今日は、海外には優れたファンド(ヘッジファンドを含む)があるという考え方について見てみましょう。
乙が最初に海外口座を開設したとき、浅井隆氏の著作などにも影響されていましたし、海外で優れたファンドに投資すれば、年 10% くらいの利回りくらいは簡単に得られるものと考えていました。あわよくば、それ以上の成績もあり得ると考えていました。しかし、現実はそうではありませんでした。
この面に関する乙の経験は、極めて乏しいものですが、いくつかの海外ファンドの経験があります。
[1] Forsyth Global Commodity Fund
2008.5.21 Forsyth Global Commodity Fund から決算書類が届きました
http://otsu.seesaa.net/article/97417369.html
2007.10.29 Forsyth Global Commodity Fund の解約
http://otsu.seesaa.net/article/63129141.html
2006.8.29 Forsyth Partners Ltd. --- Forsyth Global Commodity Fund
http://otsu.seesaa.net/article/22954971.html
結果的に1年ほどの運用でやめてしまいました。
結果はプラスでしたが、どうということもない投資でした。
[2] superfund B USD SICAV
2009.9.20 スーパーファンドを見直してみると
http://otsu.seesaa.net/article/128313345.html
2008.11.27 スーパーファンドは10月の成績がとてもよかった
http://otsu.seesaa.net/article/110251569.html
2008.10.15 スーパーファンドの解約
http://otsu.seesaa.net/article/108093853.html
2008.9.3 Superfund B USD SICAV
http://otsu.seesaa.net/article/105933000.html
2006.7.18 Quadriga superfund B
http://otsu.seesaa.net/article/20948293.html
大変ハイリスクなファンドでした。乙は数年保有していたのですが、基準価格の上下がものすごいので、精神的安定のため、解約しました。結果的にはプラスでしたが、それはたまたまそうだったにすぎません。
[3] Ashmore Emerging Markets Liquid Investment Portfolio
2006.7.30 Ashmore Emerging Markets Liquid Investment Portfolio
http://otsu.seesaa.net/article/21633614.html
2006年1月から4年ほど継続しています。債券が中心の運用です。今のところ、10% ほどのプラスになっており、まあ、やめるほどのことはないかと思っています。
[4] Thames River High Income Fund
2008.10.22 Thames River High Income Fund の運用報告書
http://otsu.seesaa.net/article/108429304.html
2006.7.22 Thames River High Income Fund
http://otsu.seesaa.net/article/21181688.html
これも、2006年1月から4年ほど継続しています。債券中心の運用です。今の段階で3割近くのプラスです。やめる必要は感じません。
[5] Nevsky Global Emerging Markets Fund
2009.10.14 Nevsky Global Emerging Markets Fund
http://otsu.seesaa.net/article/130219994.html
2007.10.18 Thames River Global Emerging Markets Fund 再論
http://otsu.seesaa.net/article/61200405.html
2006.7.24 Thames River Global Emerging Markets Fund
http://otsu.seesaa.net/article/21300522.html
これも、2006年1月から4年ほど継続しています。株式による運用です。今の段階で5割近くのプラスで、しばらく継続しようと思っています。
[6] Man AP 2XL USD-Class C Shares
2007.10.4 Man AP 2XL
http://otsu.seesaa.net/article/58734981.html
2006.7.15 Man AP 2XL
http://otsu.seesaa.net/article/20801211.html
