2010年04月04日

就職内定率の調査

 日経新聞4月2日朝刊第17面のコラム「大機小機」欄に「疑問のある就職内定率調査」という記事がありました。ペンネーム「一直」さんの執筆によるものです。
 2月1日現在で文部科学省と厚生労働省が共同で行った調査がありますが、その結果が3月12日に公表されました。それによると、今春卒業予定者の就職内定率は 80% で、きわめて厳しいということになっています。
 一方、千葉労働局が同時期に調査したものを同じ日に公表しているそうですが、そちらでは、千葉県内の32大学の卒業予定者の内定状況を調べ、57.8% という内定率だったとのことです。文科省・厚労省の調査よりもさらに厳しい結果になっています。
 二つの調査で数値が大きく異なることから、コラムの筆者は調査結果に疑問を呈しています。
 千葉労働局の調査は、すべての大学からヒアリングした結果ということで、調査対象の卒業予定者は2万3千人だとのことです。
 文科省・厚労省の調査は、全国の大学62大学の中からランダムサンプリングで6200人あまりを調査したものです。
 コラムの筆者は、全国の大学が700以上あり、卒業予定者が50万人を超えることから、文科省・厚労相の調査はサンプル数が少なすぎるのではないか、私立大学の比重が小さすぎるのではないかと疑問を呈しているわけです。
 乙は、この記事を見ただけで、生データの集計を見たわけではないので、断言はできませんが、このような調査のしかたで特に問題はないものと思います。50万人を調べるのに、サンプル 6200 人というのは十分な数です。世論調査などでは、全日本人成人1億人の調査でも、サンプルは 3000 人程度で十分だとされています。
 それよりも疑わしいのは、むしろ千葉労働局の調査で、本当に 23,000 人にヒアリングしたのでしょうか。23,000 人というとかなりの数であり、個々に面接や電話をするとしても、普通に調査員を動員するようなことではとても全部調査できないものと思います。調査会社を利用するとすれば、相当な費用もかかります。おおざっぱにいって、たぶん数千万円レベルでしょうか。千葉労働局というサイズで毎年のように負担できるような金額ではないと思います。逆にいうと、もっと小さなサンプルを調べただけではないかと予想します。
 文科省・厚労省の調査と千葉労働局の違いを見るには、データをさらに分析してみる手もあります。たとえば、文科省・厚労省の調査を都道府県別に集計して、千葉県(およびその周辺)の結果を見てみるとかも必要な操作でしょう。大学を国立・公立・私立に分けて、それぞれを比較してみるなどということも有効でしょう。
 何はともあれ、もっと検討するべきところであり、コラムの筆者のように、単純に文科省・厚労省の調査に疑問を呈する態度はよろしくないと思います。
 それにしても、就職内定率が下がっているのは、若い人に苦労を押しつけているみたいで、中高年層としては恐縮するべき事態ですね。


posted by 乙 at 05:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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