英国の大学町オックスフォード近くのテムズ川を横切る橋が 108 万ポンド(1億6000万円)で売却され、話題になっている。個人所有者が車から通行料を徴収し、その収入に税金は一切かからない、世界でも珍しいタックスヘイブン(租税回避)橋なのだ。
【中略】
石造りの橋はジョージ王朝様式を伝える歴史遺産で、現在の通行料収入は年間約19万ポンド(約2800万円)。これに所得税も相続税もかからない。
なかなかおもしろい話でした。通行料の決定には英議会の承認が必要とのことですから、勝手に決めるわけにはいきませんが、現在は乗用車で5ペンス(7円)だそうですから、安いものです。しかし、これで年間で19万ポンドになるというのですから、通行量の多さがうかがわれます。
今回、競売が行われて、英国人が落札したということですが、さて、投資物件としてはどうなのでしょう。
通行料収入はかなりあるとはいえ、料金ボックスで8人が働いているということでは、その人件費が高額になりそうです。また清掃費は定期的にかかるでしょう。1767年に作られた石橋ということで、修繕費はあまりかからなそうです。日常的に石の剥離などがあるかどうか、わかりませんが、あるとすればその修繕費がかかります。また、あるときドカンという出費があるかもしれません。
乙の感覚では、今回の競売の落札価格と通行料収入を考えれば、この橋に投資してもよさそうに思いました。
もっとも、日本に住む日本人が落札しても、日本で税金がかかりますから、あまり得な話ではありません。やっぱりイギリスに居住する人が購入するところにメリットがありそうです。
ところで、この橋には無料化の要望の声もあったとのことですが、通行料を無料にするためには、個人の所有ではむずかしいと思われます。どう考えても修繕費・清掃費がまかなえません。無料にするなら市などが購入するしかないでしょう。
それにしても、こういう歴史遺産になっている橋が個人所有であり、値付けがあるところがおもしろいですね。
現物資産ということでは絵画に対する投資などと似た側面がありますが、橋の場合は現金収入があるのでその点が大きく異なります。むしろ賃貸住宅に対する投資に近いとみるべきでしょうか。