http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20100318
は、大変おもしろく、読んで笑ってしまいました。
国債の入札が大幅未達になる(つまり国債が発行できない)という 2013 年を予想して書いたものです。
日本の国債をすべて償還しなければならないということになったら、Chikirin さんのいうような事態になる可能性は高そうです。
果たして実際にそうなるかということでいえば、乙は 2013 年には、まだそうはならないだろうと思っています。日本には政治家がたくさんいて、国会議員だけでも衆議院 470 人、参議院 242 人もいるのですから、そういう人たちが何もしないままで、手をこまねいて事態の推移を見ていることはなさそうです。たぶん、何か、知恵が出てくるでしょう。さもなければ、政治家は全員クビです。
しかし、長期的には、こういう事態はあり得ます。
大前研一氏も「もはや国債の発行余力を失った日本政府」という記事
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20100309/214836/
で、次のように述べています。
政府部門の「正味資産」が2009年末に“ついにマイナスに転落したらしい”。政府は財政健全化の道筋を早期に示す必要がある。
この「正味資産」とは、国と地方をあわせた政府部門の資産から負債を差し引いたものだ。具体的には、土地や株式などの資産から、国債や借入金などの負債を引いたものである。これが2009年末に初めて“マイナスになったらしい”というのだ。民間企業であれば、債務超過の状態である。
大前氏の主張は、政府にいろいろな資産があるといっても、実際は高速道路を売ったりすることはできないのだから、マイナスはきわめて大きなものになるはずだということです。
しかし、可能性としては、高速道路を売ることはあり得る話でしょう。買い手は、高速道路の購入費用を投資額としてその資金を工面し、利用者から適当に料金を徴収していけば、それなりの利回りになるでしょうし、それはそれでいいのではないでしょうか。(どこが買うのか、問題ですが、それはまた別の話です。)
Chikirin さんの日記は、これをさらに強力に推し進めて考察しているだけです。
参考記事:
2009.5.3 日本が抱える膨大な国債の後始末
http://otsu.seesaa.net/article/118371423.html
ラベル:国債
上にも書きましたが、元記事の著者が分かっていて確信犯的にミスリードしようとしているなら有害な記事だと思いました。分かっていないで信じているならそれも悪質ですけど。
えんどうさんがおっしゃる「国会決議を経て日銀が買い取る」も一つのアイディアですが、他にもいろいろ方策があると思います。
Chikirin さんは、そういう方策がなくて(なくなって)、あるいは、方策はあるのだけれど、あえてないふりをして、どうしたらいいかを考えているととらえられます。
広い意味で、これも一つの方策で、さまざまな可能性を考えておけばいいのだろうと思います。
今のところ、乙は、特定のアイディアについて、有害・悪質などと断定しなくてもいいと思っています。
元ブログの例に挙げられている港区の土地は、私有地が多くを占めるので、国が勝手に売ることはできませんね。
また、もし仮にうまいこと売れたとしてもその場しのぎにしかなりません。
日銀が国債を直接引き受けるのは、半永久的に続けられますが、結局強度のインフレを引き起こすので、国民に与えるダメージは深刻といえそうです。
いずれにしても財政健全化は必須でしょう。
乙は、売れる資産(国有財産)がいろいろあるように思います。
港区の土地というのも、もちろん、そこにある国有地のことでしょう。それだけでも膨大な量があると思います。私有地のほうがさらにたくさんありますが。
まあ、確かにその場しのぎではありますが、その場しのぎレベルでも、探せばいろいろ手があるということだと思います。
本当にどうしようもなくなれば、そういう姑息な手を使ってしばらくは生き延びられるということですね。
ま、それが日本人の幸せにつながるかと聞かれると、何ともいえませんが。
いっそのこと、一度財政破綻をしてみるのも意味があるかもしれませんよ。いろいろな仕組みがリセットされるのは、それはそれでおもしろい話です。
結局、税金を取らずに国債も発行せずに、日銀が全部、国家の運用費用を支払っていくって事なのかしら?日銀がひたすらお金をすって国に直パス?
> 国有資産を売却して予算不足を賄うのが正攻法ともいえますが、売れる資産がどれほどあるのかは疑問です。
僕は昔から発想がおかしいといわれますが、実は、国会議事堂を売って、皇居を売るとある程度お金ができるのでは?と思っています。
それで、土地代の安い場所似移転することで利益を出すといった当たり前のことを国も行う必要が有るのではないかな?と感じています。
ずーっと昔から言っていましたが、親に、考えが偏りすぎていると起こられていました。
売れる国有資産は意外とあるのですね。勉強不足で知りませんでした。
小生は、国債が内国債だから問題ないとの議論(根拠薄弱)や、日銀が国債を直接買い取ればいいなどという議論(これは問題の解決策ではなく破綻の処理策に過ぎない)は、詭弁としか思えず嫌悪感がありました。
今でもこの認識が変わった訳ではありませんし、基本的に財政健全化が必要と思っていますが、一方では乙川様のおっしゃるように、行き着くところまで行ってもいいのかな、とも思うようになっています。
少なくとも、日本では金融資産の大半を年配以上の方が持っているので、仮に財政破綻が起きれば世代間格差の強制的是正にはなりそうです。
その場合に資産を大きく毀損されるのは金融リテラシーのない層ということになるのでしょうね。
投資ブロガーやその読者のように金融リテラシーのある層は、財政破綻してもその影響をうまく回避するような気がします。