日本という国家が破産する、いやすでに破産しているという本です。
2006年から2030年までに、日本は金利が急騰し、国債という借金が返せなくなり、破綻するというわけです。円も暴落するし、猛烈なインフレが起こります。消費税の大増税もあります。もう日本人全員が助かる道はないということになります。ドイツ、トルコ、アルゼンチン、ロシアなどの例を引き、記述は具体的です。借金を返すことはもう不可能になっているから、あとは個人でその対策を進めるしかないというわけです。
著者はニュージーランド移住まで考えているということなので、著者は本当に国家破産を考えているのでしょう。
一読して、不思議な説得力を感じました。なぜならば、日本政府の膨大な借金は、もう誰でも知っている現実なのですから、その先、どうなるかを考えれば、この本に書いてあるとおりだということになります。(本当に2007年からそういう波がくるかどうかは、乙にはよくわかりません。)
日本はこういう破滅状態にはならないと考える人は、では、どのようにして借金の自転車操業から脱することができると考えるのでしょうか。具体的な方策があるのでしょうか。
10年国債を30年国債にして(さらに100年国債にして)借金を繰り延べても、それは借金のとりたてを後回しにしたというだけで、いつかは返せなくなるという事態が確実にやってきます。
政府やお役人は、一体何を考え、何をしているのでしょうか。
乙は、この本の記述を全部信じるわけではありませんが、こういうことがあっても不思議はないと思います。この意味からも、資産の一部は海外で運用する必要があると思います。
ちょっとした問題点を指摘するとすれば、pp.262-263 で「日本政府の年金はニュージーランドに住んでいてももらえる。」と書いている点でしょうか。国家が破産した後では、年金はなくなっている(少なくとも、充分な額をもらえるなんてことはありえない)と思うのですが。
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