この本は、副島隆彦(2003.9)『預金封鎖---「統制経済」へ向かう日本』祥伝社 に続く本です。
1章では、実物資産としての金(きん)地金の話が語られます。2章では、ペーパー・マネーの時代が終わるということで、銀や石油の話です。
3章からが本題で、3章はアメリカ発世界恐慌の足音ということで、米国債も日本国債も暴落すると予言しています。p.90 では「2006年ぐらいを目途に、アメリカは中国の景気を一気に暴落させるという動きに出るだろう。」という不気味な予言が出てきます。今年はもうその2006年になりました。中国の景気は絶好調のままですが、さて、あと1年でどうなるでしょうか。
4章では、昭和21年2月の「預金封鎖」を取り上げ、どのようにしてそれが行われたかを具体的に記述しています。
5章から6章では、「借りたものが勝ち」という思想を語り、銀行融資の受け方、各種ローン、生命保険、年金、不動産投資、個人国債などの話題を扱って、これからどうなるのか、どうしたらいいかを述べています。
そして、終章として「預金封鎖」がどのようにやってくるかを述べています。
卒末には、著者が推薦する「優良ヘッジファンド」最新・(といっても2003年現在ですが)のリストが掲げられています。
p.239 では、前著とそれに関する毎日新聞の記事に触れて「私が8年前から主張し続けてきたのは、敗・から60年目にあたる2005年を皮切りにして、その後の数年間にアメリカ発の世界恐慌が始まり、これに卒き込まれる日本が緊急の金融統制措置を発令する。このように書いてきた。」と述べています。つまり、これは著者の長年の主張であることがわかります。
乙は、この本で書かれているような預金封鎖はしばらくなさそうに思います。だって、これをしたら、日本の中のお金の動きがストップしてしまい、会社も個人も動きがままならない事態になります。まるで経済がストップするかのようです。いくら何でもこんな乱暴なことはできないのではないかと思います。
その代わり、では、どうしたらいいか。乙は零細個人のゴミ投資家ですから、政府がどんな対策を取るのか、まったく予想できません。
乙の場合は、預金封鎖されても、あまり困らない程度の預金(もちろんペイオフの心配とは無縁のレベルです)しかありませんから、まあ、「なるようになれ」で暮らしていってもいいかなあなどと気楽に考えています。だって、日本に住んでいる人たちは、全員が同じ運命を共有しているわけですからねえ。何とかなるでしょう。少なくとも、それで死ぬことはないでしょう。
大混乱を見込んで海外移住を考える人もいるでしょうが、乙は、日本語が通じ、親戚・友人・知り合いがたくさんいる日本で暮らすことが、自分にとって一番の安全・・和・幸福につながるように思うのですが。
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