盾していると思っています。
リーマン・ブラザーズの株に全額ドルコスト平均していれば大損でしょう。
ただ、記事本体を読んでいないのですが、その日経平均は配当込みだったんでしょうかね?分かりますでしょうか?それでだいぶ結果が変わる気がするのですが・・・
配当込みかどうか、記事には明記されていませんでした。
実際にそのように投資したというよりも、日経平均という数値を使って計算してみたというのが記事の趣旨でしたから、配当は含まれていないと思います。
確かに、数十年も継続すれば、配当も無視できない大きさになると思います。
ご指摘、ありがとうございました。
ただし、損失はリスクヘッジを行うことにより限定することができます。損失のリスクを限定することは、期待するリターンを達成するために必要不可欠なことだと思います。
実は私はほんの1,2年前まで己川さんと同じような発想で同じような運用をしておりました。しかし、今回のサブプライムによる下落のかなり早い段階でその矛盾にきづいて投資法を抜本的に見直しました。
長期投資実践者の共通して見られる傾向は、投資目的のあいまいさと、リスク管理の希薄さです。私が己川さんに失礼ながら指摘したかったのはその点です。
「株価は長期的には上昇する」という前提に立てば、リスクヘッジが不要と言う考えは間違っていると思います。
今回のような実在するお金の何倍ものレバレッジ経済が招いた経済環境の急激な変化、環境破壊、紛争など運用期間が長くなればなるほどそこに影響し得る不確定要素の数は多くなると思います。
過去がそうだったから、今後もそうなるだろうというのは思考停止型の投資行動にしか私には見えません。
だからこそ、時間分散を含むドルコスト平均法なんだと思うんですが・・
>過去がそうだったから、今後もそうなるだろうというのは思考停止型の投資行動にしか私には見えません。
「過去がそうだったから、今後もそうなるだろう」と思考停止だからドルコストではなく、「将来のことは誰にもわからない」からドルコストもありだと思うのですが・・
投資であたるなんていうのは所詮「運」だと思うのです。
だって投資家の9割が退場する世界なのですから。
そういう世界に足を踏み入れてブレずにことを成し遂げるためのツールのひとつがドルコストだと思うので、どんなツールでも個々人が熟慮して信じるならばそれでいいのだと思います。
だから、結果失敗することはあっても、思考停止型の投資行動なんていうのはどなたにもないと思います。
投資行為が所詮「運」任せというなら、それで話は終わりです。損失を限定する理由はなくなります。「運」がついていなかったときの損はすべて受け入れるということですから。
しかしご自身もおっしゃられているように、ドルコスト法はそのような「運」任せの投資行為に対して、損失を限定できるなどの優位性があると考えるところに、一定の支持があるものと思います。
ではドルコスト法を実践される皆さんは、その優位性がどのような前提のもとに生まれると考えでしょうか。おそらく、ほとんどの方がそのような質問すら考えたこともないはずです。私が思考停止型の投資行動というのはその点です。
前提条件が変わればその優位性を生み出す方法も当然変わるのではないでしょうか。少なくとも、その前提条件を疑い、ドルコスト法や分散投資といった手法を改める余地があるのではないかと私は思っています。
繰り返しになりますが、「投資というのは所詮運で、どんな手法も個々が熟慮して信じるならそれでいい」というなら議論する余地は全くありません。
>にこりっちさん、
そのリスクヘッジとしての資産分散+長期+時間分散(ドルコスト平均)では?
