お金の運用に関する「中級」のテキストブックだとのふれこみです。
まえがきにあるように、本書は、もともとフィナンシャルプランナー向けの解説だったものに手を加えて1冊にしたものだとのことです。それはわかるのですが、一読して、前半の第1章から第4章までがどちらかというと投資の考え方を述べたもので、FP向けの内容に感じました。一方、後半の第5章から第7章は投資家向けの内容のように感じました。個人投資家としては後半だけ読んでもいいのではないかと思いました。(それでは、著者の意図が伝わりませんが。)
後半に書かれた内容は、山崎氏の以前の著述と重複するもので、やや新鮮味に欠けますが、しかし、変わらぬ真理はその通りにしか書けないので、これでいいのではないかと思います。個人投資家として心得ておくべきことはこれで尽くされているようにも思います。(乙は、以前、山崎氏とやや違う考え方を持っていたのですが、最近は、山崎氏の主張を正しいと考えるようになりました。)
本書で乙がおもしろかった点を一つあげておきます。p.12 ですが、「年金生活者の資産運用方針」を述べたところです。110 歳まで生きることを仮定して、今の資産を取り崩しつつ 110 歳まで継続的に生活していく(70歳なら40年間で取り崩す)ように計算して、その金額を取り崩すという考え方です。毎年1回資産総額をもとに、取り崩し額を計算し直しながら生活していくというものでした。具体的な考え方を示されて、乙は「そうだ」と思いました。
読んだ後、「本書の内容は確かに中級だ」と思いました。しかし、こういう本を読む人はどんな人だろうと思いました。具体的なイメージがわきませんでした。個人投資家で本書が役立つ人がいるのでしょうか。
やや歯ごたえのある内容でした。
なお、本書 p.132 の注1)では、「運用期間とリスクに関する数学的な議論は専門書(例えば『金融工学』野口悠紀雄・藤井眞理子著、ダイヤモンド社、pp.127-129)などを参照してください。」とありますが、そこを参照すると、ランダム・ウォークの極限としてのブラウン運動を定式化しているだけで、運用期間とリスクに関する議論ではないように思います。山崎氏の勘違いなのか、乙の読み取りが不十分なのか、わかりませんが。
タグ:山崎元
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