http://diamond.jp/articles/-/8141
今の年金制度では財政が破綻するというわけです。
多くの人が年金に関して漠然と感じていたことを、野口氏は数字を挙げて語ってくれました。
では、本当に年金の給付が削減されるでしょうか。
ここでも、乙は、なかなかその方向には動かないものと見ています。
そのままでは破綻することがわかっていても、なかなか変わろう(変えよう)とはしないものです。
なぜか。
それが一番心地良いからです。多くの人は、ある程度の年齢になったら、年金をもらってのんびり老後の生活を楽しみたいと思っているのではないでしょうか。中には、ずっと働き続けたいという人もいるでしょうが、それは少数派であると思います。
人は、組織の一員として働いていると、自分が退職することで、若い人のポストが一つでき、組織に貢献することができます。年を取ってくると、どうしても能力に衰えが目立ってきますから、これが組織に対する最大の貢献かなどと感じてしまいます。
乙が他人に対して感じていることは、他人が乙に対して感じていることでもあります。
年を取った人にはしりぞいてほしいと思うし、また、誰でも毎年1歳ずつ年を取っていくのです。周りの人は乙に対して「早く退職を」と感じていることでしょう。
仕事を死ぬまで継続することは非常に難しいものです。これは社長でも平社員でも同じことです。
たいていの人は、結果的に、望むと望まざるとに関わらず、「老後の生活」(つまりは退職後の生活)を送るしかありません。
しかし、そのような安寧な老後の生活を支えてくれるはずの年金が破綻してしまったら、描いていた夢が消えてしまう人がたくさん出そうです。
日本では、人口減少が避けられない以上、それに見合った年金制度に作り替えるしかありません。しかし、既得権者たちが、自分たちの既得権を放り出すことがあるでしょうか。どういう状況でそれが可能になるでしょうか。
乙は暗い日本を予想していますが、もしかすると、年金破綻と国家財政破綻が同時にやってきて、すべてがリセットされるようなことになるのでしょうか。そんな荒療治でもしないといけないような気がしています。個々の問題への部分的な手直し程度では制度として持たないでしょう。年金も国もです。
さて、10年後、20年後の日本はどうなっているでしょうか。
興味津々です。
既得権者である年金受給者が年金給付減額を受け入れるとは思えません。
有権者 (選挙権) は若年者より年金受給者の方が多く、年金給付減額を公約とする政党には投票しないだろうし、政党側も公約にできないと思います。
せめて「賦課方式」から「積立方式」に切り替えることが出来れば、少しずつ年金財源が改善していくとは思うのですが。。。
「内閣府経済社会総合研究所の濱秋純哉研究官らの研究グループが「年功賃金と終身雇用を企業が維持することが困難になった」とする実証的な研究の結果をまとめた。」
ソース:東京新聞
http://www.tokyo.np.co.jp/article/economics/news/CK2010031902000114.html
現在閲覧不可能ですが、以下のように言説します。
「大卒の大企業正社員の場合、約二十年前には全産業で年を重ねるほど給与が増える右肩上がりの賃金カーブがみられた。約十年前にカーブの傾きは緩やかになったが、年功賃金は維持されていた。
だが二〇〇七、〇八年には調査対象の七割を占める非製造業(小売り・サービス・金融など)で、四十歳すぎから賃金カーブが折れ曲がり、その後も給与水準はほとんど上がっていなかった。」
「同じ企業で働き続ける正社員の割合についても、年代別に過去二十年間にわたり調査。
中高年層は50%前後で大きな変化はなかったが、若年層(二十五〜三十四歳)は八九年の60%が〇八年には44%に下がった。」
以上によると、我が国の労働者の賃金カーブは今後、40歳がピークとなるときがやってくるでしょうし、労働力の流動化も進行することでしょう。
こういう実態は、実は民間では常識化しているのですが、肝腎の政府は未だに見てみぬふりをしているわけです。
これは年金の問題でも然りだと思います。
昨今の年金問題の議論や夕張、JAL、ギリシャ問題等の団体の破綻問題の情報流動性の高さから、30代、40代(もしかしたら50代も)の労働者らは、将来年金を従前通り満額受給できるとは内心思っていないはずです。
そこには、上の世代や政府の無策ぶりに対する苛立ちと諦観もあるでしょうが、案外現状と将来への不確実性を冷静に判断しているということもあると思います。
要は、そういう民間の意外なほどの冷静さと持続可能な政府の方針とが符合するときが来なければ、乙様のおっしゃるように、我が国は衰退国家を地で行くより他はないのだと思う次第です。
そうですね。有権者の数の問題が大きいですね。
年金システムの改善の方向はわかっているのに、それが実現できないもどかしさを感じます。
辛坊治郎(2007.12)『誰も書けなかった年金の真実』
2008.5.7 http://otsu.seesaa.net/article/95889598.html
あたりがみんなの共有知識となれば、少しは違った考え方も生まれてくるのかもしれませんが、それはむずかしいでしょう。
年功賃金と終身雇用がくずれかかっているのはご指摘の通りです。
年金よりも、そちらのほうが身近な問題と意識されているのでしょう。
年金問題の難しさの一つは、若い人にとって、まったく縁遠い問題のように受けとめられがちだという点です。
50代ともなれば、年金に関心を持つのは当然ですが、20代から30代くらいでは、年金の何が問題か、どんな問題があるのか、気にしない人が多そうです。
これでは日本は変われません。