これは 2005 年9月からの運用ですが、いまだに 28% マイナスという痛手を負っています。
[7] AVIVA Global Investment Account
2007.9.20 AVIVA Global Investment Account の運用状況
http://otsu.seesaa.net/article/56130703.html
2006.8.9 AVIVA Global Investment Account
http://otsu.seesaa.net/article/22115815.html
これは、2005年7月からの運用で、28%増という結果になっています。
[8] New Europe Properties Fund
2007.6.30 New Europe Properties Fund のサイト閉鎖
http://otsu.seesaa.net/article/46246156.html
2006.8.3 New Europe Properties Fund
http://otsu.seesaa.net/article/21854474.html
これは、詐欺にあったようなもので、15,000 ユーロが蒸発したのは痛い記憶です。
これらの結果を見ると、海外ファンドが優秀だとはいえないという結論に至ります。
なのに、乙が継続しているのは、単なる惰性です。
なぜ海外ファンドが問題か、なぜ多くの人はそれに気がつかないかという問題について考えてみましょう。
第1に、上記の成績はすべて米ドル建てであって、円建ての成績で考えれば、悪くなってしまうということがあります。基本的に、米ドルの金利が高く、日本円の金利が低ければ、将来的には円高になります。つまり、米ドル建ての投資は、一見高金利に見えますが、為替レートを考慮すると、必ずしもそうではないのです。
このことは、あまり明示的に語られることではないので、投資家が気をつけなければいけない点です。
第2に、ファンド類はすべてサバイバル・バイアス(生存(者)バイアス)があるということです。次々設定されるファンド類の内、運用に失敗したものは償還されます。生き残ったものだけが継続されるので、ある時点で過去の運用成績を見渡すと、多くのファンドがすばらしいものに見えるという点です。
第3に、過去において資産総額が小さいときに好成績を上げたファンドに注目が集まり、多額の資金が集まることがあります。この場合、決して好成績を上げられるわけではないのですが、過去のすばらしい実績を見ると、目がくらみそうです。このような例として、(乙が投資したわけではありませんが)「インパクトゴールドファンド」
2006.3.8 http://otsu.seesaa.net/article/14407348.html
等がありました。
第4に、投資詐欺にぶつかることがあるという点です。上記 [8] が好例です。乙の場合は 1/8 の確率でぶつかったのですが、一度当たると損失はきわめて大きいものになります。
第5に、手数料の高さがあります。海外ファンドでは、申込手数料 5%、信託報酬 2%、成功報酬(上昇分の)20%、などという例がたくさんあります。乙が投資をはじめたときは、そんなに高い手数料だとは感じなかったのですが、現在では、これは相当に高いと考えています。
以上のようなことから、海外に行けば、優れたファンドがあるという考え方は、かなり危険であり、一般的には望ましくないと思います。
乙の場合も、今保有しているファンド類を数年の内に解約するだろうと思います。ただ、一度購入してしまったものをどういうタイミングで解約するかはけっこう悩ましい問題です。そこに「惰性」の問題があります。
まあ、乙が投資したのはヘッジファンドまがいであって、本物のヘッジファンドではないという批判は甘んじて受けましょう。100万ドル以上の資金がなければ、本格的なヘッジファンド投資はむずかしいものと思います。
2010年05月08日
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久々コメントさせていただきます。
以前、ヘッジファンド(まがい)は、
結構日本でも流行りましたからね。
乙川さんの購入されているファンドは、私もいくつかProspectusを読んだ記憶があります(^-^ა)
他にはNewtonなんかもありましたよね。
私もMan Australiaで直販で購入していたので(現在は解約しました)、その時感じたのは、「流動性」の問題も非常に大きいなと思いました。
いざ解約しても口座入金まで1ヵ月以上かかりますからね。
ですので、今ではETFでほとんどの事ができるかなと思っているので、これ1本に絞ってます。
流動性の問題は、自分ではほとんど感じていません。いずれにせよ長期投資をねらう場合は、1ヵ月程度かかったって大した問題にはならないし、本当に緊急の問題が起こったら、手元の現金とすぐに解約できる資金でたいていは間に合うと考えているからです。
