その pp.377-393 および pp.460-461 でファンド・オブ・ファンズの問題点を述べています。もっとも、ファンド・オブ・ファンズが全部ダメだといっているわけではなく、その中のあるパターンがハズレだといっているわけです。
ファンド・オブ・ファンズの手数料が(普通のファンドよりも)高くなっていることはその通りです。だって、元々のファンドの手数料に加えてファンド・オブ・ファンズの手数料が加わるのですから、どうしても手数料の二重取りになります。
しかし、ファンド・オブ・ファンズが全部ハズレかというと、乙はそうでもない場合があるように思います。
第1に、ファンド・オブ・ファンズは、それだけで分散投資になっているといえます。一つに投資すると、それが失敗したときのダメージが大きいですが、分散して投資することで、ダメージを小さくすることができるのではないでしょうか。一つのファンド自体が分散投資になっているわけですが、ファンド・オブ・ファンズは、それをいっそう進めたものになります。
第2に、単独では投資最低金額が高くて申し込めないようなファンドであっても、ファンド・オブ・ファンズ経由ならば申し込むことが可能になります。
日本の投資信託の最低投資金額は、たいてい1万円以上ですが、海外のそれは、もっと高いのが普通です。普通の投資信託は、米ドルで1000ドルくらいからでしょうか。個人向けのヘッジファンドなどの場合は、最低投資金額が米ドルで1万ドルから5万ドルくらいが多いように思います。すると、こういうファンドを10種類買おうとすると、数十万ドル以上が必要になり、なかなか手を出しにくい金額になります。
しかし、ファンド・オブ・ファンズだと、これ自体で一つのファンドですから、たとえば1万ドルで、普通には買えないようなファンド10種類に投資ができることになります。
この程度のメリットで高い手数料を払う意味があるかと聞かれると、乙は自信がないですが、投資家の立場からは、運用益が大きいファンドがいいファンドなのですから、ファンド・オブ・ファンズも選択肢の一つとして考えていいと思います。
要は、長所も短所も理解した上で、投資家自身が判断すればいいということです。
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ラベル:ファンド・オブ・ファンズ 吉本佳生
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