2009年12月02日

ジェレミー・シーゲルの「成長の罠」は新興国に当てはまるか(4)

 先日のブログ記事
2009.11.30 http://otsu.seesaa.net/article/134292992.html
の続きです。ジェレミー・シーゲルの『株式投資の未来』に関する考察を続けます。
 中国株とブラジル株のリターンについて調べてみましょう。
 まずは、中国株のリターンです。中国株では、いくつか株価指数があるので、ちょっとわかりにくいと思います。
http://finance.yahoo.com/q/bc?s=^HSI&t=my
によれば、香港の HANG SENG INDEX について 1987- が見られます。
 2002.12.31 現在で 9,321.29、1991.12.31 現在で 4297.30 です。この11年間に 2.17 倍の値上がりです。

 wikipedia によれば、上海総合指数は1991年7月15日から計算されているとのことです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8A%E6%B5%B7%E7%B7%8F%E5%90%88%E6%8C%87%E6%95%B0
 しかし、ネット内を探したのですが、古いデータがどこにあるのか、わかりませんでした。
http://chart.miller.co.jp/chart.cgi?0305I
では、上海総合指数の 1999.12.30- が見られます。2002.12.31 の終値で 1357.7 です。上海総合指数は、1990.12.19 が指数の基準日で、100 でしたから、1990-2002 で 13.6 倍になっているわけです。

 シーゲル氏の図16-1
2009.11.30 http://otsu.seesaa.net/article/134292992.html
では、中国株のリターンのところを見ると、1992 年の $1,000 が 2003 年には $320 になって大きな赤字になったとしていますが、この数値がどこから出てきたのか、乙にはわかりません。
 アメリカ人が投資することを考えると、当時、上海総合指数に投資することができたのかどうかあやしいものです。(しかし、ミューチュアルファンドなどで投資できたのかもしれません。)香港に投資することはできただろうと思いますので、中国株の指標としてハンセン指数を取り上げることも可能だろうと思います。また、香港ドルは米ドルとペッグしていますので、為替レートの問題がなくてわかりやすいということもいえるでしょう。

 次に、ブラジル株について見てみましょう。
 ボベスパ指数が代表的ですが、
http://www.miller.co.jp/cgi-bin/member/chart.cgi?400I
を見ると、(「長期」を指定すると)1993.4.30- の指数の変化がわかります。指数は 24 で始まり、2002.12.13 で 10564 になっています。440 倍という驚異的な上昇です。1992 年についてはわかりませんが、当時はあまり指数の変化はなかったものと推定します。
 シーゲル氏の図16-1 では、ブラジル株のリターンが 1992 年の $1,000 が 2003 年には $4,781 になったとしていますが、この数値がどこから出てきたのか、乙にはわかりません。

 それにしても、シーゲル氏は、結果のグラフをポンと載せるだけでなく、このグラフの基になった数値が何であったのか、それをどのように計算してこのグラフができあがったのか、きちんと書いておくべきでした。さもないと、後日の検証ができません。

 ところで、シーゲル氏の図16-1 では、ドル(米ドル)表示になっていることが気になります。つまり、シーゲル氏は、単なる株価指数でなく、アメリカ人が投資した場合の(現地通貨と米ドルとの為替レートの変動を含む)リターンを求めていることになります。
 ということで、さらに、為替レートの長期的推移について調べてみます。
posted by 乙 at 05:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 投資関連の話題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック