始めてみてわかったのですが、ファンド・オブ・ファンズには、2種類があります。
一つは、おまかせ型で、あるファンド・オブ・ファンズを購入すると、そのファンドマネージャーが適当なファンド(マザーファンド)に投資するということで、投資家は、そのファンドマネージャーの選択眼に手数料を払っていることになります。どのファンドにどれくらいの比率で投資するかはすべてファンドマネージャーにおまかせです。時期によって経済の波がありますから、少しずつ投資先のファンドの比率が変わっていく場合も多いようです。
もう一つは、自己選択型で、あるファンド・オブ・ファンズを購入すると、そのファンドマネージャーが用意する数十個のファンド(いろいろな投信会社のいろいろなファンド)の中から、自分で「これとこれ」と選ぶことができます。あまり細かく指定するのも、お互い大変ですから、たとえば、一つのファンドは全投資金額の10%以上購入しなければならないというようなことになります。これだと、最大でも10個のファンドにしか投資できないわけですね。
自己選択型のファンド・オブ・ファンズは、いくつかメリットがあるように思います。
第1に、顧客が希望すれば、最低投資金額が高くて普通では買えないようなファンドにも投資することができることです。それに100%投資すれば、少額でも(最低投資金額以下でも)間接的にそのファンドに投資していることになるわけですが、そういうのはあまり意味がありません。ファンド・オブ・ファンズに払う手数料分がムダですし、分散投資にならないからです。
第2に、ファンド間のスイッチングが無料でできることです。乙が購入しているファンド・オブ・ファンズでは、半年に1回、担当者(ファンド運用会社ではなく、ファンド販売会社の人)が連絡してきて「これからはこういうのがおすすめです」とアドバイスをくれます。もちろん、それにしたがってファンドをスイッチしてもいいですし、自分の好みに合わなければ今までのままでもいいですし、一部をスイッチするのでもいいわけです。こういうスイッチングは無料でできます。(スイッチングは、1年で10回までが無料で、それを過ぎると有料になります。)
普通のファンドだと、別のものに乗り換える場合、今までのものを解約して新規に別のものを購入することになるわけで、手数料が相当に高くなります。同じ投信会社の中のファンド間のスイッチングは、もっと安い手数料でできる場合もありますが、それでも無料とはなりません。投資信託は、したがって、長期投資向けになってくるわけですが、ファンド・オブ・ファンズでファンド間のスイッチングが無料でできると、まさにターゲットを狙った投資が可能になり、また、それがまずいと思ったらさっと逃げることも可能になるわけです。
第3に、相対的にパフォーマンスのいいファンドに投資できることです。ファンド会社は、もちろん、いいかげんにファンドを並べているわけではなく、それなりに選択しているわけです。仮に、充分調査した結果でなく、単に過去の実績がいいファンドを並べただけだとしても、顧客としては、大きなメリットがあります。だって、自分で個別のファンドを選ぼうとすると、各証券会社や各銀行で扱っているファンドが異なりますから、本来は、数百種類も数千種類も調べないといけないわけです。普通はそんなに手間をかけられないから、自分が取引している証券会社や銀行の提供するもの数十種類の中から選ぶことになります。選択の範囲はかなり狭いということになり、優れた実績を上げているファンドにめぐりあうことも少ないと思われます。しかし、ファンド・オブ・ファンズでは、そういう作業をファンド会社がやってくれますから、選ばれたファンドは、それぞれがおいしそうに思えます。(ホントにおいしいかどうかは、時間が経ってみなければわかりませんが。)
第4に、ファンド・オブ・ファンズの選択眼に頼って自分でファンドを購入することもできます。乙は、担当者から推薦されたファンドを見て、なるほど、こういうのがあるんだなあと知ったこともあります。それに注目して探すと、何と、自分の取引している銀行で、そのファンドを販売しているではありませんか。乙は今まで見逃していたのです。(とにかく数百種類もあるファンドの中の1個ですからねえ。見逃してもしかたがないですねえ。)たぶん、近日中にそのファンドを買うことになりそうです。
そんなわけで、乙は、ファンド・オブ・ファンズの中でも、自己選択型のファンドの場合、いくつかのメリットがあるように思います。
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