どこかの国の国債がデフォルトするかもしれない(ロシア帝国国債?)だから債券にしても国を分散する。
どこかの企業の株に集中すると倒産するかもしれない(リーマン・山一)。だから株式も企業を分散する。同一国だとその国の株式が大幅下落するかもしれない(アイスランド)。だから世界各国の企業に分散する。
円だけなどと通貨が偏ると通貨価値下落によって実質価値が目減りする可能性がある(アイスランド、ジンバブエ)。だから通貨分散する。
債券や株式だけでなく、金や商品は不動産もある。
さらに同一タイミングで買い付けすると高値掴みの可能性があるので時間分散して購入する。
これがまさにリスクヘッジかと思うのです。
また、過去がそうだったから今後もそうなるだろうということが思考停止なら、「損失はリスクヘッジを行うことにより限定することができる」ということも過去はできたというだけで思考停止では?なんて思います。
(過去にはCDSという保険でリスクヘッジできていたが、できなくなったのが今回の金融危機)
にこりっちさんの言われるリスクヘッジとは何を指されているのかが、分からないのですが・・・
アメリカが危機だからアメリカから資産を引き揚げるというのは単純に賭けですし・・・
これに対して私の考えは、最近の各資産の動きを見ていると、その前提が変わりどんなに長期で分散投資やドルコスト法による時間分散をしてもマイナスのリターンになってしまう可能性があるように思う。だから、損失を限定しなければならないのではないかということです。
昨年来続く下落場面では、債券を除いてご指摘の株式、不動産、金、原油、穀物などの商品は同時に下落しました。債券でさえ、足元では下落圧力がかかっています。
金や原油は足元でインフレ懸念により上昇の兆候が見られますが、大事なことは株以外のこれまで連動性が低いと見られてきた資産が同じような動きを見せたことです。これは、すべてレバレッジをきかせた投機的な資金が原因であるのは周知のとおりです。これらが原因の動きというのは、インフレによる緩やかな上昇とは対照的な急激な上下動の動きです。
これらの動きによる変動幅が大きくまた長くなるにつれて、長期投資という長い時間軸に対しても無視できなくなってくるように思うのです。
私が言うリスクヘッジとは、損失の限定でありその手法は、例えば損切りであり、現物買い資産の信用売りです。これらを、テクニカル的な判断と合わせて実行すべきだと考えています。
損切りする時点で長期投資とはいえないかもしれませんが、BUY and Hold手法ではこのリスクを排除することはできないのはたしかだと思っています。
>投資行為が所詮「運」任せというなら・・
そうではなくて、投資『結果』の良し悪しは所詮運任せといいたかったのですが・・
結果から物事を見るのか、行為から見るのかによって、いろいろ判断・評価は変わると思いますが・・
行為の選択をする前提としての意思というか判断に、いかなる投資方針を採ったからといって、誰も思考停止はないと思うのです。
仮に信頼すべき他人の受け売りであったとしても・・
これに対し、その投資『結果』の自己責任は、自分でしか採り得ないわけです。
どんな投資『行為』を選択したとしても。
誰だって結果はいいほうがいい。
でも、誰も将来の事象結果をコントロールすることはできない。
そういう意味では『結果』に対する思考は停止したほうがいいかもしれないと思ってみたりもします(笑)。
『結果』から見て過去を憂いてみても、後の祭りですからね(爆笑)。
そういう意味では、昨今の個人投資家の一部が、自分の採った投資『行為』に伴う『結果』の悪さの責任を他人に転嫁するような言動が見られるのは、情けないなあと思っています。
ちなみに、山崎元さんが、「インデックス投資家さんたちはお行儀がいい」なんておっしゃっていましたが、それも自分の採った行為に対する冷静さ、潔さのなせる業なのかなあと思ってみたりもします。
おそらく、債券を買うにしても利率の比較的高い国の債券を組み合わせれば全体として高い利回りが期待できるからということが一つの理由だと思いますが、長期金利は単純化すると
「長期金利=インフレ率+デフォルトリスク(プレミアム)」
となります。そしてこの2つの要素による利息は、他国の債券を長期で保有する場合においては理論的には為替損益で相殺されるはずです。
つまり、「長期金利利息=長期為替損益」になるということです。ですから、デフォルトリスクの高い債券を買う行為はとる必要ない(債券購入代と利息収入がパーになるという)リスクをあえてとる行為と言えます。
同じように考えると、最終的に投資資金を円に戻して、日本で生活しようとする人が、運用期間中に日本のデフォルトの可能性がないと考えるなら、他国の債券を買う合理的な理由もなくなります。
他国の債券を買って十分なリターンが期待できるのは、長期金利と為替レートの乖離が生じるごく短期的な裁定が効く範囲に限られると思います。
通貨分散も全く同じ説明で、長期投資においては意味がない行為と言えます。
将来の事象の結果をコントロールできないとのことですが、確かにプラスのリターンはコントロールできませんが、ヘッジ投資をすることによりマイナスのリターン(損失)は一定の範囲に限定することはできないですか?損失を限定することは、すなわち結果をコントロールすることにならないでしょうか。
思考停止型の投資といったのは少々言い方がまずかったのかもしれません。その解釈を言い争っても建設的ではありませんのでやめにします。
ただ、己川さんをはじめ長期投資実践者はあまりにも他のやり方や意見を論理的な根拠もなく否定しすぎるように思います。
論理的に考えるなら、デイトレードと長期投資のリスクの大きさは同じです。違うのはリスクの種類です。しかしながら、一般的に長期投資実践者はデイトレードのような投資を投機的と言って投資法として認めない傾向が強いように思います。
私は長期投資も短期投資もその投資の時間軸による優劣はないと思っています。問題は投資の時間軸ではなく、各種のリスクに対するヘッジ行為なのだと思います。
私が疑問なのは、短期投資において重視されるリスク管理の議論がなぜ長期投資では軽視されるのかという点です。
損切りすることで、資産を現金(預金?MRF?)で持ってしまうというリスクを負うことになるかと思います。
韓国やアイスランドやでは海外資産を損切りして現金化することで資産価値が目減りしてしまいました。「いやいや、実質価値なんてどうでもいい。名目さえ減っていなければいい」なんて考えならいいですが、にこりっちさんの考えではそうではないですよね?