海外に資金を置いておくと、国内に戻すときに手間と時間がかかるように思います。少なくとも、国内の金融機関よりは絶対に時間がかかります。
まあ、こういうデメリットとメリットを勘案して決めるべきですが、……。
僕も海外投資のセミナーに一回行ってから自分で海外ファンドについて本で読んだりネットで調べたりしているのですが、乙川さんが書かれているように
年 10% くらいの利回りくらいは簡単に得られるものと考えていました。あわよくば、それ以上の成績もあり得る
と思ってしまっているものです(笑)
でもこの話うますぎるなぁって思ってたので、やっと批判的な意見にたどりついたという感じです。(自分に入ってきたのは肯定的な意見ばかりでしたので)これからブログの最初から読ませていただこうと思っています。(特に詐欺まがいのファンドがあることに対してちょっとショックを受けました)
非常に素人的質問で申し訳ないのですが、海外ファンド10年〜20年の長期で見た時平均してやっと10%とかってことはないでしょうか?乙川さんの投資年数を見ていると5年未満であるものが多いように感じました。確かにさがっているものを損切りせずにおいておくのもどうかという批判もあるかとは思いますが、ちょっと疑問に思ったので質問させてください。
リターンの予測は非常にしにくいものです。
「平均」するにしてもどの範囲を平均するか、わかりません。
「やっと 10%」も、そんなものかもしれませんし、そうでないかもしれません。
10年ないし20年で見ても、リターンがある程度のところで一定になるということはなさそうです。
乙は、基本的に、はっきりとしたことはいえないというスタンスです。
だからこそ、海外ファンドが甘い言葉でささやいてきても、簡単にウソとは見分けられないし、それなりに正しいことをいっているように見えるものなのです。
為替レートの問題をどう見込むかもむずかしい問題です。
お答えになっていなくて恐縮です。
ほとんど研究をしたことがないので知識に乏しいのですが、
不動産投資と同様で、玉石混交、
当たればでかい、だけど・・・
というものなんじゃないかなあ・・・
と勝手に思っています。
どちらもリスクとリターンのバランスが見通しにくい、
という印象もありますね。
適当なコメントですいません。
>海外には優れたファンド(ヘッジファンドを含む)があるという考え方ですが、乙はこれには否定的です。
おっしゃるとおりです、予想外の損失、ポンジースキーム。誰がやってもそうなります。
ポンジースキームを販売するコンプライアンス意識がないIFA(国際投資コンサルタント)が起こした行為です。特定のIFAではなく業界全体と思います。決して他人事ではなく誰もが陥る同じ結果です。要するにファンドの選び方ではなく投資先がコーヒーやエビと変わらないと言うことです。海外投資をしたいのであれば米国債やETFで十分であり、IFAの誇大広告である海外ファンドに門戸をたたく必要はないでしょう。そもそもIFAという呼称も社会的には認知はないと思います。くれぐれも気をつけるべきでしょうね
(IFAが徘徊してますのでこの辺で)
いろいろ調査なさっているようですが、調査結果を(URL付きで)どこかに書いていただけると、参考になりそうに思います。
乙さんの結果からすると、金融危機を考えると良い出来と思います
ひとつ利口になったのは、長期投資で海外ファンドは現状無理がありそうです。それはトレンドの変化だけでなく投資家の回転が非常に速いと思われます。同様に積み立てプランは自殺行為と思っています(IFAは進めてます)
コメントで情報は肯定的なものばかりという方もいらっしゃいますが、Y!知恵袋をみると、警告が出てきますよ
IFAは間違ってもファンドの専門家ではないです。これはとても大事なことです
購入前に専門家と相談すべきなんでしょうが専門家と言うのが早々出会えるはずもないので、少なくとも直感に鋭い第三者に意見を聞いてみるべきなんでしょうね。
もちろんオフショアブログなんて、業者紹介サイトですから危険がいっぱいです
と言うことで、自分も残はありますが今後投資はしません
>IFAは間違ってもファンドの専門家ではないです。
これは、「ファンドの専門家」とは何か、IFA とは何かをはっきりさせないと、きわめてあいまいな主張になってしまうと思います。
>購入前に専門家と相談すべきなんでしょうが
このあたり、そう簡単な話とは思えません。
そもそも、個人投資家に近づいてくるのは、それぞれ「専門家」らしく振る舞うわけですから、「本物の専門家か、ニセモノの専門家か」を初心者が見破るなんてことはできないと思います。
>少なくとも直感に鋭い第三者に意見を聞いてみるべきなんでしょうね。
しかし、「直感」でものをいっていたのでは、説得力がないと思います。ここは、ちゃんと論理的に説明できなければなりません。
少なくとも、乙はそういう第三者の直感的な意見は受け入れるつもりはありません。
>もちろんオフショアブログなんて、業者紹介サイトですから危険がいっぱいです
乙は、そう簡単に断定できないように思います。(最近はオフショアブログなどは読みませんが。)
