2009.1.12 http://otsu.seesaa.net/article/112487936.html
2008.12.16 http://otsu.seesaa.net/article/111299756.html
そんな基本的な用語も知らないのかと驚かれてしまいそうです。
しかし、投資関連の本を読んだりしても(上記の二つは本に書いてあったことです)、明確に書かれることはありません。むしろ、知っていることを前提にして、話が先に進みます。
でも、みんなわかっているのでしょうか。
たとえば、
http://www.h5.dion.ne.jp/~heisan/manner/manner-c-29.html
には、かなり詳しい説明があります。以下、引用します。
リスクコントロールは危険の発生を防止し、損害を最小限に食い止めるための手段であり、次のような手段がある。
a)回避
リスクの回避は、リスクにかかわる行為自体を行わないというきわめて消極的・逃避的対抗手段である。
b)防止
リスクの大きさは一般的に「発生確率×影響の大きさ=リスク値」で表わされるとされており、リスクの防止とは、そのうちの「発生確率(損失が発生する確率)」をできるだけ少なくし、できればゼロにしようとするものである。
c)軽減
防止に対し、リスクの軽減とは、「影響の大きさ(リスクが発生した場合の損失)」をできるだけ少なくしようとするものである。理論上は防止と軽減を分けるが、実際にはその両方を兼ねる場合が多い。
d)分散・結合
リスクの分散は、リスクを一箇所に集中せず、分離分散することによってリスクを軽減させるものである。
一方、結合とは、リスクの単位数を増大させることによってリスクの中和を実現したり、リスク予測能力を向上させ、予想と結果の損失の変動(リスク)を小さくする効果をもつものである。例えば同業種の企業の合併などがこれに相当する。
リスクコントロールはこんなむずかしい概念なんでしょうか。
そもそも、投資におけるリスクを考えると、この説明では不十分です。
a)回避……投資ではリスクを回避できません。
b)防止……投資ではリスクの発生確率を少なくすることはできません。できると考える人もいるでしょうが、その場合でも、確率をゼロにすることはできません。
c)軽減……投資では、(個人投資家の立場では)影響の大きさを軽減できません。
d)分散・結合……投資では、これだけが可能だと思います。
というようなことを考えると、「リスクをコントロールする」とは、個人投資家にとって、「アセットアロケーションを適当に変えることによって、運用資産全体のリスクを、自分のねらう範囲内に収めるようにすること」ということになりそうです。
でも、みんなこんなことを完全に理解して本を読んでいるのでしょうか。これはかなり難しい説明で、いきなり無定義で出していい用語だとは思えません。
いや、乙の上記の定義だって完全に正しいとは言えないわけですが。
なお、似た概念に「リスク管理」もあります。これについては、以前、述べたことがあります。
2006.2.27 http://otsu.seesaa.net/article/13854954.html
2009.12.21 追記
この話に関連することを
http://otsu.seesaa.net/article/136084085.html
に書きました。
よろしければご参照ください。
冷静で、かつしっかりとした(たとえば、出典の明示)記事が多いと思っています。
さて、今回の記事は少し良く分からない点があるように思います。
乙さんは、投資ではリスクを回避できませんと書いていますが、それは正しくないでしょう。
一般的な日本人を前提とすればドル建で原油を買うと、原油の値動きリスクの他に、ドルのリスクを負うことになります。
円建であれば、このリスクは回避できます。
防止も同様です。円で現金を持てば一般的な日本人はリスクを零にできます。また、社債よりは地方債、地方債よりは国債の方が(たとえばデフォルト)リスクが低いでしょう。
軽減も可能でしょう。たとえば、キリンビールを保有したい場合、食品セクターのETFなどを空売りすることでリスクを軽減できます。
もちろん、円の現金や預金にしてもリスクは有ります。しかし、それを言い出すと、投資のリスクが議論できなくなります。
自国通貨の現金のリスクを零とした場合、というのを前提に、投資のリスクは語られるのが一般的でしょう。
事実、乙さんも「投資では」と書いています。
逆に言うと、それでは「投資」とはなんですか?ということになります。
沈着冷静なコメント、ありがとうございます。
この問題は、回答が長くなりそうですので、別の記事としてお答えしようと思います。
あしからず、ご了承ください。