それこそジンバブエのようなハイパーインフレ状況では損切りして現金化することほど愚かなことはありません。
ロシアのタクシー運転手は外国人客からドルで運賃を受け取ることで自国通貨の下落に対して備えていました。ジンバブエの人は自国通貨ではなく外貨を持つようにしています。
「時代の流れが変わってきた」「将来が読めない」
にこりっちさんの言われるような上記のような前提にたてば、損切りは決して損失の限定にならないかと思います。
長期分散投資によるリスクヘッジというのは、世界経済全体に投資することです。アイスランド国民が自国資産だけ持っていれば一気に価値が吹き飛ぶ可能性があります。しかし、世界中の資産が吹っ飛ぶことはそうは考えられません。(核戦争や巨大隕石が落ちれば別)今の世界同時不況だって、世界経済全体がちょっと減速している程度で吹っ飛んでいるわけではありません。
長期分散投資の肝は、人類が英知によって人類は発展していくということを期待して投資しているのです。そのために世界経済全体を保有して、その恩恵を受けようというのが長期分散投資です。もちろん、人類が衰退していくというのならマイナスになるでしょう。
>長期投資において分散投資の名の下にデフォルトする可能性の高い
>新興国のジャンクボンドを買う合理的理由はあるのでしょうか。
高いリターンではありません。その国が発展した場合に備えての投資です。
乱文になりすぎたのでちょっとまとめます。
>ヘッジ投資をすることによりマイナスのリターン
>(損失)は一定の範囲に限定することはできないですか?
投資で想定される「デフォルトリスク」、「為替リスク」、「カントリーリスク」などを想定すると限定はできません。
長期分散投資では、アメリカでさえもデフォルトするかもしれない、トヨタでさえも倒産するかもしれないということを想定しています。ここでの損失を限定するのに、損切りや現物買い+信用買いはリスク限定にはなりえません。
所詮はその同じアセット内での価格変動リスクを抑える効果しかありません。
確かに、長期投資は思考停止型の投資かもしれません。ただし、そうなると損切りでリスク限定できるという考え方も思考停止型の投資と言えるのではないでしょうか?(その通貨の価値減少リスクを考慮していません)
私は論じている長期投資において、「デフォルトリスク」や「カントリーリスク」の高い投資対象を前提としていません。そのようなリスクは極力避けるべきであるし、仮に投資対象としていたとしてもその兆候が現れた時点で対象からはずすべきだと考えています。
そのような前提でお話すれば、先の投稿で一部述べたように長期投資における「為替リスク」というのはその間、何らかの商品で運用する限りにおいて、ほぼ誤差であり考える必要がありません。
私が最初に問題提起したのは、これらのリスクとは別に、レバレッジ投資という新しい経済手法に起因する株価の変動リスクです。そのノイズが、株価の長期上昇トレンドに無視できない影響を与える可能性があるのではないかと述べたのです。
損切りや信用売りとはそれらを含めた価格変動リスクをヘッジする一例でしかありませんが、つまるところそれは長期投資ではなく短期的な投資の発想に基づいています。(話がかみ合わないのはその点かもしれません。)
ただ、この場合は短期的な「為替リスク」に対するヘッジが当然必要になってきます。
正直、長期投資でBuy and Hold戦略をとるということは、ある意味不確実性が際限なく増すということであり、有効なヘッジ手法もなく、よって損失を限定することも不可能であると思っています。
最後に質問ですが、新興国のジャンクボンドを買う理由に対して
「高いリターンを求めるためではなく、その国が発展した場合に備えての投資」とお答えになっている理由がよくわかりません。その国の株を買うということならわかるのですが・・・。
また、ご自身のブログを拝見させていただきましたが、南ランドドルの取引は、長期投資の一環でしょうか、短期的な差益目的でしょうか。
よろしくお願いします。
>己川さんは、何の意見もないのですね。
いいえ、そんなことはありません。
投稿されたコメントを掲載していいかどうかは管理者が判断しており、その意味ですべてのコメントを読ませていただいております。
自分の考えと違うコメントをいただくこともあり、その場合、乙がさらにコメントを書くこともあります。
しかし、意見がある/ないということと、それを書く/書かないということは別であり、また、書く場合でもコメント欄で書くか、新しい記事として書くかなど、いくつかの選択肢があります。
当然のことながら、もう少し考えてから書きたいという場合もあります。
自分の時間的余裕も考慮して書く/書かないを決める場合もあります。
というわけで、「コメントを書かない=何の意見もない」ではありません。
ランドやリラは為替の分散です。
マイナー通貨の中では許容できそうな流動性及びコストでありますので、この2通貨には投資しています。(コストに関しては多少不満あり)。他にもバーツであったりと各種通貨への分散を行いたいのですが、これはコストが高すぎますので踏みとどまっています。
長期投資や短期投資において「有効なヘッジ手法」などというものは存在しないと考えています。そんなフリーランチ的なものが存在するならば、皆がそれをやります。損切り、両建て、為替予約などによるヘッジは何かを犠牲にしてのヘッジです。例えば両建ては機会損失及びコストを使ってのヘッジです。
短期投資においても相場の先行きは読めないのですから、両建てや為替予約や損切り等で損失を固定するということは同時に利益を捨てることになります。損失方向だけ限定できるわけではありません。ルーレットで一切賭けないか、赤と黒の両方に張っていることになります(そのためにかかるコストが親の総取りの00と考えればいい)。
長期投資の考え方では、不確定な相場に身をさらすことで利を伸ばすことを目的にしています。ルーレットで赤と黒の両方に相場を張ることで利益を出さないが損失を出さないということのために相場にいるのではありません。
相場の先行きは読めない。だったら少しでもコストを下げて投資するのが合理的では?という話です。(正しいかではありません)
「ここで損切り」「ここで信用使って両建て」「ここでオプションで損失限定」なんてやっているとコストが馬鹿になりません。
コストをかけてヘッジすることで損失が限定される可能性は上がるかもしれませんが、それでどうやって利益を出すのかという合理的説明がありません。
ちなみに
×己川さん
○乙川さん
では!?
