2009年07月02日

「若者の貧困化」本当だった 20代2割が「預金ゼロ」

 乙が見かけたニュースです。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090628-00000001-jct-bus_all
調査の結果、20代の2割が預金ゼロだったというのです。
 しかし、この調査は、本当に正しいのでしょうか。
 「調査は20〜29歳の男女1万5000 人に2月6〜12日に行い、3756の有効回答を得た。」とあります。
 このニュースのソースは
http://www.jafp.or.jp/about/news/files/newsrelease20090609.pdf
にあります。
 一番の心配は、学生(そのほとんどは無職で無収入で親のすねかじりでしょう)がかなり含まれているのではないかということです。
 ざっと大学・短大の進学率が5割くらいです。22歳で卒業する人が多いですが、大学入学時に浪人したり、在学時に留年したり、さらに6年間の学部(医学部など)に在籍する人や大学院に進学する人もいたりします。したがって23歳以降も「学生」は存在します。
 このあたりの正確な見積はむずかしいですが、仮に以下のような学生比率を推定してみましょう。

20歳〜22歳 50%
23歳      20%
24歳〜26歳 10%
27歳〜29歳  0%

これで計算してみると、20歳〜29歳の人の中で20%が学生ということになります。20代の2割が預金ゼロといっても、それらは全部学生だったと考えてつじつまが合います。
 もちろん、働いていても預金ゼロの人はいるでしょう。しかし、一方では、学生でありながら(アルバイトをして)預金を持っている人もいることと思います。
 この調査の結果を単純に信じてはいけないと思います。
 調査をする側も、学生とそれ以外とを区別して(もしかすると、有職者とそれ以外を区別して)集計するべきところです。そのような手続きなしで「若者は貧困だ」と言ってもらっては困ります。
 調査では、未婚/既婚や年収なども聞いているようなので、当然、職業も聞いているでしょう。それを考慮して集計しなかったのは、分析者です。おそらく、学生もサラリーマンも含めて20代の人を調査することに意義があると考えたのでしょう。しかし、学生かどうか(他人に扶養されているかどうか)によって回答は大きく異なるはずです。回答者全体を概観するだけでなく、もう少し属性別の集計・分析を行うべきだったように思います。
 ちょっと言い方はきついですが、今回の調査をおこなった「日本ファイナンシャル・プランナーズ協会」のレベル(能力・センス)を象徴しているように思います。
ラベル:若者 貧困化
posted by 乙 at 05:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 投資関連の話題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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