(1) 浅井隆(2000.12)『2003年、日本国破産<警告編>』第二海援隊
何と、最近出版されている浅井隆氏の本の主張とほぼ同じです。違いは、2003年に国家破産が起こるとしていることだけです。p.48 には、次のようにあります。「私たちが知っているような日本国の姿は、早ければ2003年に、遅くとも2005年には完璧に終わってしまう。」もちろん、今は 2006 年ですから、この主張が間違いであったことが完璧にわかります。
(2) 浅井隆(1993.9)『大不況サバイバル読本 '95年から始まる"危機"を生き残るために』徳間書店
10年以上も前の本ですが、何と、ここでも似たような主張がなされています。
pp.132-138 では、日本の財政崩壊の話が出てきます。日本では216兆円の借金が返せないという話です。今の 1400兆円という金額から見ると、かわいい話です。
p.168 では、1995年にアメリカの財政は破綻するとしています。そして、p.179 では「1995-1998年は、1930年代に次ぐ20世紀の「世界恐慌」の時代として歴史の年表に記録される」とゴチックの目立つ字で書いてあります。現在の 2006 年から見れば、この文言の当否は明らかです。今の歴史の年表には、世界恐慌は記録されていません。
浅井氏の危機をあおる話は、その時期をいつも出版後2〜3年としているんですね。
この本の p.249 にあることばが、おもしろかったです。「どんな時代にも本物は生き残る。」本来は別の文脈で使われているのですが、この言葉は、まさに浅井氏の本に当てはまりそうです。こういう本があったことは、ほとんど忘れ去られていますから、「本物」ではなかったということになるのではないでしょうか。本の場合は図書館に保管されますから、「本物」でなくても、破棄されるまでは「生き残る」わけですが。
(3) 浅井隆(1994.9)『超恐慌---800年に一度の大動乱があなたを襲う!!---』総合法令(株)
本の趣旨を繰り返し述べるまでもないでしょう。その他の本と同じです。p.22 から、日米財政赤字は「もうすでに時遅し」だとしています。
さて、こうして何冊か読んでみると、浅井隆氏は1993年から現在に足るまで、日本の財政崩壊による国家破産を一貫して主張してきました。主張がぶれないのはエライです。しかし、問題は、そういう大事件が起こる時期の予想です。いつも出版後数年先を予想しています。浅井隆(2005.3)『次にくる波---2007年から、いよいよ経済大変動がやってくる』PHP研究所 については、すでに乙のブログで触れましたが、国家破産は2007年と予想しています。
これでは浅井氏はオオカミ少年になってしまうのではないでしょうか。過去の延長上に未来があるとすると、このままだと、浅井氏は2008年に『2010年、日本大崩壊』などという本を出版することになるような気がします。出版できるということは、それを買う人がいるということで、つまりは、日本経済が崩壊していないということになりそうですが、さて、どうなんでしょうか。
本は図書館に保管・記録されますから、書いてあることの検証・確認が可能です。
乙は、出版後相当期間が経ってからこういう本を読むのが大好きです。へそ曲がりでしょうかね。
【関連する記事】
- 香川健介(2017.3)『10万円からできる! お金の守り方教えます』二見書房
- 大江英樹、井戸美枝(2017.2)『定年男子 定年女子』日経BP社
- 天達泰章(2013.6)『日本財政が破綻するとき』日本経済新聞出版社
- 安間伸(2015.11)『ホントは教えたくない資産運用のカラクリ 投資と税金編 ..
- 橘玲(2014.9)『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 2015』幻冬舎
- 橘玲(2014.5)『臆病者のための億万長者入門』(文春新書)文藝春秋
- ピーター・D・シフ、アンドリュー・J・シフ(2011.6)『なぜ政府は信頼できな..
- 小幡績(2013.5)『ハイブリッド・バブル』ダイヤモンド社
- 吉本佳生(2013.4)『日本の景気は賃金が決める』(講談社現代新書)講談社
- 川島博之(2012.11)『データで読み解く中国経済』東洋経済新報社
- 吉本佳生(2011.10)『日本経済の奇妙な常識』(講談社現代新書)講談社
- 野口悠紀雄(2013.1)『金融緩和で日本は破綻する』ダイヤモンド社
- 吉田繁治(2012.10)『マネーの正体』ビジネス社
- 午堂登紀雄(2012.4)『日本脱出』あさ出版
- ウォルター・ブロック(2011.2)『不道徳な経済学』講談社+α文庫
- 内藤忍(2011.4)『こんな時代を生き抜くためのウラ「お金学」講義』大和書房
- 瀬川正仁(2008.8)『老いて男はアジアをめざす』バジリコ
- 増田悦佐(2012.1)『日本と世界を直撃するマネー大動乱』マガジンハウス
- 藤沢数希(2011.10)『日本人がグローバル資本主義を生き抜くための経済学入門..
- きたみりゅうじ(2005.10)『フリーランスを代表して申告と節税について教わっ..