すみませんが、まず私の投げかけた質問にお答えになってから理論を展開していただけませんでしょうか。投稿いただいた内容やご自身のブログを拝見してもはっきりしませんので、失礼ですが再度同じような質問をさせていただきます。
1.ランドドルやトルコリラへの投資目的が通貨分散ということは、つまり長期投資の対象ということでしょうか。長期投資の対象ならば、あえて新興国の通貨に分散する理由を理論的にご説明ください。
2.長期投資の対象として新興国のジャンクボンドを買うことについて
「高いリターンを求めるためではなく、その国が発展した場合に備えての投資」とされている理由を理論的ご説明ください。
私は先に、長期投資においてはこれらの投資対象に投資する合理的な理由がないと述べています。
お名前、失礼しました。
○Buy and Hold 戦略の前提
株価は常に本質的価値の周辺をランダムに変動する「効率的市場仮説」に基づいている。つまり、株価は多少ノイズが発生しても長期的な時間軸でみれば常に上昇する。
○私の前提(仮定)
・レバレッジ経済という新たな不確実性要素の出現により、ノイズがノイズでなくなり「効率的市場仮説」に基づく株価形成をゆがめてしまう可能性がある
・株価はランダムウォークではなく、どのような時間軸で見ても、一定のトレンドを形成するものである。(ダウ理論)
以上。
吊られた男さんの長期投資の前提は、上に示したようなBuy and Hold戦略でしょうか。間違いがあればご訂正ください。
私が短期的な発想で、損切りする優位性を説く根拠は、「私の前提」の2番目に挙げたダウ理論に基づいています。
>プラスのリターンはコントロールできませんが、ヘッジ投資をすることによりマイナスのリターン(損失)は一定の範囲に限定することはできないですか?損失を限定することは、すなわち結果をコントロールすることにならないでしょうか。
にこりっち様
おっしゃるとおりだと思います。
為替やドルコストについても、ゼロサム&気休めでしょう。
リスクヘッジという概念は大切ですね!
あまり私が話すと営業妨害になりかねませんが、7%というリターンはすごいものだと思っています・・
ただ、ある程度資産のある人なら、円債以外の国内外の株や外貨もおもしろいかもしれませんね。
個人向け国債にぶっこんで、そのままというのはいかがでしょうか?
回答ですが、1も2も【ポートフォリオ理論】の卵は一つの籠に盛るなです。
多くのデフォルトリスクが高い債券(株式)に分散投資すると、全体としてはデフォルトリスクが低い債券(株式)単体よりリスクが低くなる。日本を代表する超優良企業のソニー単体より、ソニー以下の企業(2008年以降でも倒産企業が複数)がたくさん混ざったTOPIXの方がリスク(価格変動)は少ない。
[2007年夏からの金融不安下]
・ソニー:1491円〜7190円
・TOPIX:698〜1796
まず、このポートフォリオ理論の前提には納得いただけますでしょうか?
