乙は、全くの素人なので、当然のことながら、各企業の財務状況や業績を調べて、この企業の株を買えば(値上がりが期待されるから)いいなどと判断することはできません。いわゆるファンダメンタル分析ですね。
もちろん、テクニカル分析もできません。これこそむずかしいです、はい。
そこで、適当な参考資料に頼って株の売買をしようと考えました。2005年1月ころの話です。
まずは、シミュレーションゲームに参加して、株取引を経験することにしました。
乙は、日興コーディアル証券の「Stock Webby Simulation」(http://webby.nikko.co.jp)を選びました。
架空の3000万円を元手に、株の売買をしていくゲームです。
で、まずは、各種メールマガジンを参考にしました。「貧乏人の投資銘柄」、「ひかりの・メールマガジン」、「毎日2分で9億円!「超スク」が教える限定株式情報」、「TAKUの株式情報「株の風音」」、「イマコン投資」、「投資の館」などのメルマガを講読してみましたが、株式購入の参考にはなりませんでした。
メルマガ「裏株情報」は、基本的にはデイトレード向きで、乙の流儀にあわないのでやめました。
サンデー経済社のメルマガ「今週の注目投資銘柄」は、具体的な銘柄が載っていましたが、2週間後に値動きを検証してみると、アタリもハズレもあるということで、頼りがいがありませんでした。
メルマガ「パオの儲ける株式投資」では、週1個の推奨銘柄を掲載していますが、これも実際売買してみると(ゲーム上ですが)まったくダメでした。
メルマガ「人工知能による数学的株価予測」は、頻繁に情報が来ました。デイトレード向きです。2/1 から月1万円の有料化のため、購読打ち切りにしました。しかし、勝率94%はウソです。瞬間的には上昇するとしても、そこで売り抜けるのは至難の業だと思いました。
「日経マネー」という雑誌の2005年1月号の推奨銘柄にしたがって株の売買をしてみました。勝ったり負けたりで、今ひとつぱっとしませんでした。
そのようなわけで、適当な参考資料がなく、う〜む、株の売買は確かにむずかしいものだということを実感しました。ただし、以上の株の売買は、すべてシミュレーションゲーム上のことですから、実際の損失ではありません。
しかし、実は、そのときの検討資料の中で、比較的好成績を挙げていたものがあります。それが「オール投資」(http://all.toyokeizai.co.jp/index.html)という月2回発行の雑誌です。号にもよりますが、発売日(月曜日)あるいはその直前の金曜日くらいから雑誌で取り上げられた銘柄の株価が上昇するケースもかなりあるようでした。たぶん、この雑誌を参考にしている個人投資家も多いのだろうと思います。
この雑誌の編集部員は株の売買を禁じられているということです。このことだけを見ても良心的です。また、毎号、注目株を4銘柄掲載していますが、3ヶ月ほどすると、その銘柄の株価がその後どうなったかを掲載しています。これまた良心的です。
というわけで、「オール投資」が一番信用できると判断しました。
さて、「オール投資」を毎号買って読みながら、実際に株の売買を始めてみました。そしてそれから1年経ちました。
結果はどうだったか。全体としては、まあまあよかったように思います。2005年後半の上昇相場に助けられていたことが大きいでしょう。
しかし、「オール投資」にしたがっていても、必ずしもよくない場合もありました。
たとえば、乙は、2005年7月22日に 7242 カヤバ工業(現 KYB) を 387 円で買いました。これは、「オール投資」2005 8/1 号(7月19日 発売)の「本誌厳選 注目株」に掲載されていたもので、これからの経常利益の上昇も見込まれ、有力だとのことでした。
「オール投資」2005年 9/1 号(8月15日発売)では、p.22 にカヤバ工業が取り上げられ、目標株価 464 円と書かれていました。
「オール投資」2005年10/15 号(10月3日発売)では、p.89 の「フォローアップ----3ヶ月後の投資戦略」の欄でカヤバ工業株の「持続」を推奨していました。
「オール投資」2005年11/1 号(10月17日発売)では、p.94 の「怪情報」の欄でカヤバ工業の株価は500円台奪還挑戦としています。
「オール投資」2005年11/15 号(11月7日発売)では、p.39 で、KYBは、今期増益率も高く、目標株価は 557 円だとしています。いよいよ期待が高まります。このころの KYB の株価は 460 円前後でした。
ところが、2005年11月10日、平成18年3月期の中間決算(http://www.kyb.co.jp/pdf/ir/2005/20051110renketsu.pdf)が公表され、カヤバ工業の業績悪化のニュースが流れます。経常利益の予想も大幅下方修正になります。株価は、この日、一気に 398 円に下落します。
ほぼ毎号カヤバ工業を推奨してきた「オール投資」ですが、このような状況が事前に見抜けなかったわけです。ということは、編集部員が地道に足を運んで企業調査をして記事を作成しているのではなさそうです。考えてみれば当然です。きっとそんな手間はかけていられないのでしょう。
ある意味では、これでいいのかもしれません。企業情報の開示(この場合、KYB が中間決算を公表すること)が、一斉に公平にスピーディに行われているということの反映であるとも考えられます。
最近、KYB の株価は、400 円くらいまで回復してきました。乙は 387 円で買ったのですから、利益が出ており、まああまりうるさいことを言ってはいけないのかもしれません。しかし、こういう一連の記事を見ると、「オール投資」への信頼感は一気になくなります。
最近、乙は「オール投資」を継続的に買うことをやめました。これは、KYB だけの問題ではなく、投資スタンスの変化も大きな理由です。乙は、最近は、長期投資を心がけることにしています。そのためには、月2回発行の雑誌は不要です。こういう雑誌は、数ヶ月単位(あるいはそれよりもさらに短期)の投資を行う場合にはいいかもしれないと思いますが、長期投資には向きません。
この話の続きは以下にあります。
http://otsu.seesaa.net/article/17609017.html
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