新書版ですが、ETF に関する一通りの知識が詰まっています。
第1章「世界中の投資家が注目する「ETF」の魅力」は、入門の入門編です。どのように ETF が優れているかを述べています。
第2章「「ETF」はなぜ超低コストなのか?――「ETF」の仕組み」は ETF の仕組みを述べ、第1章の解説をさらに詳しくしたような感じです。p.83 では、インデックスに追随する手法について解説していますが、コストを抑えながらインデックスに追随する技術がいろいろ開発されていることに驚きました。投資家の立場からは、具体的な手法まで知る必要はないとも言えますが、しかし、そこまで知って ETF が理解できるものになるようにも思います。
p.90 には、さらりと ETF 投資のコツが書いてあります。「人気のある ETF を選ぶ」ということです。
第3章「初めての株式投資に最適な「ETF」投資」では、各種の ETF を紹介しています。ここまでが入門編です。
第4章“アクティブ投資家”のための「ETF」活用法」では、通常の ETF と性格の違うアクティブ型の ETF などを紹介するとともに、一歩進んだ ETF の使い方を述べています。応用編とでも考えればいいでしょう。
p.139 では、アクティブ型の ETF の具体例を出していますが、ずいぶんと頻繁な売買をするものです。ファンドの規模が小さいうちは、こういう運用もありかもしれませんが、規模が大きくなると、株価を左右するほどの力を持つことになるかもしれません。そういう場合、ファンドの銘柄入れ替え情報が事前にわかってしまうことから、それをカモにしようとする作戦が有効になってきます。こんなことまで考えてアクティブ型にしているのでしょうか。ちょっと考えさせられました。乙は、アクティブ型の ETF は邪道のようにしか思えませんでした。
第5章「“相場下落時に利益が上がる ETF”などユニークな ETF たち」では、さらにさまざまな ETF を紹介しています。こんなのもあるということを知っておくと、何かの際に役立つかもしれません。
第6章「日本市場に求められること」では、日本が ETF の後進国であることを論じ、今後の望ましい方向性について述べています。具体的に日本に上場するべき ETF を指名して書いていることには納得しますが、果たして、日本の ETF がその方向に変化していくのでしょうか。乙は、かなり懐疑的になっています。
2009.3.16 http://otsu.seesaa.net/article/115718784.html
2009.3.15 http://otsu.seesaa.net/article/115670077.html
日本はずっと遅れたままになってしまうのではないでしょうか。
参考記事:
http://fund.jugem.jp/?eid=1048
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