(1)通貨においても上と同様の考えで、円だけや米ドルだけではなく、ユーロ、ポンド、豪ドル等々の通貨に分散します。その一環としてのトルコリラでありランドです。(そしてバーツであり、デュラハムであり・・・といきたいのですが、これはコストが高すぎるので現時点では却下)
(2)日本、アメリカ、ヨーロッパが没落して中国やインドやトルコや東欧やアフリカが発展した時に備えてです。
通貨の強さはある程度国の強弱/信用をあらわします。「日本円、米ドルの価値、ユーロ等々がかつてのポンドのように価値が下がり、いくつかの国の国債がジャンクボンド化する。そして、現在の新興国が発展してその国の通貨が強くなってきた場合」などに備えてです。そうなった時に資産が日本やアメリカなど特定の地域に偏っていると一気に資産を失いますが、分散しておけば資産のうちいくらかは守られるかorプラスです。そしてトータルで見ればそこそこの範囲に収まるだろうと。
また、同時に新興国の株は市場&売買環境未整備によってあまり投資できていませんが、投資信託等を通じて多少なりとも投資対象に含んではいます。
いずれにしてもポートフォリオ理論で言うところの「卵を一つのかごに盛らない」「多様なアセットの組み合わせはリスク低減効果がある」をベースにしての投資です。
ただし、注意していただきたいのは私の投資先はインドのアクティブファンドを持っていたり等と長期分散インデックス投資と完全には一致はしていません。ドルコストもしていませんし、ポートフォリオを明確に組んでの運用も定期的なリバランスもしていません。このように私の投資≠一般的長期分散投資ではありませんから、私の投資スタイルが長期分散投資を語る上では大した意味を持たないことにはご注意下さい。(山崎元氏の投資先がMRFと預金であるからといって、それが山崎氏の語られている長期分投資投資の合理性の話には関係ありません)
前提の確認は重要なことです。
ただ、その前提が独自の仮定にすぎないという時点で議論にならないと思うのですが・・・
独自の仮定で構わないなら「これから8年間はオバマ効果でアメリカ株は8年連続で上昇する」なんて話も同格で存在してしまいます。
「だからアメリカ株のバイ&ホールドが大事」なんて主張でいいのでしょうか・・・
また、ダウ理論についてもそれこそ合理的な説明はされていません。実際の相場の実情に合っていない理論を持ち出すというのは、「株式市場は常に一定に上昇する」と同じで客観的には価値がありません。
すみませんが、実情との検証が一切されていない仮説の段階の前提条件によって長期分散投資のバイ&ホールドが損失を限定できずに有効なヘッジが無いという主張には無理があるかと思うのですが・・・
それは、あくまでその独自仮説が成立するという特殊な条件下においてという制限がつきませんか?
また、こちらから2点ほど質問があります。
(1)長期Buy and Holdで損失を限定できませんか?
世界中の株式・債券市場に分散してドルコスト+Buy&Holdしたとすれば、多めに見積もっても損失を80%以内に抑えることは可能だと思いますが無理ですか?
今回の金融危機でも、バランスファンドとして2007年3月という株式も円安も高値圏の時期に設定され、標準的4分割よりも海外アセットが多く為替の影響も大きく受けたセゾンGBFでも基準価額は6556円と設定時からもまだ-34.5%ほどです。ドルコストで買っていれば平均価格も下がっていますのでもっと損失は小さくなっています。
このように分散投資で長期にBuy&Holdでリスクはある程度軽減できているかと思います。
にこりっちさんは不確実性が際限なく増大して有効なヘッジ手法も無く、損失を限定することが不可能と言われていますが、これではリスクの軽減ができておらず、不確実性が際限なく増大していってしまって、資産が0になってしまったり、マイナスになったりするというのでしょうか?
私は資産分散のBuy&Hold及び極端な高値掴みを避ける時間分散で損失リスクの低減は出来るかと思うのですが・・・
もちろん、世界大戦争や隕石衝突のような分散長期のリスク低減効果を超えるような現象には太刀打ちできません。ですから、あくまで「リスク低減効果」と呼ぶか「ある程度の限定」にすぎず、「リスクを限定する」手法でないことは重々承知しています。
(2)にこりっちさんのやり方ではどうやって利益を出す?
また、こちらが一番疑問に思える点ですが、にこりっちさんの損失をヘッジするやり方でどうやって利益を出すのでしょうか?
損失を限定するという意図は理解できても、ルーレットの赤と黒の両方に同額賭けするようなやり方が利益が出せるようには思えません。確かに損切りを早く行うなどのヘッジ行為で多大な損失を回避できるのかもしれませんが、利益をどうやって出すのでしょう?
