2010.5.25 http://otsu.seesaa.net/article/151020343.html
今日は、[2] フィリピンの物件を所有し、賃貸して、高利回りが得られるかについてコメントします。
フィリピンの住宅について検索エンジンで検索すると
http://subic.web.fc2.com/
こんなページが見つかります。その中の
http://subic.web.fc2.com/tyoukitaizai2.html
あたりは、たぶん、それなりの業者(の関係者)が作っているのでしょうね。
下の方のリンクをたどると
http://www.animo-jws.com/japanese.html
こんなホームページに行き当たります。
Yさんが紹介された物件とは別物でしょうが、仮にこんな物件だとしたらどんなふうに考えるといいか、乙も一緒に考えてみたいと思います。
Yさんは、「700万で買って7%から8%で運用されているそうです」とおっしゃっていますが、これは本当でしょうか。「あるファンドマネージャーの方」を仮にXさんとしますが、このように主張しているのはXさんだけではありませんか。
不動産の賃貸は、なかなかむずかしいもので、700万円で買ったものを賃貸に出して、1年間に49万円から56万円程度の家賃収入があると、7%から8%の運用だと考えたくなりますが、そんな単純な話ではありません。
700万円の不動産の価値が20年でも40年でもずっと同じならば、成り立つ話ですが、一般には、年が経つほどに不動産は傷んできて、価値は下がるものです。それを見込んで7%から8%の運用になるという話でしょうか。これは、減価償却と関連します。不動産の価値が下がっていくことを考慮して、減価償却を計算します。話を簡単にして、700万円の物件が20年で価値がゼロになるとすれば、毎年35万円ずつ失っているわけです。それを考慮すると、家賃収入は49万円から56万円程度ではまったく不足で、(35万円を加算して)84万円から91万円程度なければなりません。Yさんの話だけでは、減価償却が考えられているのかどうか、わからないので、何ともいえませんが、もし、考えられていないとすれば、「利回りが7%から8%」というのはウソだということになります。Xさんに聞いてみるといいでしょう。減価償却の実際の計算はもっと複雑ですが、まあそれはあとで勉強すればいいでしょう。
次に、家賃の中から必要経費を除かなければなりません。住宅の修繕代、税金、管理費など、さまざまな経費がかかるものです。それらはいくらなのでしょう。それらを差し引いた後で7%から8%の利回りなのですか。これまたXさんに聞いてみてください。
なお、Yさんも、ちょっと考えてみるといいでしょう。700万円で買えるものを、毎年90万円ほど払って借りますか。普通はそういうことはしないものです。金を貯めながら8年ほど我慢して、720万円を用意し、自分で買うものです。(借金してもう少し早く買う人もいます。)だから、不動産投資は基本的にあまり儲からないものなのです。儲けている人も中にはいますが、
2007.10.8 http://otsu.seesaa.net/article/59516238.html
それはそれなりの努力をしている人なのです。
何もしないで7%から8%というのは、条件がよすぎます。何か、裏があると勘ぐったほうがいいように思います。
本当にそういう話があるなら、日本の銀行がだまっているはずがありません。預金の貸出先がなくて困っているのですから、そういう金をフィリピンの不動産投資に回して、7%から8%の利益を確保するでしょう。それをしないのは、そんなおいしい話があるわけないと考えているからです。
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乙さんが例を出されているように、収益を上げている方は、大変な努力をされてることが分かりますし、減価償却やコストなどについても理解が進むと思います。
そんなことは百も承知で、あくまでフィリピンの住宅投資事情を知りたいというのであれば、話は違いますが・・・
Yさんからのメールは、
2010.5.24 http://otsu.seesaa.net/article/150866987.html
に示したとおりです。
