2005年の春ころでしたか、乙は、メールマガジンか何かで見かけて、投資してもいいかなと思いました。
で、さっそくパンフレットを送ってもらい、検討しました。
パンフレットによれば、2004年末の段階で日本人 5,850 人が580億円を投資しているということです。ひとり平均1000万円ですね。日本人て、ずいぶん金持ちなんですね。また、過去7年間の償還率が5%で、95%の人が再契約(継続投資)しているということです。きっとここに投資している投資家の皆さんは気に入っているのでしょう。
MRI 社のHPもあります。http://www.mrius.com/japan/index.html 今見ると、これによれば、2005年9月現在で約 6,800 人の日本人顧客があるとのことです。
HPで、この金融商品がどんなものか、わかります。投資期間 2〜5年で、150万円なら年利6.0%、750万円なら年利7.0%、1500万円なら年利8.0%、1万ドルなら年利6.5%、5万ドルなら年利7.5%、10万ドルなら年利8.5%の利息が付くということです。たとえていえば、社債のような企業の借金でしょうか。MRI 社というアメリカ企業が日本の個人投資家からお金を借りているようなイメージです。
乙がわからなかったことは、円建てとドル建てでなぜ似たような利回りになるかということでした。為替変動と、日米の(円とドルの)金利差を考慮すれば、こんなことにはなりませんよね。もしかして、これから円高になれば、MRI は、20%とかに相当する高利回りで償還しなければならなくなります。それでも大丈夫なんでしょうか。為替予約オプションなどで、そういうリスクをヘッジしておくのでしょうか。だとしたら、その分、円建ての投資の方が利回りが少なくなるはずなんですけど。
もしかすると、MRI 社は、こうやって集めた資金を使って、20% どころか、30% くらいのリターンを得ているのかもしれません。だとすると、少しくらい円高になっても、余裕で金利分を投資家に払うことができます。しかし、考えてみると、これは投資家をバカにした話です。30% のリターンをあげているのに、そのうちの 6% だけを投資家に払い、あとの 24% は MRI 社が取ってしまうわけですから、投資家は憤慨していいと思います。
投資として考えたら、為替変動によるリスクを投資家が引き受けるから、その分リターンが高いというほうが自然です。つまり、募集時に確定利回りを保証するよりも、不確定利回りにするほうが投資家としても企業としても好都合だということです。
日本(円)で6%の確定利回りというと、ずいぶん高いように思いますが、アメリカ(ドル)で6%というと、当たり前のような気がします。円で6%確定利回りの商品はほとんどないでしょうが、ドルで6%といえば、いろいろあるという感じです。この点を考えると、つまり、円を優遇していることになります。なぜこうするのでしょうか。
投資金額によって利回りが違い、少額だと利回りが低くなります。投資家の人数が増えると、販売にあたって説明の手間が人数分増えますからコストがかさみます。1500万円よりも150万円のほうが投資家の人数が10倍になります。したがって、トータルで同じ金額をかき集める場合でも、少額だと利回りが低くなることはわかります。それにしても、2%の差は大きいように思います。投資信託では、購入金額によって申込手数料が変わってくることがありますが、それでも申込手数料だけであり、信託報酬は(投資金額によって)まったく差がないものです。MRI では、毎年の利率が変わってきますから、投資期間全体をならしてみれば、相当に大きな差がつくことになります。このことに合理的な説明ができるでしょうか。
なお、利回りが1%の差を生むのは、説明の手間などの経費の違いだとすれば、投資金額が 150万円と750万円で5倍の差、750万円と1500万円で2倍の差であり、それが同じ1%の利回りの差というのはおかしいかもしれません。乙だったら、3倍違うと1%の差にしたいです。150万円で6%、500万円で7%、1500万円で8% とするほうが合理的だと思います。
これらの点で、MRI 社の金利の決め方には今ひとつ合理性がないように思いました。
これらのことを考えて、乙は投資を見送ることにしました。このくらいの利回りなら、他の商品でも可能なので、特に、これを選ぶ理由はないと考えました。
ちなみに、パンフレットでは、各年度の投資総額(累積)が載っていました。1998=5.5億円、1999=40億円、2000=136億円、2001=234億円、2002=368億円、2003=416億円、2004=580億円 と順調な伸びを示しています。これに投資する人が増えているのでしょう。しかし、一方では、どんどん新規参入者が増え、資金流入が増えているということは、その資金を以前からの投資家への利払いに回している(いわゆる自転車操業ですが)可能性はないのでしょうか。そうだとしたら、新規参入者がいなくなった時点で破綻します。(うがった見方ですかね。)
最近、WWW を調べてみると、いろいろな意見が載っています。
http://wizkiz.upper.jp/income/receivable/mri.shtml は、MRI の紹介程度です。
http://www.grosscreate.com/download/20050228.pdf は、賛成でも反対でもありません。「手形割引業者にお金を貸しているようなもの」という見方をしています。
しかし、否定的意見も数多く WWW に載っています。
http://www.ginzafp.co.jp/money/10.html および、http://ginzafp.jugem.jp/?day=20050804 (両者はほぼ同内容)では、以下の3点を指摘しています。
1.米ドル建てで、元本が確保されている仕組みはどうなっているのか?
2.百歩譲って米ドル建てで合理的に元本が確保されているとして、円建ての元本確保はどのような仕組みで実現できるのか?
3.米ドル建てで年間利回りが6.5%から8.5%、円建てで同6.0%から8.0%となっているが、両社の利回りのスプレッドは僅かに0.5%に過ぎない。このような低コストで果たして円建て利回りを確定できるのか?
これに続くものとして、http://ginzafp.jugem.jp/?day=20050830 もあります。
また、http://fund.jugem.jp/?eid=20 でも同様の意見が述べられています。
http://theseaoffund.air-nifty.com/blog/2005/10/post_7942.html では、寄せられたコメントがおもしろいと思います。
http://okwave.jp/kotaeru.php3?q=1533290 では、qjgk さんがマン社のファンドと MRI を比較し、次のようなことを述べています。左がマン社、右が MRI です。
元金保証 外部の格付けの高い銀行 VS 発行体
〃の仕組 明らか(満期100となるゼロクー)VS 不明
会社規模 親会社はFEST100の大企業 VS いちベンチャー企業
商品評価 大手ファンドDBに登録 VS 不明
監査法人 ビッグ・フォーのいずれか VS 不明
(マンの場合、商品ごとに異なる)
http://salad.2ch.net/money/kako/1003/10030/1003074220.html でも議論されています。リスクの説明がないからダメってところでしょうか。
いずれにせよ、いろいろな意見がある中で、投資家は自分で判断しなければなりません。
それにしても、今や WWW が相談役の役割を果たしているんですね。おもしろいなあと思いました。
逆に、そういうことがあるから、ネットによるいわれなき風評被害などが起こることもあるのでしょうが。
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