証券会社やヘッジファンドでディーリングをしているプロでも相場の先行きを読めないのですから、まず相場の先行きを当てるという超人的能力によって儲けるというのはまず無理です。
ヘッジをかけると、その時点で損失だけでなく利益も逸失することになります。次にヘッジをはずして相場に戻った時も上がるか下がるかは分からないわけです。そうなるとそこでヘッジをかけたことにあまり意味はありません。せっかく損失を限定しても、それはルーレットテーブルで一時的に休憩しただけで、またルーレットで賭けに戻っているのです。確かに1回の取引における損失は限定できているかもしれません。しかし、長い投資スパンで見たらヘッジ効果はあまりありませんし、利益をどう出すかの戦術が見えてきません。
にこりっちさんの仮定とは大きく違います。
■Buy and Hold戦略の基本前提
【株価は本質的価値の周辺をランダムに変動する。つまり、株価は短期的には多少ノイズが発生しても世界経済が発展している限り、長期的な時間軸でみれば上昇する可能性が高い。】
常に本質的価値の周辺をランダムに動くだとか、常に上昇するなんて言っている人はほとんどいないと思います。特にまともな教科書なら間違いなくそんなことは言っていません。
「コインの表裏のギャンブルで表2.1倍、裏1.9倍なら表に欠ける方が合理的」というのがBuy and Hold戦略に通じるものです。このオッズなら1回限りでは表に賭けても1/2の確率で負けるかもしれないが、何度も同額賭けで試行を繰り返すと、長期的には勝つ可能性が高くなるということです。でも10回続けて裏が出続ける可能性も1/1024ありますし、100回続けて裏が出る可能性もあります。数百回繰り返しても裏に片寄った時には期待値がプラスでも負けます。ここでダウ理論(コイン理論?)として「どのような時間軸で見ても、コインの表裏は一定のトレンドを形成する」なんて主張するのは合理的ではないだろうという主張でもあります。(結果としてコイン理論にしたがって表裏の流れを予測した方が成績が良くなることもあるかもしれませんが)
また、以下は長期分散投資はのコンセンサスではなく、マルキール氏や私などの考えですが、テクニカル分析やダウ理論の有用性を証明する説明がない以上、「トレンドがあるんだ」「トレンドは読めるんだ」なんて言われてもそれは眉唾です。
ご回答ありがとうございます。
私への質問の回答の前に、吊られた男さんも一部ご指摘された議論する意味のない部分、議論の余地のある部分について明確にさせていただきたいと思います。
まず、ある投資手法におけるとるべきリスクヘッジやコストは何かは、次のような順序で考えることができると思います。
1.その投資手法の優位性(利益)を生み出す前提条件(仮定)は何か。
↓
2.その前提(仮定)条件において、考えられるリスクは何か。
↓
3.考えられるリスクに対するとるべきヘッジ(コスト)は何か。
私は当初投稿した際、一般に論じられているドルコスト法や分散投資というものが長期投資のヘッジになっていないのではないか。それは、ヘッジのやり方が間違っているか、あるいは前提が変わってきているのではないかという主旨の問題提起をしました。
そして、その新たなヘッジ手法のあくまで一例として損切りや両建てを挙げ、一部持論の前提(仮説)を提示しました。しかしながらこれは、その前提条件の優劣を問う意図は全くありませんでした。私が、議論したかったのは、その前提とした条件と負うべきリスクやコストの整合性や合理性というものです。あらゆる投資手法の前提は検証されていない仮定にすぎず、それらを議論することはできないと私も思います。
これらを踏まえてご質問の内容にお答えすると、
<(1)長期Buy and Holdで損失を限定できませんか?
長期Buy and Holdの前提条件を認める限り、損失は限定できます。
「不確実性が際限なく増大して有効なヘッジ手法も無く、損失を限定することが不可能」としたのは、私の投資手法の前提からみた見解であり、単なる感想です。誤解を与える言い方でした。申し訳ありません。
<(2)にこりっちさんのやり方ではどうやって利益を出す?
私が挙げたダウ理論の前提に基づいて、売買することにより、利益を出せる可能性が高いとしか言いようがありません。テクニカル分析やダウ理論を認めるか認めないかは、先に述べたように不毛な議論です。
Buy and Hold手法において損切りは機会損失となりますが、ダウ理論に基づく手法においては有効なリスクヘッジとなります。ダウ理論に基づく手法において塩漬けは最大の機会損失です。
問題提起させていただいた、債券と為替の分散投資について質問させていただきます。
吊られた男さんの分散投資の前提は、現在の国のデフォルトリスクに基づく長期債券の格付けに関係なく、想定する投資期間においては日本を含めどの国も破綻の可能性が同じ確率で起こりうるということですね。
それならば、ジャンク債券やそれらの国々の通貨に投資する理由はある程度理解できます。ただ、現時点において破綻リスクを同等に扱うのは、顕在化していない可能性の低いリスクを自ら過大に評価して、コストのかかるヘッジを行う行為とはとれないでしょうか。
つまり、デフォルトのようなリスクは一夜にして顕在化するものではありませんから、その兆候が現れた時点で徐々にポートフォリオを調整するといった別の手段で十分ヘッジが可能だと思うのですが、違うでしょうか。