このメールに、不動産賃貸に関する基本的なことが書かれていなかったので、たぶん、Yさんは不動産賃貸に関する知識に不足があるのではないかと思いました。
XさんがYさんのそういうことを見抜いて、投資話を持ち込んできたように思えるので、Yさんにご注意申し上げるつもりで記事を書きました。
利回りにつきましては、あくまで購入時の価額で計算します。つまり、700万円の7〜8%ということは、購入時の金額である700万円の7〜8%ということで、不動産価値の下落とは基本的に無関係です。但し今の日本においては、築古になれば家賃が下落するのが普通ですので、結果的に購入時の利回りを維持するのは困難でしょう。
また、不動産投資における利回りは一般的には諸経費を含まず計算されますので、このケースでの実際の利回りはもっと低くなるでしょう。
なお海外における不動産投資は為替リスクもさることながら文化の違いが非常に大きいですので、基本的にはやらないほうが良いです。700万円でやるのでしたら東京都心の中古ワンルームのほうが利回りが高いです。
この度は私のメールに関するお答えに
貴重な時間を割いて頂き、厚くお礼
申し上げます。
またコメントをして頂く皆様にも
大変感謝いたしております。
全文を一語一語丁寧に読ませて
頂いております。
乙様、コメントをするのに不都合に
なって参りましたので、
正直に申し上げます。
メールをした私は40歳女性のものです。
50歳男性というのは主人のことで
Xさんにばれないようにと、
乙様にお願いしました。
皆様本当に申し訳ございません。
私は日本の不動産や不動産賃貸に
関しては少しながらプログを読んでいますし、今までかなりのマンション投資の
勧誘を断っています。
(ちなみに私は日本の不動産や家は
ローンではなく現金で買うものだと
思っています。)
ただ投資に関しては全く無知なので
どうかご了承ください。
私はその方の話がフィリピンの
物件でしたので、考えてしまいました。
少子化で人口が減っていく日本、
財政破綻、私たちの老後問題・・・。
特にずっと祖母の介護していた母を
見てきた私には自分の老後は深刻な
問題なのです。
フィリピンは物価が安く
介護する人も安く雇える、
だからこそ将来はフィリピンの
物件は高くなっていくという感じで
薦められました。
地震がきたらどうかや、修理のことを
聞いたのですが物価が安いということで
修理費用も少しで済むという話です。
(回答がかなりアバウトでした。)
なお主人は「日本は絶対破綻しない。」
「老後はお前(私)が看てくれ。」という
感じなのでフィリピンの住宅のことは
言っておりません。
本当に身勝手ながら乙様の力を
貸して頂きたく、こうしてメールを
させて頂きました。
これからも乙様のご意見、皆様の
コメントを色々と考えながら
読ませて頂きます。
どうぞよろしくお願い致します。
海外不動産投資についてですが、リスクや経費の考え方は管理人様と同じく思います。名目利回りなのか実利回りなのかが重要と思いました。
ただ、不動産投資を行うにあたって減価償却費の考え方ですが、は実際の支出を伴わない費用と思いますので、建物の価値減少分の収入全額が必要かと言うと少し違う気がしました。家賃収入を保持する為の費用としては減価償却費よりも後述されている修繕費が当てはまるのだと思います。ですので、減価償却費と実際の修繕費との差異が節税になる分だけメリットと考えました。
また海外不動産投資については、現地の確認が容易に出来ない点が最もネックだと思います。現地に行かなければ自分の目で状況を確認出来ませんし、確認を行う場合はその旅費が利回りを押し下げる要因になります。トラブル発生時も現地に行って対応出来ないと思いますので、その分のリスクを考える必要があります。
正直なところ「なぜ利回り7〜8%にもなる不動産を売りたがる人はどのような人か?」と感じました。相続による遺産分割の一環なのか、金策に困っているのか、実は問題を抱えている物件なのか、フィリピンではもっと高利回りの投資物件があるか...前者2つなら良いと思いますが、後者2つであれば余計なリスクを背負っているのかなと思いました。
駄文失礼しました。
フィリピンのインフレ率や政策金利のことは念頭にありませんでした。
しかし、不動産の賃貸を行う側であれば、契約の更新時にインフレを理由にして多少の家賃値上げができると思いますので、「割に合わない」ほどのものではなさそうに思います。