2010年05月10日

海外での投資の意義(4)財政破綻と海外への資金逃避

 今日は、日本の財政破綻が心配で、資金を海外に逃がしておこうという考え方について見てみましょう。
 最近、大前研一氏の「ニュースの視点」
http://www.ohmae.biz/koblog/viewpoint/1509.php
でも、日本の財政破綻が話題になっていました。
 40兆円程度の歳入しかないのに、100兆円近い歳出を考えるようでは、どう考えても財政が持つはずがありません。
 ちなみに、最近のニュースでは、2009年度の税収は29兆円程度だとのことです。
http://www.asahi.com/politics/update/0506/TKY201005060301.html
この調子では、歳入は40兆円にも届かないことになりそうです。
 そのために、大前氏によれば、自分の金融資産を守るために国民が取りうる手段は次の三つとしています。

 1.国際分散投資
 2.不動産投資など(金融商品以外のモノ)
 3.タンス預金

 大前氏は、タンス預金は「ハイパーインフレ」に無力だとしています。また、「国際分散投資」としては、日本の金融機関を通して海外に投資することを想定しているようで、したがって「預金封鎖」に対して無力であるとしています。
 しかし、資産を海外の金融機関に移動してしまえば、「預金封鎖」の対象にはなりません。ただし、国内の金融機関が預金封鎖という事態になれば、海外の金融機関に置いてある資金も、国内に現金として持ってくることができません。この点は注意が必要です。でも、いよいよというときは海外脱出という手があります。国内の金融の混乱が収まるまで、数年程度海外で暮らすのはいい経験かもしれません。

 というわけで、日本の財政破綻が心配で、資金を海外に逃がしておこうという考え方については、国内の証券会社などを通じた海外投資では無意味で、海外の証券会社・金融機関を通じた海外投資ならば「あり」だと思います。
 ただし、実際に預金封鎖があるかという点では、乙はあまり可能性は高くないだろうと思いますので、無理に資金を海外に送り出さなくても、かなりの程度大丈夫でしょう。
posted by 乙 at 04:34| Comment(5) | TrackBack(0) | 投資方針 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
財務省のHPでもアップされてますね。
国債及び借入金並びに政府保証債務現在高
(平成22年3月末現在)
http://www.mof.go.jp/gbb/2203.htm


>でも、いよいよというときは海外脱出という手があります。国内の金融の混乱が収まるまで、数年程度海外で暮らすのはいい経験かもしれません。

私は乙川さんの上記の考えと、プラス定年後まで寝かせておくつもりで海外投資を始めました。

本題から外れますが、海外金融機関発行のデビットカードやクレジットカードを持っていると、海外旅行の際に為替の面(手数料などの諸々のコストも含め)で有利だし、便利だなと感じます。

あとは自分の趣味でiTunesでアメリカの映画や音楽がアメリカ発行のカードでダウンロードできるとか、趣味面でも便利だなと感じてます。

Posted by 恵(KEI) at 2010年05月10日 23:05
恵(KEI)様
 財務省の言っていること(膨大な借金があること)は本当ですが、一方では、日本政府にはそれなりの資産もあるので、それを引き算した純債務で考えれば、まだ大したことがないという見方もできます。
 国債の額が大きいというよりも、毎年、継続して国債を発行し続けなければ、予算が組めないということの方が問題でしょう。
 日本の現状は、あるべき姿からはほど遠いと思います。

 クレジットカードは、現金よりも有利な場合があると感じますが、日本のクレジットカードと海外のクレジットカードでコストがそんなに違うのでしょうか。乙はこちらに関してはまったく経験がないもので、わかりません。
Posted by at 2010年05月11日 05:36
私も以前は相当真剣に日本の財政破綻を心配していましたけれど、
徴税権を持っている政府は、
いざとなれば増税というカードを切れますし、
インフレを起こすことも可能でしょうから、
あんまり心配する必要はないと思うようになりました。
日本人がギリシャ人みたいことをやれるとも思えませんし(^^)

まあ、そうなった日本が住み良いかどうかは別として(^^)
Posted by 40歳無職 at 2010年05月11日 19:13
乙川様

いつもためになる記事をありがとうございます。

ちょっと気になったのですが、この文脈でいう預金封鎖とは、(現実的ではないですが)、預金に対する課税を前提とする場合ですよね。

そのような事態になった場合に、法律の形式要件上、日本国民の海外口座だけ課税対象外となることは考えにくいと思われます。

他方、実際問題として、税務当局が個人の海外口座の内容まで捕捉するのは難しい可能性があり、海外口座の資金は、事実上課税を免れる(脱税する)ことは可能かもしれません。

このように考えると、海外口座で資金逃避というのは、ありていにいえば、「海外口座でいざという場合には脱税が可能」ということとほぼ同義ではないかと思います。

それをメリットの1つと数えるのかどうかは、人によって、考え方によって異なるように思われます。
Posted by 106 at 2010年05月15日 15:45
106様
 預金に対する課税については、ブログ本文では何も述べておりません。
 したがって「海外口座でいざという場合には脱税が可能」と言いたいわけではありません。
 預金封鎖によって国内で現金が引き出せなくなっても、海外に行けば引き出せるということが言いたかっただけです。
Posted by at 2010年05月15日 16:17
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