http://blog.livedoor.jp/tsurao/archives/1324701.html
アイスランドで、イギリス人・オランダ人の預金が保護されないことが国民投票で決まったという話です。
元々はロイターの記事で
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPJAPAN-14219220100308
にあります。
この話は、乙はよくわからないのですが、関連記事をネットで検索すると、「吊られた男」さんがいうような簡単な話ではありません。
http://www.afpbb.com/article/politics/2706447/5453101
によると、
英蘭両政府はアイスセーブに預金していた合計約34万人の自国民に預金分を払い戻していた。アイスランド議会は前年12月、負担を肩代わりした英蘭政府に対し、2024年までかけて39億ユーロ(約4800億円)を支払う法案を可決したが、オラフル・グリムソン(Olafur Grimsson)大統領が法案への署名を拒否し、国民投票にかけられていた。
ということですから、個々の預金者は、政府から払い戻しを受けていたので、特に被害はなかったことになります。イギリス・オランダの両政府が被害にあったということです。
さらに、仮に政府が関係しなかったとしても、どういう人の預金を払い戻すのか、払い戻さないのか、よく考えてみる必要があります。
(1)アイスランドに住むアイスランド人
(2)イギリス・オランダに住むアイスランド人
(3)アイスランドに住むイギリス人・オランダ人
(4)イギリス・オランダに住むイギリス人・オランダ人
今回の問題で、(1)は保護されたのでしょう、たぶん。
関係記事は(4)のことを問題にしていますが、乙がより問題だと思うのは(2)と(3)です。
(2)に払い戻さないとなれば、同じアイスランド国民なのに、どこに住むかで差別を受けるわけで、海外在住者を差別するとはけしからんという話になります。ヨーロッパでは、国境を越えてあちこち移動する人はたくさんいますから、たまたま海外に移動していたということで差別されるのではたまりません。
(3)に払い戻さないとなれば、同じくアイスランドに住んで(アイスランドで仕事をして、アイスランドに税金を払って)いるのに、国籍によって差別することになります。国際結婚なども普通に見られる国々ですから、一つの家庭の夫には払い戻すけれど妻には払い戻さないなどということになり、これまた重大な問題になります。
(2)と(3)は、政府が行う差別という側面があり、民主主義国家ではこういうことは許されるはずがありません。
今回のアイスランドの銀行破綻で(2)と(3)の人がどうなったのか、よくわからないので、今の段階で是非を判断することができません。もしご存じの方がいらしたら、教えてください。乙の勝手な予想では、国籍ではなく居住地で扱いが変わっただろうと思います。
で、話を本題に戻すと、海外に資産を預けた場合に、それが払い戻せないことはあるかという問題ですが、「ない」とは断定できませんが、国際的に開かれた社会では、その可能性はかなり低いと思います。
各国の預金保険の類は、国籍にかかわらず、また、居住地にかかわらず、口座を開設し、預金を持っている人全員を救うようになっているはずです。
記事中の中くらいにあるWhat about those Icelandic banks?セクションを読むと、保護の対象は個人の居住地とか国籍ではなくて、
預金した際にその銀行がどの政府機関管轄下にあるかで決定されるようです。Icelandnの2大銀行は英国内での営業については英国当局の許可を取得していたから、その店舗(ネットも含む)経由で預金されたのであれば、
誰だろうと保障されることになります。LandisbankiについてはFSCS(英国の
預金保障機構)が還付、Kaupthing Edgeは
ING Direct UK銀行が吸収したので、個人は
そのままサービスを継続してもらえます。
従って、2は大丈夫、3はお気の毒という結果になります。
記事からの推察なので、もし事情に詳しい
方が間違いを見つけられましたら、是非とも指摘訂正いただけますか?
私が住む米国でも日本人駐在員が帰国なさる
際に米国銀行に口座を残しておかれる方が多数あります。例えば、米国内のCitibankに
口座残しても、万一の場合にはFDIC(米国預金保障機構)が元本については限度額内まで保証してくれますが、 Citibank Tokyo Branchの口座については日本金融庁の管轄だから日本政府の対策次第です。
なんて、まるで専門家みたいは発言をして
間違ってたらどうしよう(笑)。
記事を読んでみました。
ちょっとわからないところもありましたが、ほぼおっしゃるとおりのようです。
となると、話はさらに複雑になりますね。
今回の話は、単なる預金者保護の問題ではなく、そういう保護をしたイギリス・オランダ政府が自国の子会社の親会社(の政府?)に、その保護はアイスランド側で行うべきだとしてお金を請求した事件だということになります。
ニュースを正しくとらえることのむずかしさを感じました。
何はともあれ、お教え、ありがとうございました。
おっしゃる通り、今回の件は私のブログで書いたような簡単なモノではありませんね。
そのエントリーでは、海外に資産を移すと、日本に置いておくのとまた別のリスクにさらされるのだから、リスクを回避するつもりでより大きなリスクを取りかねない・・・という趣旨の記述でした。
確かに、日本国内(の銀行)に預けるときと、海外(の銀行)に預けるときでは、違うリスクにさらされます。
しかし、そこでの問題は、海外に置いておくことが日本に置いたままにするよりも大きなリスクを負っているかどうかということではないでしょうか。
乙の考えでは、日本でも海外でも、大した差ではないと思います。ただし、先進国の場合です。
新興国では、何があるかわかりませんから、日本よりも大きなリスクを抱えることになりそうです。
たとえば政府が転覆すれば、それまでの政府の約束は吹っ飛んでしまうわけですから。
一方、本人が死亡して相続が発生する、というケースで、日本の口座と海外先進国の口座では(相続人の)リスク(手間)に大きな違いが生じる可能性を危惧しています。
相続人にかかる負担を想像して、海外口座の開設には踏み切れないでいます。
確かに、海外口座の相続時の「手間」は大きな問題です。
特に、海外ファンドに小口分散したりすると、それぞれで同様の手間がかかります。
乙は、しばらくしたら、海外口座のいくつかを閉鎖して、資金を集中させようと思っています。
ま、それまでは生き続けるだろうと勝手に想像しているわけです。