2009年12月03日

ジェレミー・シーゲルの「成長の罠」は新興国に当てはまるか(5)

 以前のブログ記事
2009.12.2 http://otsu.seesaa.net/article/134477485.html
の続きです。ジェレミー・シーゲルの『株式投資の未来』に関する考察を続けます。
 中国とブラジルの株式のリターンを考える際に、為替レートの推移を調べ、その影響を考え、米ドルでリターンを考えなければなりません。

 まず、中国・人民元(RMB)について調べてみましょう。
 人民元は CNY と略称されます。さて、人民元の為替レートですが
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%BA%E6%B0%91%E5%85%83
によれば、CNY/USD の 1990- の範囲のグラフが載っています。
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/c/c3/CNY-USD_v2.svg/350px-CNY-USD_v2.svg.png
です。
 これによれば、1992 年ころは、1米ドルが約 5.7 元だったことがわかります。2003 年ころは、8.28 元程度でほぼ固定レートでした。2005.6 まではこのほぼ固定レートが続きます。
 また、
http://www.newyorkfed.org/markets/fxrates/historical/fx.cfm
によれば、CNY/USD が 1993.10.5-2008.12.31 までがわかります。

 次に、ブラジル・レアル(BRL)ですが、BRL の為替レートについても wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%82%A2%E3%83%AB
に載っていますが、1995- だけです。wikipedia によれば、
1993年 クルゼイロをクルゼイロ・レアル(CR$)に (1/1,000)
1994年 クルゼイロ・レアルをレアル(R$)に (1/2,750)

ということで、ブラジルは、インフレへの対応のためデノミネーションも実施しているため、米ドルとの為替レートを求めてもあまり意味はなさそうです。
 1995年から2003年は、大きな変動があった期間で、1995 年の1ドルが 0.8 レアル程度だったものが、3.7 レアル程度までドル高・レアル安が続いています。

 さて、昨日の中国株・ブラジル株のリターンについて、現地通貨建てで、1992 年から 2002 年末までに次のような結果だったと述べました。

中国株
 ハンセン指数 2.17 倍
 上海総合指数 13.6 倍
ブラジル株
 ボベスパ指数 440 倍

 米ドルとの為替レートの変動を考慮すると、上海総合指数は 9.4 倍程度ということになります。
 ボベスパ指数は、何ともいえません。単純に考えれば、ドル高・レアル安ということで、株式のリターンは 100 倍程度に下がると思われます。それにしても、シーゲル氏は、ブラジル株のリターンが 1992 年の $1,000 が 2003 年には $4,781 になったとしていますが、乙としては、それとのズレの大きさに納得がいきません。
2009.12.5 追記
 この話の続きを
http://otsu.seesaa.net/article/134738480.html
に書きました。
 よろしければご参照ください。
posted by 乙 at 04:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 投資関連の話題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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