また、一度購入した南ランドドルを損切りされているのは、これまでの主張と矛盾する行為のように思うのですが、何か特別な理由があったからでしょうか。
>にこりっちさん、
ポートフォリオ理論や私の投資については多少違いますが、まあそんなもんです。
○ちょっと違う点
(1)デフォルトリスクを同じとは想定していない
同じと想定しているなら利回りが高い債券を買います。そうではなく、利回りの高いジャンクポンドはデフォルトリスクが高く、東京電力のように信用度の高い債券は利回りが低いという、極めて一般的な考え方です。利回り/信用リスクを考えると、どの債券も期待リターンがほぼ一定水準に収まるという考え方です。
そして、一般人が兆候を正確に把握して、信用度による価値毀損を避けるのは厳しいと考えています。債券ディーラーでさえ兆候をつかめずに四苦八苦しています。そんな中兆候を掴めるなら分散などせずに債券ディーラーとして一財産を築いています。
ヘッジコストについては山崎元氏なども言われていますね。国内債券と外国債券では購入コストの差が依然として大きいのでそのあたりはどう考えるかです。投資信託ですと年に0.7〜0.8+α%のコストですから確かにバカになりません。
(2)私の投資≠長期分散投資 (ランドの例)
先にも書かせていただきましたが、私の投資≠長期分散投資ですので、ここで議題に上がっている長期分散ドルコスト積立投資と私の投資方針に整合性はありません。
タバコを吸っている医師が「タバコは健康に良くない」と患者に説明しても、タバコが健康に良くないという話の合理性は何ら変わりありません。ただ「そのタバコは健康に良くない」という事実を受け入れているだけという話です。
とはいえ、アセットアロケーションを考えての再調整という要素もありました(というかこれが強いでしょうね)。
今度もインド株式を対象とした投資信託を損切りして、Lyxor Indiaに乗り換える予定です。また今でこそ追加購入によるリバランスのみですが、今後はSTAM海外株式を売却(利確?損切り?)してTOK購入→STAM海外株式積立といったこともする可能性はあるでしょう。また、もっと資産が積み上がればTOK売却→個別銘柄という動きもあるかもしれません。
○ポートフォリオ理論についての私の意見
(ポートフォリオ理論)
「多くのデフォルトリスクが高い債券(株式)に分散投資すると、全体としてはデフォルトリスクが低い債券(株式)単体よりリスクが低くなる。」
ポートフォリオ理論に精通している訳ではありませんが、長期投資において債券を分散することに、リスク低減効果はないと思っています。
理由は、株価にはその企業がインフレ率を上回るような付加価値を生み出し続けるという将来価値が含まれていますが、対する債券にはそのような成長期待は含まれておらず、信用リスクや通貨価値に基づく要素しか含まれていないと考えるからです。
以下根拠を示します。
■根拠の仮定
・新興国の長期国債に長期間投資したあと、日本円に円転した。
・運用期間中、両国のデフォルトは発生せず、金利差は常に新興国>日本であった。
■長期国債の金利の定義
当該国の長期金利
=当該国のインフレ率+当該国のデフォルトリスクプレミアム
■運用後の投資リターン
新興国長期国債の投資リターン
≒新興国の長期金利収入−為替差損
≒日本国債の長期金利収入
■結論
以上は「現在価値(実際価値)」の考え方に基づいています。単純化のため税金や手数料のコストは除いています。この考えに基づけば、長期間の新興国債券金利収入は為替差損で相殺され、結果日本の長期金利収入とリターンが変わらないという結論に至ります。
(新興国の成長→高いインフレ率の誘発→新興国通貨の下落)
デフォルトリスクをあえてとるべきではないリスクとする理由はここにあります。デフォルトリスクの小さな債券で分散がすむのであれば、わざわざリスクの高い債券を選ぶ理由はどこにもないと考えます。
短期債券を長期で運用する場合を考えると、短期金利は
短期債券金利≒インフレ率
となり、長期間で本来生じるデフォルトリスク分の金利が発生しませんので、長期運用後のリターンはこの分だけ日本長期国債のリターンに確実に負けてしまいます。よってFXをはじめ短期債券を用いて長期する行為は合理的な投資判断とは言えないと思っています。
しかしながら、短期金利にせよ長期金利にせよ短期間で見た場合には、絶えず為替レートとその金利の間にはひずみが生じていますので、それを捉えて裁定取引のごとく有利なときだけ買い付けができる手法を有するならば、長期においても十分なリターンが期待できる余地はあるものと思います。
一般的に債券を分散すればリスクが低減されるというのは、グローバルソブリンなどに代表される債券投資型の投資信託を売りたい売り手側の理論ではないでしょうか。
以上。
だいぶ反感を買ってしまったようですが、自分の投資手法の前提は何か、そのリスクは何か、リスクに対するとるべきヘッジは何かを考えずにとる投資行動は、やっぱり思考停止型の投資だと私は思っています。
吊られた男さん、長い議論にお付き合いいだだきありがとうございました。
投資期間のスパンの長さ、銘柄数の多さがリスクを小さくすることは、既に優れた論文が数々あり、歴史的事実または常識といっていいでしょう。
(シーゲルの一貫性ほか)
私は短期も長期もやりますが、プロ投資家でなければ、短期に特化するのは結局損になると思っています。
