2006年03月05日

吉本佳生(2001.10)『「投資リスク」の真実』PHP

 乙が読んだ本です。
 はしがきに「私はなぜ、株式投資で失敗したのか」とあり、率直な書き方だと思いました。
 全体に、とてもまじめな本です。今読んでも価値があります。いい本は5年経ってもいい本です。
 全25回の経済学の講義を聞いているような錯覚に陥ります。語られる例はおもしろいのですが、確率論や統計学に関する話が多く、書名と内容が若干ずれているような印象があります。グラフの読み方や統計でウソをつく方法などは、他の分野にも当てはまりそうです。
 p.131 では、某社が3地区でそれぞれシェアを落としているのに、それを合算するとシェアが上昇するというとても興味深い現象が示されており、乙はデータの不思議さを感じました。こんな例があるんですね。
 p.197 には、こうあります。「結局、いろいろな儲け話や、さまざまなかたちで提示される株価や円相場などの予想は、それをあなたが信じ、あなたが取引に引き込まれれば、儲け話や予想をあなたに説明した人が儲かるしくみになっています。」いやはや、達観です。これを聞くと、何にも投資できなくなりそうでこわいです。
 この本では、単なる確率だけでなく、心理的(感覚的)な確率の話があったりして、読んでいて納得させられます。投資のために読む本というよりは、その基礎の勉強をするための本といったほうがよさそうです。


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posted by 乙 at 00:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 投資関連本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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