なぜ危険がいっぱいなのか、もっと丁寧な説明が要求されているように思います。
それがないために、思わぬものに引っかかる人がいつまでもいるわけです。
>きわめてあいまいな主張になってしまうと思います。
そうですね、専門家とはファンドの運用や組成業務に携わる人でしょう。とすると個人レベルではまず接点がないでしょうね。定義はそういったスキルがある人としましょう
>「直感」でものをいっていたのでは、説得力がないと思います
たとえば、仕組債とか説得力がある説明をする場合は、こんなものに投資をしてはいけないとわかったときでしょうね。私の反省は理論的に納得をしてしまったので、それが失敗です。もっと感を働かせればよかったと思います。(第3者意見とか)それは個人差があると思います
自分ではIFAビジネスを金融霊感商法の属性としています。あくまで個人の捕らえ方です
が自分はそう位置づけしています。ポンジースキムに引っかかる日本人なんて古典的ですし、後を絶たないわけですから、根源的にこうすればいいとか簡単に言うのは難しいです
むしろ「絶対危ない」ということのほうが効果的だと思います
「専門家とはファンドの運用や組成業務に携わる人」という定義によれば、IFA がファンドの専門家でないという意見に賛成します。
IFA がポンジースキーム(ないし金融霊感商法)かどうかについては、乙は自信がありません。
自分なりに、もう少し時間をかけて「納得」したいものです。
これは、遊歩道さん個人の捉え方を否定するものではありません。
「自分で投資するかどうか」という観点と、「他人にそれを勧めるかどうか」という観点は、大きく異なると思います。
前者は根拠があいまいでも何でもかまわないわけですが、後者はある程度の根拠がないとよろしくないと考えています。
乙さんも多分直感的に止めたことと思いますが、下に興味深いものをみつけました
http://blogs.yahoo.co.jp/fabisukerun
私も、断ったのにIFAから勧誘を受けましたが、これが正体かも知れません
乙は、IFA にも(その基になる海外ファンドにも)さまざまなものがあるので、全部をひとくくりにして「ダメだ」とはいいにくいと感じています。
もちろん、優れたものがあるのかといえば「ないとはいえない」わけで、そのあたりが悩ましいのです。個々に判断するしかないように思っています。
ご指摘のブログはロイヤルサイアムについて述べていますが、乙も、これを検討し、投資しないことにしました。
2006.3.29 http://otsu.seesaa.net/article/15658158.html
このあたりは、個々に判断するしかないのであって、だから不動産投資は全部ダメだとはいえないように思います。
まあ、何ともわからない、歯切れの悪い話ですが、……。
もちろん、全部のファンド、全部のIFAをチェックしたわけではありませんね。ただし、ファンド会社と正規代理店となると国内では数社に限られます。その中の、、となると相当危なさを感じます。
ファンド会社も IFA も、国内に限定する必要はなく、海外にはさまざまな業者がうごめいています。
すると、いよいよ実態がわからなくなってきます。
(少しほっとしました)
ひとつだけ移管が出来なかったファンドがありましたが、ファンド会社に事情を話し、メイヤーをエージェントとして罷免し、手続きを自分で出来ないかメールしました。
もちろん、メイヤーファンドのインスペクションも他の業者にお願いして、とりあえず詐欺等至急対応が必要なものはなさそうです。
これを読んだ方も、一度真剣に手持ちのファンドをチェックをしたほうが良いでしょう。(特にメイヤーファンドの場合)
私もマン社のAP2XL USD Dを購入してだいぶ減ってしまっている者ですが、どうしようかと悩んでいます。
今のところ解約やスイッチなどお考えにはなられていないようですが、アドバイスを受けてこのままで、という判断をなさっているのでしょうか。
私の場合、解約手数料が3%は払わないとなりませんが、その内もしかしたら償還される可能性もあるのでは、と感じてもいます。
よろしければご意見お聞かせ願えませんでしょうか。
乙の場合は「アドバイスを受けて」ということではありません。
仲介業者(ブローカー)のいうことは、初めからあてにしていません。
まあ、早期に解約すると、解約手数料も高いですから、少しようすを見ようという程度です。
問題があると思っても、単にそれだけでは、解約はしにくいものです。以前の自分の判断を否定するわけですからね。
償還されるなら、手数料ゼロで解約できたことと同じことですから、それはそれでいいのではないでしょうか。
私は最近まで、無知、かつ思考停止していたりで、ずっと仲介業者だけを頼りにして来ましたから、本当に心に沁みます。
この頃はだめファンドのような散々な言われ方で、成績は確かに低迷していますが、元々はバランスのよいファンドだったはずです。じっくり焦らず考えてみます。
私と違って様々なファンド、豊富な金融知識をお持ちのようで、ブログは大変勉強になります。これからも楽しみにしておりますので、よろしくお願いします。