そもそも、この手の議論では、拘束時間と手数料&税金のコストがしばしば考慮されない。
旅行に行くのにホテル代や買い物代ばかり考えて、ガソリン代をまったく考慮しないようなものです。
売り買いを頻繁にしすぎると、手数料&税金で、年率リターンは2〜5%目減りする。
さらに売り買いのタイミングを逸しないように、毎日PCに張り付くだけでも大変な損失です。
たとえパソコンをフル活用しても、短期トレーダーは年間で数百時間ぐらい「トレード」に拘束されます。
長期投資家と短期投資家の拘束時間の差を仮に年500時間とすると、時給2000円で残業やバイトをしていたらなんと100万円の損失。
同じ1000万円を運用している人でも、短期投資家と長期投資家では、税金や手数料、拘束時間で10%近いハンデを短期投資家は負う。
既に指摘されていますが、市場参加者の9割が数年のうちに退場します。
さらに言えば、その退場者はほぼ全て「短期」投資家です。
日本市場の年率リターンが6,7%なのに、10%近いハンデをしょって、さらに市場を上回るリターンを出そうと思ったら、運用成績は少なくとも年20%(!?)でなくてはならない。
単年度ならともかく、そんな神業を長期間続けられるわけもなく、さらに大小の暴落に巻き込まれ、リスクが大きい分ダメージも大きい。
そりゃ、短期投資しか知らない人が多額の損失を抱え、二度と株や債権には手を出すまいと思うのも無理はないでしょう。
短期投資ばかりやる人は、リターンを強く求める結果というより、リスクに関する無知の結果であることがほとんどという気がします。
もちろん、大きなリスクを取っている分、優れた、あるいは運のいい一部の短期トレーダーが信じられない程のリターンを手にしているのも事実ですが。。。。
本文に関してですが、前田昌孝氏の買っていたのが日経平均という点が重要なバイアスです。
シーゲルは1871-2003年の超長期投資において、米国市場の累積リターンは配当再投資が97%、値上がり益はわずか3%という衝撃の数字をはじき出しています。
※1871年に1000ドル投資した場合、2003年に配当再投資は800万ドル、値上がり益は25万ドル。
前田氏も、まぁ、ずいぶん恣意的な記事を書いたもんです。
短期投資家は外人や機関投資家のカモですから、短期人口を増やそうとしたのか?と穿ってみたりもします。
(この編集者が市場についてあまりに無知なだけかも?)
いずれにしても、時間と銘柄の分散が、リスクの縮小とリターンの確実性(大きさではない)を増すことは事実・常識の範疇ですから、無理のある記事だなと思いました。
当方の場合、年収が約1000万近くあるので、食費や家賃などを抜いても、そのうち使いきれないお金も有ります。
短期のひずみを個人で狙っていくと成ると、この年収を吹っ飛ばしてそれに変わる収入も考えないといけません。
大学時代に色々勉強しておけばよかったのですが、なにぶん理系・・・経済についてはかなり疎いです。
>短期間で見た場合には、絶えず為替レートとその金利の間にはひずみが生じていますので、それを捉えて裁定取引のごとく有利なときだけ買い付けができる手法を有するならば、
この手法はかなり限定された人間への手法でしょうね。これをみんなにお勧めできるものでは無いような気がしています。
>そもそもドルコスト法は、価格変動は予測できないことを前提にした売買法だと思いますので、退職後ゆっくり売ろうと思っても今回のような状況に見舞われれば
将来を見た上で、今より栄えていると思う人は、今から徐々に進める。今より栄えていないと思えば元本保証のものを購入し、リスクプレミアをとらないように勧めえていけばよいと思います。
(この編集者が市場についてあまりに無知なだけかも?)
まぁ、短期投資家を増やすことで、証券会社の収入を増やすということも一つにはあるような気がしています。
長期投資を真面目に考える1
http://haruyama-shoka.blogspot.com/2009/03/blog-post_5535.html
長期投資を真面目に考える2
http://haruyama-shoka.blogspot.com/2009/03/blog-post_23.html
長期投資を真面目に考える3
http://haruyama-shoka.blogspot.com/2009/03/blog-post_25.html
長期投資を真面目に考える4
http://haruyama-shoka.blogspot.com/2009/03/1982.html
ただし、同期間の消費者物価指数の上昇率は年率3%以上です。(ここ数年はデフレだったので多少強引ですが)配当による複利効果を考慮しても、実質価値でみればやはりほとんどリターンがなかったと考えるのが妥当ではないでしょうか。
にこりっちさん。
>ただし、同期間の消費者物価指数の上昇率は年率3%以上です。
>配当による複利効果を考慮しても、実質価値でみればやはりほとんどリターンがなかったと考えるのが妥当ではないでしょうか。
説明が不足していたようですみません。
97%が配当再投資というデータは「インフレ調整ベース」です。
複利の破壊力ってつくづくすごいですね。
ちなみに同期間(1871-2003年)中に1ドルは0.07ドルに目減りしたが、金1ドルは1.4ドルとほとんど変わっていない点が興味深かったです。
さすがはかつて世界通貨の基準になった貴金属だと思いました。