これから開発される土地を買って保有しておき、数年して値上がりしたら売るという単純な手法です。
いい土地を見つけることができれば、それなりの成績を残すことができそうです。
乙のところに話が持ち込まれたのは、タイの土地でした。
http://www.royalsiamtrust.com/ に説明があります。
http://www.royalsiamtrust.com/jap/index.html が日本語のトップページです。「ロイヤルサイアムトラストは皆様の効果的な資産運用をお手伝いする投資会社です。立地および条件の整った、高度成長の見込まれるタイ王国内の未造成の土地を所有して頂くことにより、ローリスク・ハイリターンの効果的で安定した投資が可能になります。1955年創業というタイ国の土地管理会社として最も古い歴史を持ち、現在は5億ドルを超える土地を管理しているロイヤルサイアムで、あなたも効果的な投資を行いませんか?」こういう宣伝文句を見ると、ふらふらと投資してみたくなってしまいます。
http://www.royalsiamtrust.com/jap/projects/index.html には、今回のランドバンキングに関するかなり詳しい説明がありますので、見てみるといいでしょう。104.4 エーカー の土地を 1/16 エーカーずつ区分するようで、約 1670 units になります。けっこう大規模です。肝心のユニット価格は表示されていません。聞いてみると、15,500 US$ とのこと。これで全体規模は 15,500×1670=25,885,000 US$ ということがわかります。日本円で30億円にもなります。
さて、この話に乗るべきか、乗らざるべきか。
乙は、乗らないことにしました。
乙が感じた疑問点をいくつか書いておきます。
(1)会社の信頼性がわからないこと
「1955年創業というタイ国の土地管理会社として最も古い歴史を持ち、現在は5億ドルを超える土地を管理しているロイヤルサイアム」という言い方を聞くと、相当に古い大きな会社であるように聞こえますが、それは、会社がそう言っているだけで、本当にそうなのか、確かめようがありません。
海外投資で一番恐いのは、送金して数年したら、会社がなくなっていたという詐欺的なケースですが、この会社がそうでない立派な会社だということをどのようにして確認できるでしょうか。
タイの知り合いに聞く手もありますが、そんなことしなくても、今は WWW で調べることができます。
すると、この会社を Google で「全言語」で検索しても、たった16件しか見つかりません。その中のいくつかは、Representative director の Robert Bernal 氏の紹介記事で、会社についてはまったくわかりません。
また、この会社が出している求人広告のようなものが何ヵ所かで検索されます。(日本でも同様です。)そんなわけで、日本を含めて各地でいろいろ求人していることはわかるのですが、今、こういう状態では、この会社が5億ドルも運用しているとは考えにくいです。いや、「5億ドルを超える土地を管理している」のであって「保有している」のではないわけですから、本当はごく小規模な会社なのかもしれません。
50年の伝統がある会社ならば、そして5億ドルを運用する会社ならば、もう少し「いい評判」が聞こえてきてもいいように思いますが、WWW では何もありません。
それどころか、http://www.expatfocus.com/index.php?name=Forums&file=viewtopic&p=13966 によれば、(あるイギリス人の書き込みのようですが)この会社は scam だということです。scam とは、「悪徳商法」「詐欺事件」という意味です。
(2)投資対象の土地がどんなものか、よくわからないこと
投資対象の土地は、写真中に線で囲って示されますが、この土地が将来どうなるか、その計画がよくわかりません。
Royal Siam Trust の文書では、いろいろいいことを書いていますが、本当かどうか、裏付けが取れません。
買った後で、転売もできないような砂地で、将来計画が何もないというのでは、話になりません。
気のせいか、会社のHPを見ても、タイは観光客が増えているとか、土地が値上がりしているとか、一般的な話ばかりで、この土地に関する具体的な計画がさっぱり書いてありません。
http://www.royalsiamtrust.com/jap/related/index.html という関連ニュースを見ても、一般論でしかありません。
不動産を買うのに、現地を見ないで買っていいはずがありません。買うとしたら、やはりタイまで出かけて現地を確認した上でないと恐くて買えないというのが乙の感覚です。このHPでは、そこのところがぼかされていて、具体的な話がわかりません。
この会社のランドバンキングに投資を決意する人は、この程度の情報で充分だと思っているのでしょうか。そういう人がいることが乙には信じられません。
(3)出資金がなぜ米ドル建てなのか、わからないこと
この話は、やはりバーツで投資するのが当然であり自然です。米ドルで投資して、現地でバーツに両替して、投資し、解約時にドルに替えるだけなんでしょうか。それにしては、為替の話が何も書いてないのは変です。数年にも渡る投資期間を考えれば、バーツとドルの為替変動も相当に大きくなることがあり得ます。
そもそも、バーツで運用するなら、米ドル限定などおかしいのであって、ユーロでも円でも投資して問題ないでしょう。投資家にとって、最適な通貨は異なります。両替を重ねていては、手数料分、必ず損をしますから、投資家のことを考えると、さまざまな通貨で投資できるようにするほうが望ましいと思います。
乙は、「米ドル限定」というのは、おかしいと思います。
実のところ、乙は電話で話を聞き、さらに詳しい文書を仲介業者からもらいました。それについてもいいたいことはあるのですが、公開されているわけでもない資料についてあれこれいうのもおかしいので、ここでは触れないことにしておきます。
ともあれ、乙は、Royal Siam Trust のランドバンキングには投資しないことにしました。君子、危うきに近寄らずという方針です。
海外の不動産投資は、ぜひやってみたいと思っているんですけれど、……。
(追記)2006.8.7
関連記事を
http://otsu.seesaa.net/article/22025403.html
に書きました。
【関連する記事】
- WALTON から New Tecumseth 14 ランド・バンキング償還に関..
- WALTON New Tecumseth 14 ランド・バンキング償還(続)
- WALTON New Tecumseth 14 ランド・バンキング償還
- ワンルームマンションを売るときの設備表の記入に困った
- Walton 社のランドバンキング説明会
- 通販大家さん(2)
- 通販大家さん
- この不動産ファンドには投資しません
- ウォルトン社のランドバンキングは香港の会社を通じて
- フィリピンの住宅投資(5)
- ウォルトン・ジャパンは、個人へのランドバンキングから撤退
- フィリピンの住宅投資(4)
- フィリピンの住宅投資(3)
- フィリピンの住宅投資(2)
- フィリピンの住宅投資(1)
- この不動産投資についてどう思うか質問がありました
- 世界の REIT、時価総額7割減 07年5月のピーク時比
- 法務局で抵当権抹消手続きをしました
- レジャーホテルファンドへの出資は保留します
- Walton International Group Inc. ランド・バンキン..
ブログのゲストブックに勧誘の書き込みがあったので、ちょいと検索してたらここに行き着きましたので。『君子、危うきに近寄らず』つぼにはまりました(^^;
理由は明快です。
乙川さんもご指摘の通り。
1.会社正当性の証明が困難(タイ事情もあり)
2.価格決定が不明 (鑑定会社の評価基準が皆無)
3.流動性の決如 (全て土地が売れていないので第三者へ譲渡は困難)
4.そもそもこの商品を作ったのは日本のあるIFA会社でつい最近
5.Tratという辺鄙な田舎で買手が現れる可能性は未知
私は投資専業のプロですが、まあ、投資商品としては有り得ないですね。
ということで、書かせて頂きました。(^^)
投資するかどうかは、あくまで投資する側の判断ですから、意見が分かれるのは当然のことです。
乙は、このランドバンキングが詐欺だなどと主張するつもりもありません。たぶん、きちんとリターンがあるでしょう。
しかし、今までに入手した情報(ブログに書かなかったことを含めて)を総合的に勘案すると、この話に乗るまでもないと思います。他に、この話よりもよさそうな投資先があると思うので、乙としてはそちらを優先して考えたいと思っています。
一郎さんがおっしゃるように、タイの友人に頼んで見に行ってもらうことは可能ですが、乙の感覚では、「見に行ってもらうまでもない」程度の話のように受け取れました。
私は最近RICIというオフショア商品を購入した者なのですが、その時にお世話になったM社よりロイヤルサイアムについて勧められました。不動産投資など全くしたことがなく拒絶反応を起こしていたのですが、投資のプロが勧めてくれている商品についてもう少し検討してみようと思い、こちらへやってきました。こちらのブログは本当に参考になりました。また来ます。
私は実際RSTのなかを見たものです。
実はM社は直接RSTにINVESTしてる会社。だからRSTを客に勧めるのもおかしくありません。
「詐欺」とは、またぶっそうな話ですね。
訴訟がうまくいくでしょうか。
そもそも誰を(どの会社を)訴えるのでしょうか。
海外に投資する場合、この点が問題になります。
タイで訴訟を行うとなると、費用も手間もかかるでしょうし、……。
私もM社に薦められこのランドバンキングに投資しようとする寸前の状態におります。
先週申込書をM社にメール便で送ったのですが、到着確認の連絡を入れても担当者からメールの返信がきません。
最初YY様の投稿は煽りの類かと思っていたのですが・・・(失礼)
YY様から出来れば詳しいことをお聞きしたいと思いコメントさせて頂きました。YY様が見ていてくださるといいのですが。
詳しい情報はこちらにポストさせていただくわけにはいきませんので、詳しいことをお知りになりたい場合は個人的にメールでお願いします。
Go5Japan@hotmail.comまでメール下さい。